凡庸の唄 (6)
凡庸と敗北主義を
混同してはいけない。
敗北主義は“及び腰”の生き方だ。
自信がなく
勇気がなく
屈従が
密かな慣(ならい)となっている。
それでいて、
自分の殻に閉じこもり、
他人を信じず
白眼(はくがん)で見る精神から離れられない。
凡庸はしかし、
自分の殻をもたないのだ。
たといもっていても、
それを破る生き方が
正しいことを知っている。
凡庸は“粘り腰”の生き方だ。
他人の主張を
壁のようにはねつけるのではなく、
扉を開けて受け入れ、
理解しようとする。
自分が彼だったら、
何が本当に言いたいのか、
心を澄まして感じ取り、
自分の言葉に翻訳する。
それが心に染み込んでいくのを
時間をかけて快く感じる。
こうなれば、
自分と他人との壁は消える。
否、
本当は壁などないことに
気がつくのだ。
自分は他人であり、
他人は自分の代弁者だ。
自分の本心を
他人の声の中に聴き、
他人の声を
自分の中に聴くことができる。
これが、
本当の“粘り腰”だ。
他人はいないから、
もう他人に小突かれ、
押し出されることもない。
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