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2014年1月20日 (月)

氷点下の森

 今日は二十四節気のうちの大寒である--などと書くと、妻のブログのマネになってしまうが、それでもそう書きたいほど寒い季節になってきた。東京から大泉に越してきて初めての冬であるから、ある程度の覚悟はしていたものの、予想外のことがいろいろ起こるので、そのつどいろいろな発見がある。今日付の『山梨日日新聞』も「厳冬」という言葉を使っているから、たぶん今年は例年以上に寒い冬なのだろう。その記事によると、「山梨県内は昨年末から厳しい寒さが続き、農作物の生育が遅れたり、出荷量が減少したりするなどの影響が出ている」という。この記事では、影響が出ている農産物としてイチゴ、トマト、キャベツ、ハクサイ、キュウリ、ジャガイモ、タマネギなどを挙げている。ただ、この中のトマトの場合は、寒さだけが原因ではなく、燃料費の高騰も大きく影響しているという。これは、昨今の円安によるものだ。
 
Digthesnow  私のフェイスブックのページを見ている人はすでにご存じだが、昨年12月の後半からわが家の周囲は雪で埋まっている。12月18日から数日間に雪が降り、一気に30センチぐらい積もったのである。それ以降、地面の雪が大方溶けそうになった頃を見はからったように、次の雪が降るという状況が続いている。このため私は自転車通勤ができず、やむを得ず妻の車でオフィスまで送ってもらっている。それはそれで予測されていたことで、これによって“炭素ゼロ”の生活が失われるわけではない。というのは、妻の車はPHEV(プラグインハイブリッド)方式だから、晴天時にはほとんどの場合、家の屋根に載せたソーラー・パネルが作る電気だけで走ることができるからだ。また、オフィスにも最近、同じ方式の車が入ったので、私の帰宅や、生長の家講習会などのためにJRの駅まで行く際も、“炭素ゼロ”の原則を守ることができるようになった。
 
 予測していなかったのは、雪道のこわさだ。降った雪がまだ柔らかいうちは、スノータイヤをはいた4輪駆動のPHEV車で、何の問題もなかった。ところが、雪道の上を車が何回も通り、積もった雪を硬く押しかため、それが昼間の太陽の放射熱で一部溶け、溶けた水が夜の寒気で再び凍ってしまうと、道路はスケートリンクのようになる。その氷道の上に新雪が降ると、これはもう危険である。スノータイヤでもスリップするからだ。わが家の手伝いに来てくれる職員の1人は、このスケートリンク状の山道で車ごと転倒してしまった。山道に強いと定評のあるスズキ・ジムニーで、それが起こった。妻の車は、その同じ場所を何度も無事に通過してきたから、たぶん車の重量や操作法の問題も関係していたのだろう。が、ついに、その雪に強い車でさえ音を上げる時が来た。
 
 1月19日は、地元の甲府市で生長の家講習会がある日だった。前日の夜に私がオフィスから帰宅する際、私が乗ったPHEV車は、家の前の上り坂をスリップしながらもなんとか走り、私を無事に家まで送り届けてくれた。ところが、その夜のうちに、雪が1~2センチ降った。すると、次の日の朝に私たちを乗せるはずのPHEV車が、予定の時間になっても玄関前に姿を見せないのである。私たちは、ハッと気がついて家の前の上り坂を見ると、その車は坂を上れずに、車輪を空回りさせている。いったん後退して、勢いをつけて上っても、やはり同じ結果である。講習会に遅れることはできないから、私たちは荷物を手に持って、車まで歩くことにした。と、車から私の秘書が出て来て、私たちの方へ来るかと思ったとたんに、転倒した。私は革靴をはいていたから、これは危ないと思い、細心の注意を払って車のそばまで行ったが、ガチガチに凍った坂道は容赦しなかった。私も足を滑らせてそこへ這いつくばった。私を助けようとして車から出てき運転手も、同じように滑って転んだ。
 
 3人の男がそろって転倒する様子を見た妻は、まっとうな方法ではだめだと考え、道路を下るのをやめ、道路脇にある、雪がまだ踏み固められていない植え込みの中に足を踏み入れて、坂道を下りだした。一歩一歩慎重に、時々は小さな灌木の枝につかまるようにして、バランスを保ちながらゆっくり下りてきた。私はその様子を、車の中からハラハラしながら見ていたのである。結局、彼女だけが転倒せずに車に乗ることができた。この10~20メートルの氷の坂道の恐ろしさを、私たちはまったく予期していなかった。
 
 そんな経験をした翌日の今日、朝早くから秘書室の人が3名そろって、“雪かき”ならIcebreaking_2 ぬ“氷砕き”の作業に来てくれた。実にありがたかった。坂道の氷は、分厚いところは5センチ以上もあって、スコップやシャベルでは砕けない。だから、ツルハシやバールで力一杯砕くほかはない。砕いた氷を坂の下に運ぶのも、慎重にしないと足をさらわれる。そういう困難な作業を1時間以上もかけてやってくれた人々に、私たちは感謝の徴として熱い葛湯を提供したのだった。
 
 大寒の朝、私はこうしてオフィスに無事行くことができた。ちょうどこの日は午後1時から、役職員がオフィスの北側の敷地に集まって『大自然讃歌』を読誦する日になっていた。その場所も雪が積もっていたから、担当の講師教育部が事前に整地をしてくれていた。この讃歌読誦の行事は昨年12月から毎月1回の予定で始まったものSongreading で、今日で2回目である。『大自然讃歌』が説く内容から考えて、これを読誦するには室内でするより戸外の森の中が良かろうということで始まったが、厳冬の間はどうなるか少し不安だった。が、担当部門の決定で、予定通り戸外で行われた。私は、ジャケットの下にセーターを着込み、さらに裏地付きのコートにマフラーを付けて参加した。幸いの好天で日差しもあったから、それほど寒いとは感じなかった。が、読誦の際に手袋ははめられないから、寒風に晒された手がかじかむのは仕方ない。そんな氷点下の森での讃歌読誦だったが、実にさわやかな気分を味わうことができた。
 
 谷口 雅宣

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コメント

合掌 厳寒の中での「大自然賛歌」
森の中で毎日の自然とともに生きる生活
その素晴らしい実践
雪国の生活を知らない
大都会から森への生活
心より敬意を表します。
雪国の人間にとっては
先生のお話は、切ない大変な思いをした体験で
大変よく理解できることばかりです。
大変なご苦労、ご努力をなされていることに
涙が流れ、心から感動いたしました。
ありがとうございました。
お体をご自愛くださいませ。再拝

投稿: 河内千明 | 2014年1月21日 (火) 09時14分

河内さん、
 スミマセン……。みっともない所をわざわざ書きました。
 人生には、いつまでも学ぶことが沢山あるということですね。
 さらに精進します。

投稿: 谷口 | 2014年1月21日 (火) 17時09分

合掌、ありがとうございます。今、お昼休みの外は雪です。午後から大雪となるということで、ワシントンDCの政府関係省庁は朝から閉鎖との決定が今朝ニュースで流れていました。マンハッタンは雪をかくトラックが走るので道は大丈夫です。地下鉄も大丈夫ですが、自宅に帰る電車はいつも雪が降ると1時間ぐらい待たされます。都会は雪に弱いのです。今年のはじめ、大雪が降った時、朝早くドアのベルを鳴らす人がいました。中南米から来ている出稼ぎの人たちで、家の前の雪かきをしてお金をもらうためです。昨年も何度か来ました。お願いしたことはありませんが、前の家の住人は私より年上の女性一人で住んでいるので、お願いしたようです。雪になると、普段わからない都会の一面がわかります。

投稿: 川上真理雄 | 2014年1月22日 (水) 03時06分

合掌ありがとうございます。
初めての体験、お疲れさまです。オフィスへの坂道は冬場凍結で怖いなあ、どのように対応してあるのかと思っていましたが、そうでしたか。それでも怪我がなくてよかったです。純子先生はさすがですね。これからも色々体験されると思います。雪道、凍結道はスピードさえ出さなければ大丈夫です。お気をつけて過ごして下さい。
再拝

投稿: 水野奈美 | 2014年1月24日 (金) 20時47分

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