新年のご挨拶
皆さん、明けましておめでとうございます。
この新しい年、2018年を、皆さんと共に健康でつつがなく迎えられることを神さまに心から感謝申し上げます。有り難うございます。
昨年、私たちは「“新しい文明”の基礎を作るための3カ年計画」をスタートさせました。“新しい文明”とは、自然の繁栄が人間の繁栄と幸福であるような生き方であり、そんな生き方を支え、拡大する力となる信仰や哲学、科学技術、経済、政治の全体をいいます。私たちは、それを築く土台として、まず私たちの価値観とライフスタイルを変えなければならないと考え、昨年度から次の“3つの実践”を本格化させています:
①ノーミート、低炭素の食生活
②省資源、低炭素の生活法
③自然重視、低炭素の表現活動
です。
また、本年からは、この3つのライフスタイルをより具体的、組織的に展開していくために、次の3つの活動を推進することを決定しました:
です。
これらの3つの名前でお分かりのように、私たちはこれから日常の生活の中で、有機野菜を作り、自転車に乗り、日用品を自分で製作するようなライフスタイルに転換していくことを目指しているのです。
皆さん、これは“時代錯誤”の生き方でしょうか?
いいえ、決してそうではありません。これは、自然と人間との一体感を取りもどすための古いけれども、新しいライフスタイルです。
18世紀の産業革命に始まる“古い文明”では、科学技術は一般に「自然からどれだけ奪えるか」を基準にして評価されてきました。山を削り、海底に穴を開けて、一度にどれだけの石炭を採掘できるか、鉱石を掘り出せるか、石油を搾り出せるか……と、より多くの資源やエネルギーを人間のために、そして人間のためだけに取り出すことができる技術が、“優秀な技術”“先進的な技術”として高く評価されてきました。その結果、物質原子を破壊して莫大なエネルギーを得る原子力発電が誕生しました。しかし、この人間中心の旧文明は、副産物としてミサイルや戦闘機や核兵器を生み出し、世界の平和を脅かしています。
農林・水産業でも、同じ“人間中心”の基準で生物資源が利用されたために、獣や鳥は絶滅に追いやられ、森は切り倒されて家畜が地上に溢れ、魚介は乱獲され、昆虫や植物の多くが絶滅しています。世界では、人間の好みに合った種類の生物だけが増え、それ以外は年々姿を消し、生物多様性は危機に瀕しています。これらの総合的な結果として、海水の酸化、地球温暖化、気候変動が起こっていることは、皆さんもご承知の通りです。
私たちは長きにわたり、あまりにも大規模に、無秩序に地球の自然から奪い続けてきたために、何万年、何十万年にもわたって自然界の安定を保ってきた物質的、生物的な循環とバランスを破壊しつつあります。このことは、おびただしい数の科学的研究で証明されています。にもかかわらず、世界各国の指導者たちは、従来通りの経済発展を至上目的とする“旧文明”の考え方、生き方から抜け出す方策を見出していません。
私たちは、この人類的な悪循環の原因の1つは、人間が自然を自分と対立して捉え、自然との一体感を失っているからだと考えます。すでに数年前から、人類の半数以上が、自然豊かな田舎を捨てて都市に棲むようになっている、と国連の統計は伝えています。私たちは、この動きに「ノー」と言うために、大都会・東京から豊かな自然を抱く八ヶ岳南麓の“森の中”に移転しました。そして、実際に日常生活の中で肉食をやめ、有機野菜を作り、自転車に乗り、日用品を自作するライフスタイルに切り換えつつあります。
アメリカの社会学者であり、自ら音楽を奏でクラフトを製作するリチャード・セネット博士は、第二次大戦の末期、倫理感に溢れる優秀な科学者であった人々が、なぜ原子爆弾の製造に関わっていったかという問題に取り組み、『クラフツマン』という本を書きました。「クラフツマン」とは、「もの作りをする人」という意味です。博士の結論は、分業が極度に進み、自分の仕事の全体が見渡せなくなって久しい現代社会の構造と、その中で自分の仕事の倫理性を考えずに競争に明け暮れる私たちの心の貧しさに原因がある、ということです。
私たちは、大きな機械の中の一枚の“歯車”として、自分の信念や倫理感とは違う仕事を営々と行うべきなのか、それとも、一人の独立した信仰者として、たとえ時間がかかっても、仕事の全体を把握しつつ、信念と倫理感に従って、社会や次世代の幸福のために生きるかを今、選択しなければなりません。
自ら有機野菜を作り、木や石の肌触りを感じてクラフトを製作し、自分の肉体をフルに動かして、風や日光を感じながら自転車のペダルを漕ぐことで、私たちは「自然と人間は神において一体である」ことを実感し、「すべての人間は神の子である」という信仰を深め、拡大することができます。そして、この生き方によって、気候変動による世界の混乱を最小限に留めることができるでしょう。
生活に生きる信仰を通して、世界の平和に共に喜びをもって貢献してまいりましょう。本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
谷口 雅宣
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コメント
合掌 有難うございます。この頃「個人の救い」のお話があまりない と言う声を耳にしました。谷口雅春先生の時代からずっと伝え続けられているのですが理解出来ないのだと感じます。このような声を拾い上げお伝えできる総裁先生の今回のブログ、機関誌を使い是非是非理解を深めて出講先で皆様と共に学び生長の家の御教えは一貫して変わらず、むしろ分かりやすく表現されている。また 信仰運動も耳学に止まらず具体的内容表現で理解しやすくなっているのでお伝えする考えです。感謝 再拝 足立冨代
投稿: 足立冨代 | 2018年2月 5日 (月) 08時16分