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2015年6月17日 (水)

万物調和の実現に向かって

 今日は午前10時から、長崎県西海市の生長の家総本山の谷口家奥津城において、団体参拝練成会の参加者など約900人が参列して谷口雅春大聖師三十年祭がしめやかに執り行われた。私は玉串拝礼、聖経『甘露の法雨』一斉読誦のあと、概略次のようなあいさつを述べた: 
 
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 皆さん、本日は谷口雅春大聖師三十年祭に大勢お集まりくださり、誠にありがとうございます。谷口雅春先生は昭和60年の今日の日に昇天されましたが、あれから30年が過ぎていきました。晩年の雅春大聖師は、この長崎・総本山の地で、豊かな自然に囲まれながら、原稿を書かれ、団体参拝練成会などで講話をされていました。先生がこの地の自然を愛されたということは、龍宮住吉本宮の境内地を美しく整備されたことからも容易に拝察できます。 
 
 一方、その当時の世界は“東西冷戦”の最中で、アメリカとソ連は大量の核兵器を相互に向け合っていました。そんな時代も過ぎ、ソ連は崩壊し、後継国のロシアは資本主義を採用し、中国もそれに加わって、世界は「経済発展」に向かって足並みをそろえて突き進んでいるのが現状です。冷戦の時代とは雲泥の違いと言えます。 
 
 ところが、この経済発展のために、自然は破壊され、温室効果ガスは大量に排出され、生物多様性は大幅に減衰し、気候変動に伴う災害の頻発や農産物の不作などで、多くの人々が苦しみ、また“反文明”的な色彩の濃いテロリズムの動きが起こっています。そんな中で、生長の家の運動は、その中心目的を“鎮護国家”から“世界平和”へと移し、世界平和実現のために、経済至上主義と欲望優先の都会の生き方から脱却し、“自然と共に伸びる”生き方を開発し実践しようと力強く進みだしているところであります。 
 
 この点については、皆さんも生長の家講習会や団体参拝練成などを通してご理解いただいていると考えます。さて今日は、谷口雅春先生が書かれたお祈りの言葉から、先生の自然を愛する御心を学ぶために『万物調和六章経』というのを、ここへ持ってまいりました。『万物調和六章経』--皆さんはこの出版物をご存じでしょうか? 実は、このお経は、正式にはまだ発行されていません。もうまもなく発行され、皆さんのお手元に届く予定のものです。
 
 このお経は、その名が示すように、生長の家の教えの根本である「神の創造になる実相6harmony_sutra 世界では、すでに万物が大調和し、幸福に満たされている」という唯神実相の真理を説いた、6つの祈りの言葉から構成されています。この6つのうち3つは、谷口雅春先生の『真理の吟唱』にある祈りの言葉であり、残りの3つは私の『日々の祈り』から採ったものです。この六章経が発行された目的は、人間が自然を破壊せずに、自己の欲望を適切に統御する生き方を実践するためで、そのためには、私たちが日ごろから、神の世界の万物調和を観ずることが必要であるとの考えにもとづくものです。ちなみに、今年の運動方針の「平和・環境・資源の問題解決への貢献」の項目には、次のように書かれています-- 
 
 “世界の幹部・信徒は、『真理の吟唱』の中の「天地一切と和解する祈り」「天下無敵となる祈り」「有情非情悉く兄弟姉妹と悟る祈り」、また、『日々の祈り』の中の「“すべては一体”と実感する祈り」「神の愛に感謝する祈り」「神の無限生命をわが内に観ずる祈り」などの読誦を通して日々、自然界の「ムスビ」の働きを意識しながら「神・自然・人間の大調和」の顕現に向けて運動と生活を実践する。” 
 
 それでは、この6つのうち雅春先生が書かれた「有情非情悉く兄弟姉妹と悟る祈り」を、これから朗読いたします。その祈りの言葉の中から、雅春大聖師が自然界に対して、どのようなお考えをもち、どう感じていられたかを皆さんには再確認していただきたいのです-- 
 
(祈りの言葉を朗読) 
 
 今、日本の国会では、同盟国と一丸になって戦闘行為をできるような体制を作ることが、平和の維持にとって必要だと考える政治家が、憲法の規定に違反する疑いが濃い中で11の法律を一挙に変更し、軍備を拡大しようとしています。グローバル化が進んだ現代では、このような軍備一辺倒の国防政策で国の安全が保障されると考えるのは時代遅れであり、誤りです。また、人間の争いの心が自然界の諸相に反映されるという教え、そして、現象は認めた通りに現れるという唯心所現の教えからすれば、かえって逆効果になる可能性が大きいのです。また、私がすでにブログに書いたように、憲法の規定に反する法律を制定するということは、民主主義の根本原則である「立憲主義」をないがしろにするもので、必ず将来に禍根を残すでしょう。 
 
 私たちは今、中国やロシアと軍備拡大競争をしている場合ではないのです。地球上のすべての国々は互いに協力し、知恵を出し合って、地球温暖化やエネルギー問題、核兵器拡散というようなグローバルな共通問題の解決に真剣に取り組んでいかねばなりません。そういう意味からも、今後、皆さんは、この『万物調和六章経』を繰り返し読誦され、その大調和のメッセージを心に深く刻みながら、自他対立の心を起こすことなく、明るく、積極的に、万物の平和共存に向かって邁進していただきたい。谷口雅春大聖師の三十年祭に当たり、生長の家の教えの根幹である「万物大調和」の実相世界への信仰をいよいよ深め、その実現を改めて決意いたしましょう。 
 
 これをもって、本日の年祭の所感とさせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。 
 
 谷口 雅宣

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コメント

有難うございます。きのう団参から帰って来ました。谷口雅春大聖師の30年祭に参列させて頂き、雅宣先生と純子先生のお近くでお話を聴かせて頂けて嬉しかったです。私も自分の出来る事から、世界平和のために何かしていきたいです。再拝

投稿: 岡本淳子 | 2015年6月19日 (金) 07時10分

 この度は雅春先生の30年祭に臨席させて頂きまして、また先生のお言葉を生で拝聴出来た事、誠に嬉しく思いました。

 これからは更に万物調和の心で天地一切のものに感謝し、自然から奪うのではなく与える心でいる事が大事だという事を改めて学ばせて頂きました。しかるに現在、日本政府はその反対の方向に行こうと強引に舵を切っています。敵国を特定し、それに対して軍拡を進め、こちらから積極的に攻撃して行く事が日本を護る事だなどと言う理屈で法治国家を踏みにじる憲法違反を犯そうとしています。それは天地一切のものと和解するという生長の家の教えとはまるっきり真逆だと生長の家の根本真理に基づいて先生にはっきりと公の席でご指摘して頂いた事はその場にいた者として、本当に嬉しく思いました。

PS 空港では失礼致しました。実は高速から先生のお車を偶然発見しておりました。実に私どもに取ってラッキーな偶然でありました。

投稿: 堀 浩二 | 2015年6月19日 (金) 21時31分

ありがとうございます。世界平和を大切にした政権を臨みます。      総裁先生が危惧されています事態が現実なものになりはしないか?と思いつつも、いや、そうではない。と実相と現象の狭間にたっている今日です。 2014年8月20日から世界平和を祈り経文読誦の実践をはじめました。
私は、実相顕現を貫いて、日々「自分に出来ることを行じる」という考え方でおさめました。支部にも伝えて世界平和の輪を広げたいと考えております。「万物調和六章経」が手元に届く日を待っております。   島根教区    足立冨代

投稿: 足立冨代 | 2015年6月26日 (金) 23時07分

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