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2013年11月22日 (金)

ムスビの働きで新価値を創造しよう

 今日は午前10時から、長崎県西海市にある生長の家総本山の出龍宮顕齊殿で「谷口雅春大聖師御生誕日記念式典」が開催され、晴天下、紅葉に彩られた自然の中、生長の家の幹部・信徒らが全国から参集して谷口雅春先生のお誕生を寿ぎ、“自然と共に伸びる運動”のさらなる進展を誓い合った。私は、祝詞奏上と表彰状の授与をさせていただいたほか大要、次のような挨拶をおこなった--
 
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 皆さん、本日は「谷口雅春大聖師御生誕日記念式典」に大勢お集まりくださり、ありがとうございます。
 谷口雅春先生は昭和60年6月に満91歳で昇天されましたが、まだ肉体をおもちであったならば、今日が120歳のお誕生日ということになります。ご昇天されてからは28年がたっていますが、先生の多数の著作物から、今でも先生のお心に接することができるのは、誠にありがたいことであります。
 ご存じのように、生長の家の国際本部は今年10月から、八ヶ岳南麓の“森の中”へと移りました。多くの皆さんは落慶式や見学会などの機会を通して、その新しい本部の建物をご覧になったかと思います。このオフィスの敷地には「万教包容の広場」というのがあり、そこには原宿の旧本部会館にあった“神像”が移設されています。私が東京にいた頃、本部へは徒歩で通っていましたから、その神像はビルで言うと4階ぐらいの高さの所にあったので、下を通る目からは詳しい表情などはあまりよく見えなかったのであります。しかし、新しい敷地では2階ぐらいの位置に据え付けられたので、かなり近くから神像を見ることができます。すると、その表情は雅春先生を彷彿させるのです。だから私は、毎朝、先生にお会いしているような気持になるのであります。
 
 さて、生長の家がなぜ国際本部を東京から八ヶ岳へ引っ越したかという話は、私は講習会や書籍をつうじてもう詳しくお話ししているので、皆さんはご存じと思います。ひと言で申し上げると、それは地球温暖化をできる限り抑制し、温暖化の結果として生じる厳しい気候変動、資源の枯渇、紛争の激化などを防ぐためです。加えて、「防ぐ」という消極的な目的だけでなく、エネルギーや資源をムダ遣いする私たちのライフスタイルを積極的に改革し、欲望の満足を追求する社会ではなく、“自然と共に”人類が成長する、平和な社会を実現するためです。
 
 人間は自然を破壊することで経済を伸ばし、それによって幸福が実現できるというのが、従来の考え方でした。しかし、そんな生き方は通用しないということが、次第に明らかになりつつあります。温暖化に伴う気候変動により、自然災害や異常気象による経済へのマイナスの影響が深刻化しています。このマイナスの影響がいわゆる“経済発展”によるプラスの効果よりも大きくなる日が、近づいています。いや、地球全体を見れば、もうすでにプラス効果よりマイナスの影響が大きくなっているのかもしれません。日本では今年の夏、台風26号が伊豆大島を襲い、甚大な被害をもたらしました。また、今月初めにフィリピンのレイテ島に襲来した台風30号は、史上最大級の破壊力に成長したため、甚大な被害を及ぼしました。死者、行方不明者の数は1万人を超えるとも言われています。今後、そのような自然災害の拡大により、世界中で犠牲者が増加していく可能性があります。生長の家では、このような犠牲者の霊を慰め、人類が自然と共に伸びる方向に生き方を変えることを目指し、京都府宇治市の生長の家宇治別格本山の敷地に「自然災害物故者慰霊塔」を建てました。また、この生長の家総本山でも、神・自然・人間の大調和を祈る行事がさまざまな形で行われていることは、皆さんもご存じのことでしょう。
 
 私たちはこのように、教団全体として、また教区単位で、「自然と共に伸びる」ことに主眼をおいた行事や運動を進めています。しかし、個人生活のレベルでは十分な対応がされているかというと、なかなか難しい点があるのではないでしょうか。もちろん多くの皆さまは、毎日『日時計日記』をつけ、技能や芸術的感覚を生かした誌友会を開き、肉食を減らし、植樹や植林に協力して下さっています。そのことには、この場を借りて大いに感謝申し上げます。しかしその一方で、私たちの生活は年々都市化して自然との接触が減り、自然を理解することが困難になりつつあると思います。そこで私はこの機会に--つまり、自然豊かな総本山の地で、天地一切のものとの大調和を説かれた谷口雅春先生のお誕生日に、皆さんの毎日の生活の一部として、自然を思い、自然に触れ、自然に感謝する行事を取り入れていただきたいのです。
 
 生長の家の“森の中のオフィス”では、本部講師である職員が交替で『大自然讃歌』と『観世音菩薩讃歌』を読誦しています。また、定期的に“自然を伸ばす活動”として、敷地内の森林の整備やキノコ採りなどを実施し、できるだけ多くの職員が自然に直接触れ、その厳しさとともにありがたさを実感する活動を展開しています。また、職員寮では、炭素ゼロ運動の一環として、化石燃料をできるだけ使わずに太陽光による電気や、薪、ペレットで暖房をしています。このような活動は、皆さんもできる範囲でいろいろ実践されていると思いますが、今日私が提案するのは、「神さま」を導入するということです。表現としては奇妙に聞こえるかもしれませんが、こういうことです。
 
 私たちの信仰の対象は、実相世界を創造された唯一絶対の神です。この神は宇宙に遍く満ちているので、すでに今ここにあり、本当は「導入する」必要などないのです。しかし、私たち人間から見ると、姿形のない創造神は時に意識することを忘れがちです。だから、私たちの意識の中心にしっかりと据えるために、生長の家では「実相」の掛け軸や額を掲げて宗教行をするわけです。また、「生長の家の大神」と唱えるときも、そういう固有名詞をもった神が宇宙の創造神とは別に存在しているのではありません。私たちに真理を伝えてくださった教えの根源の神という意味で、結局のところ、唯一絶対の神のことです。しかし、そう呼ぶよりは、「生長の家の大神」と呼ぶ方が、私たちの心の中により近い、より親しい感情が起こるので、そう呼ぶのです。神はあくまでも「すべてのすべて」でありますが、私たち人間は「すべてのすべて」を意識の中心に据えることは難しいので、その神さまの御働きの一部を神の名前として表現し、そのお名前を呼ぶことで、その御働きに心を集中させるのです。
 
 そういう理由で、これらからの“自然と共に伸びる”運動にあっては、神の無限の表現として自然を観ずる際には、「我即自然・自然即我」の自覚を深めるために、自然界の特徴をよく表した呼称を神に付すというのが、私の提案です。私のブログを読んでくださっている方は、もうすでにその呼称についてご存じでしょう。私は11月19日のブログに「自然界のムスビの働き」という題をつけて、自然界には、個々の存在を結び合わせる働きが満ちていることを書いています。その働きによって私たちは食事をし、他の生物から栄養素をいただいて生きているし、植物は動物に子孫を殖やしてもらい、動物は植物から栄養素を得て繁栄しています。自然界の最大の特長は、この多を一つにまとめる働きです。日本の神話には、このムスビの働きを表している神さまが「○○のムスビノカミ」として沢山でてきます。その中でも最も重要なのが「タカミムスビノカミ」と「カミムスビノカミ」です。この2柱の神は、『古事記』では宇宙の根源神であるアメノミナカヌシノカミの次に登場する神ですから、唯一絶対神の無限の働きの中の「ムスビの働き」を体現しておられるのです。この神さまは、皇室の祖神として歴代の天皇が祭られてきた神さまです。さらにこの神さまは、住吉大神と同じ系列にある神ですから、私たちのこれまでの運動とも整合しています。また、この働きはキリスト教で説く神の愛に通じ、仏教の四無量心とも共通しています。
 
 今、私が提案していることは、これまでの実相礼拝や神想観の実修方法を変えるということではありません。もし皆さんが毎朝、先祖供養や聖経読誦を神棚の前でされているならば、その神棚の両側にタカミムスビノカミとカミムスビノカミのお名前を記した札を掲げて、これまで通りの朝のお勤めをされたらいい--それだけのことです。そして、『大自然讃歌』や『観世音菩薩讃歌』を読誦する時には、2柱のムスビの神の名前を特に意識して、自然界のムスビの働きを思い起こし、自分も神の創造された大自然の一部として、この世界のあらゆる存在を相互にムスビ合う大調和実現のために、喜びをもって生きていくことを決意する--そんな行事をしながら、“自然と共に伸びる”運動を展開していきたいのであります。皆さま如何でしょうか?
 
 それでは最後に、谷口雅春先生のご著書から引用して、私のご挨拶を終わりたいと思います。
 
“日本では、古来「愛」という字を使わなかった。「愛」という語はシナの言葉ですが、英語では「ラブ(LOVE)」というんですけれども、これは煩悩の愛とも間違う。日本ではそのような不完全な語を使わないで、「産巣日(むすび)」と言ったのであります。「むすび」というのは、「愛」という語よりも非常に深遠な意味を含んでいるのであります。「むすび」というのは、「結婚」の「結」に当たる字ですが、皆さんが(…中略…)羽織の紐でも寝巻の紐でも、左と右とを結び合わす。そうすると、前の結ばない時よりも美しい複雑な形が現われてくるでしょう。これは「新価値の創造」である。それで左と右、陽と陰とが完全に結び合うと、このように、「新しき価値」が其処から生まれてくるのであります。愛は自他一体のはたらき、陰と現われ、陽と現われているけれども「本来一つ」であるから、互いに結ばれて一つになることです。「愛」というのは「自他一体」の実相の再認識であります。こういうふうに、宇宙の本源なるところの本来一つの神様が、二つに分かれ、陽と陰とに分かれたのがそれが再び一つに結ばれて「新価値」を生み出すところの働きをするのが、「高御産巣日神(タカミムスビノカミ)」「神産巣日神(カミムスビノカミ)」である。”(『古事記と現代の預言』、p. 32)
 私たちはこれから、本当の意味での「新価値の創造」をしなければなりません。古い指標であるGNPとかGDPなど、金銭的価値によってすべてが決定するような現在の経済・政治制度は限界に来ています。実相の本源神の無限の働きのうち、ムスビの働きを大自然から学び、また私たちの中で大いに活性化し、大自然と調和した“新しい文明”の構築に向かって明るく、希望をもって進んで参りたいと考えます。皆さま、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
 谷口 雅宣 

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コメント

合掌 有難うございます。

 総裁先生 高御産巣日神 神産巣日神

  少しわからせていただきました。

   有難うございます。


         再合掌

投稿: 山本 順子 | 2013年11月23日 (土) 07時38分

総裁先生,ありがとうございます。
早速近隣に「むすひ」の神様が祀られている神社を探し,参拝してきました。御祀神は「高御産巣日神・瓊々尊・木花開耶姫命」です。御神符を受け,神棚に奉納しました。
お社は,数百段の階段がある小高い山の上にあり,紅葉が綺麗でした。運動不足の解消にもなりました。

投稿: 佐々木(宮城教区生教会) | 2013年11月24日 (日) 15時16分

合掌ありがとうございます。

この度は、結びのご指導ありがとうございます。「結び」という言葉で、生命体と信仰の本髄が腑に墜ちました。
先日、女優の岸恵子さんの手記の中に「溶ける」という言葉がありました。死ぬという事は無くなるのではなく、自然や、空気、風、水に溶けることだそうです。溶けるという言葉から、宇宙生命の一体感を迷うことなく実感できました。この世界は、生命が溶けて結び合う世界、心が溶け合い、心で結ばれている宇宙の生命体、ということが実感でき、なんて素敵な世界なんでしょうと感動しております。ご指導頂き、感謝申し上げます。

投稿: 渡辺 | 2013年11月25日 (月) 05時54分

合掌 ありがとうございます。
総裁先生のこの度のご教示は、何度も何度も繰り返し拝読させていただきました。
「ムスビ」の働きの奥深さ、私たちも神さまから創られた大自然の中の一部であるということ、人間至上主義ではなく、自然界の大いなる恩恵に感謝する生き方…また万教帰一の生長の家のみおしえが、こなたびのご教示で、より深くご指導いただけた気がいたします。
総裁先生のおっしゃるとおり、GDP,GOPなどの経済至上主義、限りなく欲望を追求した、物質至上主義から、価値観を大きく転換した 生き方…私たちは大自然の恩恵の中で生かされているのですから、大自然に対し、もっと謙虚に、もっと感謝して日々を大切に丁寧に生きていかなければならないと 思いました。この私も、ちょっとしたことでも 手っ取り早くティッシュペーパーを使ったり、食べ残しをしたりしております。大反省です。
地球上で世界規模で起こる 自然災害は、私たち人間の限りない欲望によって環境破壊した結果で起こっているのですから 神さまから人間に与えられた知恵をこれからは、新しい価値の文明の構築のために使っていかねばならないのですね。個人の救済のみならず、地球温暖化を食い止めて、自然とともに伸びる運動をご教示くださいます、総裁先生は 宗教や信仰は、個人の病気が治ったとか、志望校に受かったとか、そういうことももちろん大切ではありますが、他を犠牲にして繁栄するのではなく、共存共栄の生き方…大自然とも共存共栄していく文明を目指して、ご教示くださる宗教家の出現は、これまでなかったのではないでしょうか。
総裁先生にご指導いただける信徒でありますことに、よろこびと誇りを感じます。
来月、何ヶ所かで介護教室の講師をさせていただくことになっておりますので、総裁先生のご教示を私なりに表現して、生長の家を知らない方々にお伝えしたいと思っております。
今年、ついに紙おむつの年間消費量や購入費用が大人用おむつが子供用のそれを超えたそうです。2025年までそれが右肩上がりだそうです。
紙おむつは必要なものでありますが、作るのにも、廃棄するのにも、環境破壊をしてしまいます。これは大問題です。
早急な取り組みを考えていかないといけません。そして総裁先生のご教示を学ばせていただきながら、仕事で全盲や車椅子の方々をお世話していますと、こうして障がいを持った方々が、信仰により、見えない目が見えたり、立てない足が立てたりすることが奇蹟なのではなく、見えないまま、立てないまま、その人が神の子としての自覚に目覚め、前に向かって生きていくことが信仰なのだと気づかせていただきました。
総裁先生、ありがとうございます。
       再拝 島根教区 岡田さおり

投稿: 岡田さおり | 2013年11月25日 (月) 16時21分

合掌  総裁先生ご指導ありがとうございます。島根教区では毎月 ブログ交換会が開催れております。 私もその一人として11月24日には久々に参加いたしました。 総裁先生のプログと、純子先生のブログを拝読し 感想等を皆さんと話し合い、その "まとめ" などをし、軌道修正等もいたします。 平成21年から毎月行われており 「インターネットによる講師活動の指針」の目的として立ち上げられたようです。 お陰さまで両総裁先生のブログをじっくりと拝読することができました。 今回のブログについてK教化部長よりポイントを3つ上げられ、それによって まとめ やすく理会しやすく 有難い時間を感謝いたしました。K教化部長の開会の挨拶の中でのポイントは ①ムスビの働きのこと②森の中のオフィスは移転しましたが ここからスタートである。 ③ 光明化運動は自分の光明化である。とお話して下さいました。参加者一同に改めて総裁先生の御指導に感無量の勉強となり、私は久々の参加に、やはり出向くことの重要性を感じ、出席しなかった過去を反省もいたしております。    

早々に「タカムスビノカミ」 「カミムスビノカミ」の二柱を神棚に差上げ、天津祝詞をあげるようにいたしました。 生長の家の奥深い御教えに 高齢ではありますが学ばせていただきます。    感謝合掌 
             島根教区  足立冨代  
  

投稿: 足立冨代 | 2013年11月27日 (水) 18時18分

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