「青々舎通信」 (3)
生長の家の国際本部“森の中のオフィス”で行われた「生長の家 自然の恵みフェスタ 2015」が、このほど終った。10月24~25日の2日間に行われたもので、昨年に続いて2回目である。青々舎は、「SNIクラフト倶楽部」の一員として、このフェスタにマグネット3種を出品し、おかげさまで完売となった。3種とは、「オフィス型」「唐松(秋)」、そして「天女山」である。
「唐松(秋)」は、すでに製作したことがある「唐松(夏)」の秋バージョンだ。カラマツは日本の固有種のマツで、北海道を初め、山梨県から長野県一帯に多い樹木だ。私の自宅もカラマツ林の中にある。カラマツは典型的な陽樹で、日照が強い荒地など過酷な環境でも発芽し、生育する。その特徴を利用して、戦後の復興期に北海道や甲信地方に多くが植林された。首都圏の木材需要に応えるためである。木材としてはヤニが多く、スギやヒノキに比べて割れや狂いが出やすいことから、炭鉱の坑木や電柱などが主な用途だった。
ところがその後、コンクリートなどの新技術が生まれ、また貿易の発達で安価な外材が大量に輸入されるなどして林業が衰えたため、山は荒れてしまった。それでも、植林から70年余が経過して、カラマツは育ち、木造建築の環境価値が見直され、さらに頑丈な集成材を造る技術が進歩して大型建築の構造材としての用途が生まれるなど、利用が再興している。強度があり、腐食しにくいという特徴がある。“森の中のオフィス”の外壁はすべてカラマツ材で、構造材にも使われている。尾瀬の湿原をめぐる木道も、ほとんどがカラマツ材だ。また、昨今は薪ストーブなどの燃料用としても、利用され始めている。
日本の四季との関連を書けば、カラマツは日本の高木針葉樹の中でただ一つ落葉する。これが秋、日本の北半分の山々を独特な美しさで彩る原因の1つとなっている。葉がついている時は赤褐色から黄金色へと変わり、地面に散り敷くと、道や野原をサーモンピンクに変える。空中をハラハラと散る黄褐色の短糸状の葉はやさしく、落ち葉の独特の香りは心を和らげてくれる。私がまだ東京にいた頃、秋に山荘を訪れた際は、カラマツの落ち葉を拾い集めてポプリのように香りを楽しんだものだ。
この地方でよく採れるハナイグチ(ジゴボー)というキノコは、別名をカラマツタケとも言い、カラマツと共生している。私は今、こうしてカラマツに取り囲まれた生活をしているから、その恩恵には感謝してもしきれない。そんな気持を製作の中に込めた。
谷口 雅宣
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