クマさんと出会ったら?
12月に入ってまもなく、大泉町にツキノワグマが現れたとの情報が入った。山荘の管理を頼んでいる会社からのメールで、次のようなものだった--
日時:12月3日午前
場所:北杜市大泉町北部 甲川上流の西側の沢、砂防ダム近辺
(標高1300m付近、八ヶ岳横断道南側)
状況:冬眠中もしくは冬眠直前と思われる大型の熊(ツキノワグマ)
その1週間後に、今度は職場の人間から、これとは別の情報にもとづき、地元の市立泉小学校が登下校する子供たちとその親たちに、注意を促す印刷物を配布したとの話を聞いた。インターネットを調べると、北杜市のサイトにクマの目撃地点が地図で示されていた。一箇所はロイヤルホテル南側の森。もう一箇所は井富橋付近だった。
私は「まさか」と思った。井富橋とは、私が通勤時にいつも通る小さな橋だ。そこでクマが目撃されていたのであれば、妻と私はクマの生息地に住んでいることになる。このことは、しかし初耳とは言えなかった。実は昨年から、井富橋から数メートル先の舗装された山道の電柱に、「クマ注意」を知らせる北杜市の貼り紙が付けられていた。が、私たちは「それは昔のことだろう」とか「もっと遠くで見たのを、安全を考えてここに貼ったに違いない」などと解釈し、あまり真剣に考えなかった。それでも、この地に定住を始めた今秋からは、さすがに不安を感じて、一種の保険のつもりで二人とも1つずつ「クマ除け」の鈴を買っていた。そして、キノコ採りのために自宅の裏山へ入る時には、それを腰に下げたり下げなかったりしていたのである。
北杜市のサイトを読むと、スキノワグマは例年、同市内の南アルプス山系や八ヶ岳山系などで6月下旬から11月下旬頃まで目撃されるという。生態としては、「主に植物性に偏った雑食性」だといい、植物以外にはアリやハチなどの昆虫類や動物の死体などを食べることもあるらしい。暖かい時期に活動し、冬眠前は「11月頃まで脂肪を蓄えるため行動範囲を広げる」とある。そして私たちが住む大泉町では、12月3日の午前7時半ごろ、西井出地内の井富橋付近で目撃された後、同9日には朝7時半ごろ、大泉ロイヤルホテルの南側付近で小学生が目撃したらしい。
生長の家の環境共生部が大泉総合支所に問い合わせた話では、大泉町はクマの目撃情報が少ない地域で、この次期の目撃情報は初めてだという。
このツキノワグマが「大型」だとの情報が気になったので、百科事典を調べてみると「ヒグマよりずっと小さく、体長130~160センチ、尾長8センチ前後、体重120キロ前後」とある。少し安心するが、野生動物は人間より体が小さくても力ははるかに強いものが多いから、油断は禁物だ。どんな性格かと読み進めると、「肉食性の傾向の強いヒグマに比べて、植物性の傾向が強いためかはるかにおとなしいが、突然の出会いなどによる人の被害がわずかながら毎年ある」と書いてある。
私の脳裏には、軽快なリズムに乗って、ある歌が聞こえてきた--
「あるひ もりのなか
くまさんに であった……」
という、あの童謡である。
『森のくまさん』と題されたこの歌は、アメリカでボーイスカウトやガールスカウトで歌われていたものを、馬場祥弘(よしひろ)氏の訳詞でダークダックスが歌い、1972年からNHKの『みんなのうた』で放送されたことで一躍有名になった。この日本語の訳詞では、女の子に森の中で会ったクマは、あわてて逃げるその子が落としたイヤリングを拾って届けてあげるなど、人間に好意を示す善意いっぱいの動物として描かれている。だから私はこの時、無意識にこの歌を思い出して、自分の中の不安を和らげようとしていたのかもしれない。
谷口 雅宣
| 固定リンク
「生物学」カテゴリの記事
- 人間中心主義から抜け出そう(2021.03.11)
- ボードゲーム「コロナバスターズ」について (2020.05.12)
- コロナウイルスは何を教える (2) (2020.04.11)
- コロナウイルスは何を教える(2020.03.22)
- 「生命の法則に随順する」とは?(2020.03.11)
「自然と人間」カテゴリの記事
- UFOはあるかもしれない(2021.08.02)
- 「万教包容」から「万物包容」へ(2021.07.07)
- 「第1回ノンロック・リレー」が終わる(2021.04.26)
- 人間中心主義から抜け出そう(2021.03.11)
- 幸福とは自然を愛すること (2021.01.01)
「宗教・哲学」カテゴリの記事
- 「聖戦はない」を明確化される――谷口清超先生のご功績(2021.10.28)
- UFOはあるかもしれない(2021.08.02)
- 「万教包容」から「万物包容」へ(2021.07.07)
- 「第1回ノンロック・リレー」が終わる(2021.04.26)
- 人間中心主義から抜け出そう(2021.03.11)
この記事へのコメントは終了しました。

コメント
合掌 ありがとうございます
長野県に住んでいます。
家の横にクルミの木があり、3年ほど前の秋にツキの輪熊が木に登って胡桃を食べていたのを見ました。今までに経験した事のないくらいの恐ろしさでした。小熊でしたが、ぞっとしました。庭には、フンまでありました。 父は次の年に実がならないように枝を切りました。それからは、来ませんでした。
今年は、舗装してある家の前の道を、子犬くらいの赤ちゃん熊が、渡って谷へ下りて行くのを見ました。
広報無線で、クマの目撃情報がよく流れますが、今年は去年より少なかったです。
投稿: 北原かおり | 2013年12月23日 (月) 18時20分
合掌ありがとうございます
クマよけのベルをつけていれば、まず大丈夫です。クマは人間が怖いから、クマのほうから逃げていきます。こちらが何か仕掛けなければ何もしません。ただし、子連れの母親の場合、子どもを守ろうとして危険な目にあう可能性はあります。その時は逃げる!でも、怖い人間に向かってくるなんて、母は強し、ですね。
投稿: 水野奈美 | 2013年12月24日 (火) 18時59分