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2014年8月 2日 (土)

なぜ肉食から遠ざかるべきか?

 全世界からお集まりくださった生長の家の幹部・信徒の皆さん、どうもありがとうございます。このブラジルでの「世界平和のための国際教修会」へのご参加に心から歓迎し、感謝申し上げます。ありがとうございます。
 
 皆さんのお手元にある概要説明にも書かれていますが、今回の教修会で検討してきたことは、すでに8年前の2006年に一度取り上げた問題です。当時は、「肉食と世界平和を考える」というテーマで行われ、ブラジルでは1月に、日本では7月に行われました。ブラジルでの教修会には、16カ国から2,922人、日本の教修会には284人が参加しましたから、生長の家のトップクラスの幹部が合計で3,206人も集まって、「肉食をすることは世界平和のために有害である」ということを学んだわけです。その内容は2冊の本にまとめられていて、今回、それらの英語、ポ語、スペイン語、中国語への翻訳もできあがり、皆さんの前にあるはずです。では、それにもかかわらず、なぜ私たちは再び今回、同じテーマで教修会を開かねばならないのでしょうか?
 
Shokunikugraph  このグラフを見てください。ワールドウォッチ研究所の『地球環境データブック』の2012ー2013年版から引用してきたものです。グラフの横軸に年代を取り、縦軸に世界の食肉生産量を取ったもので、1961年から2010年までほぼ一直線に食肉の生産量は増え続けています。ということは、生産された肉を食べる量も増えていると考えねばなりません。つまり、このデータが示しているのは、私たちが肉食を減らす努力をしてきたにもかかわらず、世界の食肉生産量に、したがって消費量にも、何の影響も及ぼしていないということです。
 
 「それは他人の食生活に関することだから、仕方がない」と皆さんはお考えですか? 「他人に何を食べろとか、何は食べるななど命令できない」と皆さんは思いますか? 確かに、そういう言い方で他人を説得することは不適当かもしれません。しかし、こういう言い方はできるのではないでしょうか――「世界人口が70億を超え、さらに2050年代には96億にまで増大することがほぼ確実な中で、人間が肉食を続けていけば経済的に、政治的に、また保健衛生面で、さらには地球環境全体にとって、どんな結果が待ち受けているのでしょう?」と。私たちは、その説明を真剣にやってきたでしょうか? もしやってきたならば、その危険性を少しでも緩和するために、自分自身の食生活を変えてきたでしょうか? 肉食を減らし、野菜や果物へ切り替える食生活の転換を実際に行ってきたでしょうか? 
 
 私は、ここに集まられた皆さんが、そういう努力を全くされてこなかったと言っているのではありません。概要説明にも書いてあるように、私たちは世界のそれぞれの国や地域で、それぞれの事情に合わせて肉食を減らす取り組みをしてきたでしょう。が、その取り組みに「バラツキがあった」点を反省しているのです。つまり、肉食を減らす努力の仕方がまちまちであり、力を入れた国や地域がある一方で、そうでもない所もあったのです。そのようなバラツキがあった理由は、いくつもあると思います。が、その1つは、この問題には「緊急性がない」と判断したところがあったのではないでしょうか? また、私たちの食生活と世界平和に関係があると知っていても、その関係が大変複雑で、多岐にわたっているため、信徒の皆さんに説明するのが困難であったという側面もあるのではないでしょうか? また、そういう複雑な関係を十分理解できなかった人も、中にはいると思います。そこで今回、一部は復習になるかもしれませんが、この複雑な関係に焦点を当てて十分に理解していただき、それぞれの担当地域に帰ってからも、信徒の皆さんに自信をもって説明できるようになっていただきたいのです。なぜなら、これは重要であるだけでなく、今、現に世界で起こっている問題と密接に関係した緊急性のあることだからです。それが今回の教修会の1つの目的です。
 
 今回の教修会の目的は、ほかにもあります。それは、世界には問題ばかりが存在するのではなく、その問題の解決となる糸口も必ずあります。これを別の言葉で表現すれば、私たちの表現の舞台である現象世界には、暗黒面だけがあるのではなく、光明面も必ずあるということです。その光明面を今回は学びます。これを人類の肉食の問題に即して言えば、こうなります--世界の人口は増え続け、経済発展にともなって肉食は増え、地球環境は破壊され、戦争の危険が増しているという暗い動きだけでなく、世界には明るい動きも見えるのです。それは、①人々がしだいに肉食の深刻な弊害に気づきだし、肉食を減らすだけでなく、菜食主義に転換する人々も増えていること。また、②伝統的に肉食を避ける生活を続けてきた人々が地球上には大勢いて、それらの人々が大変おいしい菜食料理をすでに数多く開発し提供していること。さらには、③世界の宗教には、肉食を避ける教えと実践の伝統が今日まで営々と引き継がれてきているということです。
 
 肉食から菜食に切り替える人々が増えていることについては、昨日のマルリ・ウィンクラーさんの発表によって見事に証明されました。彼女と彼女が率いるブラジル・ベジタリアン協会の運動は、その動きを体現しているからです。私がウィンクラーさんの登場を特にうれしく思うのは、彼女がブラジル人であるからです。私は8年前、このサンパウロの地で行われた国際教修会で肉食の問題を取り上げたとき、肉料理で定評のあるこのブラジルで、肉食を減らすことを訴えるのに躊躇しました。そんなことを訴えると、「我々の個人的な食生活に、いちいち文句をつけるな」と反発を買うかもしれないと考えたからです。しかし、その年には、ウィンクラーさんがブラジル・ベジタリアン協会(SVB)を設立してすでに3年が過ぎていました。つまり、ブラジルにおいては、地球の反対側の日本から宗教家がやって来て、「肉食を減らそう」とお説教をする3年も前から、ブラジルの伝統的な食事である肉食が抱える様々な問題に気づいて、菜食への転換を強力に進めている団体が存在していたということです。それだけではありません。今日の概要説明にも書いてあるように、ブラジルでは2004年からベジタリアンが増え続け、現在は人口の8~9%、約1,500~1,600万人が動物を殺して食べる生き方を拒否し、自らの良心にしたがった生活をしているのです。
 
 私はここで、大声で「ビバ、ブラジル!」と叫びたい。「1,500万人」という数字は、日本で15000000_3 は東京都の総人口(1,326万人、平成26年1月)より多く、神奈川県と大阪府の人口を合わ せた数(約1,800万人)よりやや少ない数ですし、アメリカでは全米4位の人口を抱えるフロリダ州の人口(1,880万人)よりやや少なく、第5位のイリノイ州の人口(1,283万人)より多い数字です。これを国単位の人口と比べれば、オランダ一国の人口(1,659万人)にほぼ匹敵し、ギリシャ(1,116万人)よりも、ポルトガル(1,064万人)よりも多い数です。ブラジル国内だけでも、これだけの数の人々が毎日、動物の命を尊重するために自らの食生活を変える決意をし、それを実行し続けているということは、素晴らしいことではないでしょうか? 私は、今後のブラジル生長の家の運動に期待せずにはいられません。ブラジル・ベジタリアン協会の活動に加えて、ブラジルの生長の家の信徒の皆さんが本気になれば、サッカーの試合だけでなく、動物愛護と世界平和への貢献の競争においても、ブラジルは世界をリードすることができると思います。どうかよろしくお願いいたします。
 谷口 雅宣

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コメント

ブラジルで1500万人の人が肉食から離れていると知り、とても嬉しく思います。ブラジルはシュラスコなど肉料理が主ですから。

 現在、肉食が増えているのは日本だけではなく、世界的な傾向であるというのは残念ですが、先生が仰る様に光明面が確かにあるのですから、それを見つめ、拡げる運動を心掛けたいと思います。

 現在、確かに肉食は増え、地球環境は破壊され、戦争への道に進んでいる感じはしますがこうした光明面はこのブラジルの例の様に確かにあるのですね。それ以外にも現在の唯物的享楽主義から離れて、霊的価値を求め、それを実行する人達も確かに世界各所にその萌芽が認められる事は大変勇気の出る事だと思います。

投稿: 堀 浩二 | 2014年8月11日 (月) 11時24分

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