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2013年9月 8日 (日)

オリンピックの東京開催をどう考えるか

 2020年のオリンピックを東京で開催することが決まった。私はすでに前回(2009年)の開催地選考の際に東京での開催に反対していたから、読者はきっと驚かれないと思う。ただ、今回の決定が前回に比して特に残念なのは、2011年の東日本大震災と原発事故という日本と世界にとって極めて大きな経験から、日本が国家として何も学ばなかったと思われるからである。何万人もの尊い命が失われ、それ以上の数の人々の故郷が失われたにもかかわらず、「これまで通りの経済発展を目指すことが日本の進む道だ」という方針を、わが国は少なくとも7年後まで継続することになるだろう。

 私は2006年8月末のブログで、五輪の東京開催に反対する理由をこう書いた--
 
「私が東京五輪に反対の理由は、この人口超過密の世界最大のヒートアイランドに、さらに建設資材と機材とエネルギーを投入して温暖化を促進し、そこへエアコン装備の巨大施設を造り、世界中から大勢の人を招び寄せて、さらに大量のCO2を排出することを、京都議定書を生んだ国の政治・経済政策にしてはならないと思うからである」。

 その後、京都議定書からは、日本は事実上脱退してしまった。自分で作っておいて、自ら放棄したのである。しかし、だからとって、温暖化対策を放棄してしまっていいということにはなるまい。わが国は、民主党政権下で温室効果ガスの削減目標を「2020年までに1990年比で25%」とした。それを、今の自民党政権は反故にしてしまおうとしている。安倍首相はこの目標を「ゼロベースで見直す」と明確に指示したからだ。そういう文脈の中で五輪の東京開催を強力に進めてきたのも安倍首相である。彼が目指していることは明らかではないか。地球温暖化対策は適当にごまかして、五輪開催にともなう大規模な公共工事や資本投下を実施することで、GDPやGNPの値をつり上げ、従来のような経済至上主義的な「日本を取りもどす」のである。

 この考え方の背後には、もう一つ無視してはいけない前提がある。それは、原発の本格的再稼働である。東京五輪を準備するためには、東京に大量のエネルギーと資材を供給しなければならない。そのエネルギーを今のように火力発電に頼ることはできない。原油の高騰と温暖化ガス排出増で、出費はかさむし批難されることは目に見えているからだ。しかし、五輪準備のためには原発の再稼働は必須である。が、福島第一原発の事故が継続中で、被災者救済事業も進んでいない現状では、原発再稼働への道は険しい。そこへ「五輪開催」という“錦の御旗”が手に入った。これが得られれば、「経済発展のため」という怪しげな理由に加えて、「五輪を成功させるため」という“夢のある”理由ができる。国民も都民も「スポーツの祭典」という美しい言葉に目を奪われて、きっと原発再稼働を容認するだろう……そんな思惑が見えてくるのである。
 
 しかしまぁ、先の参院選で自民党が圧勝したことで、こういう“従来路線”への回帰は予想されていた。私は民主主義を信奉する者であるが、それが完璧な政治制度だとは思っていない。他の政治形態よりはマシであるが、欠陥はいくつもあると考えている。その一つが「衆愚政治に堕す危険」が常にあることで、今回ほどこの危険を身近に感じたことはない。願わくば、無抵抗でズンズン突き進む自民党政治に有力な対抗勢力が早く現われ、「従来路線では日本も世界も救われない」という正論を展開し、自然と人間との調和を目指す現実的な政策を打ち出してほしいのである。
 
 ところで今日は、山形市で生長の家講習会があった。私が講話で「五輪の東京開催決定」の話に触れたこともあり、それに関する質問が2つ出た。1つは、山形市に住む男性のもので、こうあった--
 
「私は今日朝4時に起床して、2020年オリンピック開催地のテレビ中継を見ました。東京に決定して大変よろこびました。しかし、先生はオリンピック開催はあまり感心しないようなお話がありました。環境問題も含めてのことだと思いますが、よろしくお願いします。」

 この男性は、オリンピックの東京開催に賛成の立場だったが、私はそれに反対する理由を上記のものを含めて講習会で詳しく述べたので、今はどう考えておられるか分からない。もう1つの質問は、「五輪の東京開催」には明確な反対意思を表明していた。私の午後の説明を聞く前に書かれた質問だから、初めからこの問題を疑問視されていたのだろう。大石田町に住む75歳の女性からの質問である--
 
「明るい方向に目と心を向けるべきとは分かっているつもりですが、東日本被災地、人々の事を思うとき、きまったばかりの2020年のオリンピックのことを考えると、どうしても心が晴れません。オリンピックの東京開催を、何事もなかった、ないように喜んでいる特に政治家の、心の内が理解しかね、悩んでいます。」

 大石田町は、山形県の内陸部の最上川に面した町で、江戸時代は河港町として栄えた。天領として船役所が置かれ、奥羽山脈を越えて仙台藩にまで至る物資の流通ルートの要だった。そして、福島県にも近い。だから、この女性が「東日本被災地、人々の事を思う」と書いているのは、もしかしたら福島県から避難してきた人を直接知っているからかもしれない。そういう数多くの人々の破壊された故郷が、五輪の東京開催で今後どうなっていくのか……この疑問に政府は答えていない。巨額の借金を抱えた国が、五輪への投資と東北復興の両方をやるといっても、誰も信じないだろう。大都市と大企業の繁栄のために、東北地方は再び犠牲になるのかという疑念と不安は深刻だと思う。

 そんな中で、異常気象が続いていることは前回、8月27日の本欄ですでに述べた。その際は、日本周辺の、我々の生活に直接影響することに限定して書いたが、異常気象は決して日本周辺だけに起こっているのではなく、世界中で頻発しているのだ。今日の『朝日新聞』は、そのことを分かりやすくまとめている。気象庁が「異常気象」という場合、それは「30年に一度あるかないか」という気象現象だという。そういう現象が、今年の1~7月だけで合計72件に及んでいるのだ。つまり、月平均にして10件程度、「30年に1度」の異常現象が起こっているのだ。ということは、異常現象が常態化しつつあるということだ。それは例えば、どんなことか?--
 
「インドでは6月中旬、北西部のウッタラカンド州デラドゥーンで大雨となり、洪水などで560人が死亡。これを含めインド全体で658人の死亡が確認された。欧州も5~6月に各地で大雨となった。5月のドイツの降水量は1881年以降で2位。チェコでは非常事態宣言が出されて2万人が避難。チェコ、ドイツ、オーストリアで計18人の死亡が確認された。
 中国南部は7月、平年より気温が高く、降水量は少なかった。米国オクラホマ州では5月、竜巻がたびたび発生、40人以上の死亡が伝えられた。ロシア北部のオレニョクでは5月の平均気温が平年より7.9度も高かった」。
 
 先進諸国は、インフラや技術が整備されているため、異常気象に対する抵抗力は比較的強い。しかし、途上国はそうはいかないから、異常気象による死傷者の数は当然、途上国の方が先進国を上回ることになる。つまり、我々の贅沢な生活や、放縦的なライフスタイルによって途上国の罪のない人々が死傷するという現象が、今後続いていくことになる。それでも五輪を開催して、自分たちの経済発展を進めていこうというのだろうか。私は、こういう倫理観の欠如した国の政策を嘆くのである。
 
 谷口 雅宣

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コメント

 この危急の時に明確なご指導を示して下さり幸甚に耐えません。誠に有り難うございます。

投稿: 堀 浩二 | 2013年9月 8日 (日) 23時14分

合掌ありがとうございます。
東京オリンピック開催が経済優先に突き進むように見えて、もやもやしている一人でした。具体的な問題点を教えてくださり、ありがとうございます。

小さくても、ささいな事でも、ひとりが始めなくては変わらないとご指導頂いたことが強く心に残っております。

生活の中で取り組んで、皆さんに発信していきます。

投稿: 内田千里 | 2013年9月 9日 (月) 12時00分

総裁先生、ありがとうございます。

ただただその通りですと申し上げるしかございません。

がフェイスブック等でも私の周りになんと喜んでる人が多い事か…

オリンピック=経済発展

という大昔の迷信を未だに信じてる人が多い事にただただビックリです。

アテネオリンピックの6年後にギリシアは経済破綻しました。
北京オリンピックによる急激な発展で中国は大気汚染を引き起こしました。

どれもこれも祭りの後の悲劇です。

ただオリンピックそのものには罪が無いと個人的には思います。純粋に人類が限界に挑戦するスポーツの祭典は、各国に於いてネットによる同時中継など、CO2を排出しない方法で競い合うことが出来ないものかと考えてしまいます。

偽りの東京オリンピックバブルで、国の借金とCO2の排出が増えるであろうことを考えるとただただ残念でなりません。

投稿: 布谷博之 | 2013年9月 9日 (月) 13時30分

総裁先生,ありがとうございます。
 オリンピックの東京開催について,総裁先生がどのようなご意見を述べられるか注目していましたが,こんなに早くブログにお書きくださったことに感謝致します。

 東北地方は昨日,未明からずっと雨が降り続いておりました。空が泣いているかのように・・・。

投稿: 佐々木(宮城教区生教会) | 2013年9月 9日 (月) 19時54分

合掌ありがとうございます!2020年の東京がオリンピック開催について、スポーツ選手やそれを目標している人たちはそれを目指してやっています。明るいニュースの反面、原発問題や地震、津波対策など人命に関わるものが今現在解決されないまま、どうかな?って思いましたね。東北の方々の人の中には解決されないままオリンピック開催をやっていていいのか?IOC総会で福島の原発の汚染水問題をされた記者の方が安倍首相に質問されて首相は一生懸命、お答えになられてましたが果たしてどうなるかわかりません。総裁先生のブログを拝見して参考になりました。人、それぞれ思いがあると思います。でも人間、神、自然の大調和をする思いを大切にこれからの生活に生かしたいと考えております。総裁先生、ありがとうございます。再拝。

投稿: 兵庫教区青年会辻昭 | 2013年9月 9日 (月) 21時52分

合掌有難うございます
山形教区の講習会では本当に両先生とも解りやすい講話を有難うございました。オリンピック決定の当日でもあり
質問された女性の方は私の地区の方でした。バスの中で心から喜べないと話して行きましたが先生の回答して下さったお言葉で帰りは重荷が降りたと喜んで帰ってきました
ありがとうございます。
16日~17日と山形から森のオフィスの見学に参加します
楽しみです。合掌

投稿: 鈴木和子 | 2013年9月11日 (水) 10時59分

合掌 ありがとうございます。総裁先生のオリンピック東京招致のブログを繰り返し拝読させていただきました。私も東京招致には大反対です。アスリートたちを使ってプレゼンテーションさせて、その上、滝川クリステルさんの「おもてなし」が流行語にまでなる有り様。とんでもないです。石原前都知事が、東京招致に躍起になっていましたが、日本は瑞穂の国…農業やもの作りの国であって、公共事業の国ではないはずです。これ以上ハードは要らないと思います。大震災から復旧も復興もしていません。総裁先生がご教示くださったように オリンピックにはものすごいCO2が排出されます。私はケアマネージャーをしています。担当している患者さんたちは障害者や高齢者ですが、皆さん、東京招致には大反対です。介護保険は破綻寸前です。国はもっとやるべきことがあるはずです。大震災であれだけの被害を、出して、まだ汚染水は海に流れているのに総理は「大丈夫!私が、保証します」なんて言っていました。総理が海に潜るつもりなのでしょうか?今も避難されてる被災者のみなさま、そして、尊い生命を犠牲にして私たちに大切なことを教えてくださった犠牲者のみなさまのことを思うとき、日本はオリンピックで浮かれていては
いけません!日本人は目を醒まさなければなりません。そうしないと とんでもない方に進んでしまいます。大震災で犠牲となってくださったみなさまの命を無駄にしてはいけません。私たち、地方講師は今こそ心をひとつにして、総裁先生に中心帰一して、正しい教えを日本に、世界に伝え、広げていかないといけないときだと思います。 間違った政治や宗教は多くの人を惑わします。これは罪です。総裁先生、オリンピック東京招致に関して、とても詳しくわかりやすいご教示をいただきましてありがとうございます。拙いコメントですが書かせていただきました。再拝
             岡田さおり拝

投稿: 岡田さおり | 2013年9月11日 (水) 23時00分

合掌 ありがとうございます。 東京に招致されたオリンピックに都民の喜ぶ様子が日々放映されている。 2011・3・11の東日本大震災と原発事故の後始末も片付かないまま国の焦点はずれっぱなしである。除染も出来ていない状態で除染はできているような国の発言。汚染水問題も解決どころか 海に流れ出ている。このオリンピックでco2の排出量は一揆に地球環境破壊に繋がる可能性が考えられる。人間だけの繁栄では決して地球は危機から脱出でないと同時に人間の生命維持は保証されないと言うことになると考えられます。自然へ負荷をかけない一人一人の正しいものの観方考え方を実践せず 人間は自然に生かされている一部であることを私たちは忘れてはならない。我々の間で同じ御教えを学ぶ中にオリンピック招致を喜ぶ人もある。私は反対ですnouとはっきり言ってよいのである。と総裁先生のブログを拝読して心強くいたしました。感謝いたします。
 再拝     島根教区 足立冨代

投稿: 足立冨代 | 2013年9月12日 (木) 18時08分

合掌ありがとうございます。

オリンピックに関する先生のご文章を拝読させて頂きました。

確かに、現象的に見れば明らかに今東京で開催する時期ではないでしょう。

東京に決まった時、私は複雑な思いがいたしました。

他にやるべき事が沢山あるはずです!

6名の方々のコメントも拝見させて頂き、確かにその通りであり、当然の内容であると思いました。

しかし、そればかりに注目して嘆いていては、ますます心が暗くなるばかりであります。

決まってしまったものを今さら変えられるべきものではありません。

私は、東京招致はプレゼンテーションの段階より凄い熱意が伝わってきて、今回は諦めざるを得ないのかと失望していながら、選ばれない可能性を少し期待して祈っておりました。

ただ、東京開催決定後、気付いた事は、今後のオリンピックが、2016年にブラジル、2020年に日本、と、2大会連続で生長の家と深い関係のある2ヶ国で開催されるという事実です。

また、それが生長の家が10月から森の中で新しい運動をスタートする直前の時期に決まったという事実です。

と言っても、具体的な解決策ではなく、あまり関係ないと思われる人があるかも知れませんが、私はどうしてもその事が頭から離れないのです。

生長の家は何事もまず祈りに始まって祈りで終わります。

オリンピック自体は、その開催国に世界中のエネルギーが集中し、スポーツは人々に力と勇気を与えてくれます。

開催が決まってしまった今、まず私たち信徒に出来る最初の事は、このオリンピックをきっかけに、全世界に光明エネルギーが拡がって、やがて世界中が光明化される事を祈る事ではないかと思います。

今からそれをやる事によって、そこから良きアイデアが次々と生まれ、それによって本来悪い方向へ向かっていく東京オリンピックで奇跡が起こるかも知れません。

現実的ではないかも知れませんが、私にはどうしても2016年にブラジル、2020年に日本、と、2大会連続で生長の家と深い関係のある2ヶ国で開催されるという事、そしてそれが生長の家が10月から森の中で新しい運動をスタートする直前の時期に決まった事、それを無視して通る事が出来なかったので書き込みさせて頂きました。

正直、

"この神様のメッセージは何なのか?"

と、何度も考え込んでしまっておりました。

現象的な問題を何でもかんでも良しとしてプラスに考える安易な考え方では決してありません。

ただ、あまりにも暗くなり過ぎてしまっていては前進する力も失ってしまいます。

諦めずに一筋の光を探し続ける事が日時計主義の生活実践においてはとても大切であると私は感じました。

先生のご文章を沢山の方々に読んで頂き、生長の家の教えを沢山の方々にお伝えする必要性を改めて感じさせて頂きました。

投稿: 澤田敏宏 | 2013年9月12日 (木) 23時26分

合掌 ありがとうございます。
まずは、決して個人攻撃ではないですので、どうか誤解なさらないでいただきたいのですが、澤田さんのコメントをお読みして、納得がいかなくて、再度コメントさせていただきます。
総裁先生のブログはたくさんの方が読んでおられます。今日、私の職場のスタッフたちや患者さんたちから、澤田さんのコメントに疑問を感じる…と言う人が何人もいましたし、私自身もそう思いましたから、このようなコメントを書かせていただきますこと、お許しくださいませ。
澤田さんは、ブラジル、東京と生長の家に縁の深い国に続けて招致されたこと、森の中のオフィスに移る寸前に招致が決まったことに、神様のおはからいと言いますか、御心を感じていらっしゃるようにとれるのは私だけでしょうか!?確かにブラジルには日本以上の信徒さんがいます。私は、かれこれ8年、在日ブラジル人信徒さんのお世話活動に携わらせていただいていますが、生長の家はご存知の通り、「生長の家の大神ー総裁、副総裁ーみおしえ」ですよね。そこを貫くところの真理を私たちは常に、心に、運動しないといけません。ブラジル人信徒さんたちだって、ブラジルや東京での招致に反対してる
人はたくさんいますよ。今日も全盲の方が、「原発を全部再稼動させないと、オリンピックはできない。増税も免れない。日本は政治家は日本を取り戻すんじゃない。もう、この国は、欲望だけ。経済最優先なんだ。原発問題は何も解決してないのに。」と言われました。決まったことは仕方ないでしょう。でもだからと言って、そこに日時計の考え方を持ち出して、日本とブラジルで続けて招致されたことに何の意味があるとお考えなのでしょうか!? 介護保険ひとつとっても、日本はもう、立ちゆかない状況なのですよ。毎日テレビでオリンピック東京招致に沸き立つ姿が報道され、さも日本全体が喜んでいるかのような報道の仕方にまず疑問を感じます。総裁先生は日本の将来を、憂いてらっしゃり、東京招致にはずっと反対を、ご教示くださったのです。今回もどれだけの、環境破壊がもたらされるか先生はあらゆる角度やご見解から、大切なご教示をまたブログで発表してくださったと私は思っています。決まったことは仕方ないから、そこから光明を見いだすのは私にはできません。生長の家は実相を観る教えだが、現象を無視しなさいとは
言っていない。と随時前に総裁先生はおっしゃいました。東京招致なんかしたら、日本はどうなるんでしょうか?神さまは人間に、知性を与えられたのに、人間はあまりにも愚かなことをして、自然破壊しています。オリンピック東京招致に光明なんて見いだすのは私には無理です。  岡田さおり拝

投稿: 岡田さおり | 2013年9月13日 (金) 22時00分

皆さんのオリンピックについての、意見交換を読んでいたら、わたしの中にも、色々な思いがでてきました。
先の戦争の時には、ほとんどの日本人が正しい戦争、聖戦だと言って、またそう信じて戦争に突き進みました。その中で反対する人もいましたが、当時は大きな声では言えない時代でした。
元国連難民高等弁務官の緒形貞子さんは、学校で教えられたとおり、当時の子供がそうであつたように、戦争に積極的に協力しました。
そんな中、アメリカ生活が長かったご両親は、一般の日本人とは違い、戦争を冷めた目でみていたそうです。幼かった緒形さんは、その事が不満だったのですが、戦争が終わり、日本と世界について広い知識を得、次第に戦争の事実が明らかになるにつれて、当時のご両親の態度がよくわかるようになったそうです。
「多くの人が喜ぶから良い」とか「大勢が賛成するから正しい」ということで、よく考えずに行動する事は大変危険であり、民主主義の大いなる矛盾であるとも言われています。
オリンピックの問題も原発の問題も根っ子は同じだと思います。
地球温暖化による気候変動があり、原発は生物の生存を危機に晒します。
だからみんな嫌なのです。嫌だけれど、その危険を回避するための、具体的行動に出る人は大変少ないです。危機は嫌だけど、現在の豊かさや快適さは、維持したいと思っています。
私だって歯を食いしばって、必死に我慢する生活は、嫌です。けれど、本当はそんな事はなくて、少し配慮しながら、生活の中で何を大切にするかを考え、限りない欲望から解放される事によって、経済発展至上主義とは違う生き方の方が、余程人間らしい生き方ができ幸せ度も増すでしょう。
手前味噌になりますが、反対するだけで、実際の行動に出ない人がほとんどです。それでは、ムードだけの自己満足です。実際に効果のある具体的な行動が必要です。そういう意味では、生長の家が本部を森の中に移転し、脱原発を実際に実行する事は、大変説得力のある行動です。
誰もが同じ事はできないかもしれませんが、同じ方向に努力する事はできます。オリンピックがどうであれ、私達は、私達の信ずる道を、たんたんと歩む事が、大切であると思います。

投稿: 谷口純子 | 2013年9月14日 (土) 21時53分

岡田様

 あなた様の仰る事はごもっともだと思います。私も澤田さんのご意見は?と思いますが、僕はこのオリンピックは唯物論の金儲け主義ここに極まれりの象徴だと思います。それは迷いだから、必ず自壊しますよね。私はこのオリンピック東京開催というのは人類の迷いの自壊作用の始まりであり、そこから第二の天孫降臨という事が地上世界で後々起こって来るのではないかと思ってます。

 そういう意味では光明を見いだすという事も出来なくもないと思います。

投稿: 堀 浩二 | 2013年9月14日 (土) 22時00分

近頃の異常気象はIOCや誘致する方々に思考の変化を及ぼさないのでしょうか?

しかしながら、澤田さんのようなご意見の方もおられるので、自分自身の考え方の整理のためにも、サイトをいろいろ見てみました。知れば知るほど今のやり方を続けることの問題点が出て来ます。
オリンピック過去開催地の跡地の状況、16年のリオや18年の平昌の準備状況、第一回大会(参加者245名、開催期間10日間、参加国14ヵ国)からの変化、ロス五輪以降の商業主義の問題、いろいろ考え合わせてもスポーツ振興のあり方は変わるべきだと思います。少なくとも一つの都市で一万人以上の選手、及び関係者、観客を集めてのオリンピックは総裁先生が言われるように時代錯誤と思います。

「汚染水は港湾内で完全にブロック」と発言した首相もそうですが、それを聞いても東京に投票した多くのIOC委員、どこの都市でどうやって開催するかしか考えていないのは明らかです。一刻も早く現在の世界が置かれている状況、囚われている迷妄に気づかれることを願います。

投稿: 加藤裕之 | 2013年9月17日 (火) 19時28分

私の表現が不十分で、皆様に大変な誤解をさせてしまいました事を心よりお詫び申し上げます。

オリンピック、ブラジル開催を喜ぶ内容だけでしたら、皆様のご意見が当然であると思います。

決してそうではない事も私は書いたつもりでしたが、どうしても文章のみであると、いつの間にか掻き消されてしまう傾向にあるようです。

直接説明させて頂きました時はちゃんとご理解を頂けたのですが、そこが文章の難しさであると感じます。


現象から目を反らしてはいけない。

しっかりと見つめて、その解決策を見出さなければならない。


しかしながら、私は既に決まってしまったオリンピック東京開催を取り消す術を知りません。

落ち込んでばかりでは暗くなるばかりであります。

その中で、僅かな光でもいいから見出して、再び立ち上がろうとする努力は間違いでしょうか?


既に決まってしまった開催、といいますか、人災と言っても良い東京オリンピックを取り消す事が出来ない今、ほんの僅かな光を頼りに少しでも被害を最小限に食い止める方法を見出していく事しか出来ないのではないでしょうか。

もっと深い話になると、人間の欲望を如何にして食い止めるのかという大きな問題に直面していると言ってもいいと思います。


本当に探して探して、やっと何とか見出した一筋の光が、ブラジル、そして日本と、2開催連続開催でした。

暗黒の中で、なかなか見出せなかった、本当に小さな光であり、それを強調してしまった為、まるでオリンピック開催に前向きであるかのような文章になってしまいました。

前回の投稿では神様と波長を合わせて答えの導きを待つしかないという事までしか書けませんでしたが、日本とブラジル開催は、神様が地獄に垂らせてくれた、一本の蜘蛛の糸のような気もします。


今回の私の投稿と皆様の投稿を読ませて頂き、文章にて人に伝える事の難しさを改めて実感させて頂きました。


投稿: 澤田敏宏 | 2013年9月23日 (月) 16時40分

合掌 ありがとうございます。
まず、文章って本当に難しいと思います。堀さん…コメントいただきありがとうございます。今の時代はありがたいことに、こうしてインターネットで総裁先生のご教示を学ばせていただくことができるのです。そしてこれまたありがたいことに、コメントを総裁先生が読んでくださるのですから、光栄ですよね。でも、世の中には、色々な考えの方々がいて、私のコメントに対し、「左翼のケアマネージャーは福祉界には要らない!」「大震災は民主党政権下で起こったことをどう考えるのか?」「オリンピックが東京で開催されると、街のバリアフリーが進むから障害者は喜ぶはず」「総裁を盲信して洗脳された講師が仕事で患者に自分の考えを押しつける」など、名前も書かないで 表現の自由を振りかざす団体がいると 患者さんがパソコンの画面を見せてくださり、あきれ果てました。
総裁先生は地球環境問題に早くから、ご教示くださっていますね。生長の家は立教以来、天地一切のものに感謝しなさいという みおしえが現在まで一貫して続いています。
総裁先生は人間の欲望の赴くままに このまま自然破壊を続けて行くことで、世界中のあらゆる国で、異常気象がもたらす現象を わかりやすくご教示くださり、警鐘を鳴らし続けてくださっていますね。
ここ、島根でも、担当している 85歳の女性のお宅の裏庭にあるバナナの木に、なんと、今年バナナが収穫できたのです。この方も、ここへ嫁いできて65年間、バナナの実が採れたのは初めて!フィリピンでなくても出雲でもバナナが収穫できるんだ、ひたすらビックリされています。島根でバナナが収穫できるなんて、ここが亜熱帯化している ひとつの事例だと思います。オリンピック東京開催にみられるように、日本は拝金主義、経済最優先の経済至上主義をつづけて環境を破壊し続けていくことのないよう、総裁先生は現代の喫緊の問題をご教示くださり、生長の家の信徒は、日々の生活の中で、できることから実践して、共感してくださる人を増やしていこうと、私たちは総裁先生のみおしえをいただき、実践させていただく努力と工夫を展開しているんですよね。
国は「要介護3以下は特別養護老人ホームどに入所できない」など、福祉より公共事業を優先させていますが、誰に叩かれようとも、これからも正しいことはきちんと お伝えしていきたいと思います。総裁先生に中心帰一が生長の家のみおしえですから。ありがとうございます。
          岡田さおり拝

投稿: 岡田さおり | 2013年9月27日 (金) 21時49分

合掌ありがとうございます。
僕は当初、東京オリンピック開催を肯定していました。
しかし、その後、カヌーの競技場建設のため、葛西臨海公園によみがえった東京湾の自然が破壊されることを知り、開催を推進している人たちは自然環境などまったく無視しているのだとわかり、完全に反対の立場にまわりました。
あと、これは個人的な憶測ですが、今年は伊勢神宮と出雲大社が同じ年に遷宮する史上初の出来事のある年です。
東日本大震災で、自分達の生き方に疑問を抱いた人々が、この遷宮で、忘れていた、あるいは見過ごしていた宗教心のある生き方に目覚めるきっかけだったのではないでしょうか?それが、東京オリンピック開催の報道以来かき消えて、多くの日本人の関心は、再び経済発展の夢物語に移ってしまいました。
ここで陰謀論を語るつもりはありませんが、何か日本人に神仏を敬う心が戻るのを妨害しようとする勢力があって、オリンピック委員会を動かしたのではないか?などと考えてしまいました。
僕の取り越し苦労ならいいんですが。

投稿: 岡本隆詞 | 2013年9月27日 (金) 22時29分

岡本さん、

不安な気持ちはお察しします。岡本さんのコメントを読ませて頂き、再び書き込みをさせて頂こうと思いました。

ただ、文章だけでお伝えしますので、前回の私の書き込みのように大事な部分が掻き消され、また誤解が生じるかも知れませんが、それは私の表現力の問題でありますので、どうかご了承下さい。

勢力と言うか、現象的にそういった勢力があろうがなかろうが、結局、それは我々の過去の想念の集積の結果であり、誰が悪いとかいう問題ではありません。

自分の心のコントロールですら難しいのに、それが集団であればなおさらです。

実際、ないものをあると想像してしまうという誤解が更なる誤解を生み、積み重なった結果です。

一人一人の本心は、本当は不幸なんて誰も望んでいない。

ただ、良かれと思ってやった事が、結果的にとんでもない事を生み出してしまう。

その力がますます大きくなると、止められなくなってしまう。

ただ、人類はその大失敗を教訓に進化していく。

何故なら人間は本来神の子で、永遠生き通しの生命であり、無限生長の道を歩んでいるからです。

あたかも、興味本位でストーブに触れてヤケドをして、ストーブが熱い事を学ぶ子供のように。

地球の長い歴史を考えたら、人類の歴史はものすごく短く、まだ幼児にも達していない乳児の段階なのかも知れません。

実際、人間の本来の力である潜在意識のまだ数パーセントしか出していませんので。

総裁先生はその立場上、どうしても必要な真実は伝えなければならない役割がありますが、我々があまりにもそれに便乗してマイナスのコメントばかりを書き込んでしまう必要はないと思います。

総裁先生は、"日時計主義"をお説き下さっています。

ただ、良い面ばかりを取り上げて悪い目には蓋をするという事では決してありません。
現象から目を反らしてはいけない。

しっかりと見つめて、その解決策を見出さなければならない。

だからと言って、コメントがあまりにもマイナスの内容ばかりでは暗くなる一方であります。

その中で、僅かな光でもいいから見出して、再び立ち上がろうとする努力をしていく事がとても大切なのであります。

本当に人類が今抱えている問題を乗り超えた時、本当に素晴らしい世界が実現していく事でしょう。

まだまだ現れていない、人間の奥底に眠る、宇宙と一体である偉大な力が発揮され、地上天国が必ず実現する事を私はこれからも信じて疑う事はないでしょう。

投稿: 澤田敏宏 | 2013年9月29日 (日) 07時20分

東京五輪開催をめぐって、元経済企画庁長官の田中秀征氏が、「オリンピックを簡素なものとして開催すれば脱原発と両立させることができ、文明の大きな転換点とすることができる」という主張を述べているのを、遅まきながら、今日見つけました。

ですが、私自身は、氏の主張に賛成することはできませんでした。

この記事は、ダイヤモンドオンラインに連載されている「田中秀征 政権ウォッチ」の2013年9月12日の記事です:

東京オリンピックは文明の転換点になる
http://diamond.jp/articles/-/41572

ここでの田中秀征氏の主張の要点は、次のとおりです(この記事の2ページ目):

---〈以下引用〉---
 2020年には、世界の資源、エネルギー、食糧などの供給体制に赤信号が灯っているだろう。個人、地域などの格差が許容範囲を超えてグローバル経済が大きな転換を迫られている可能性も高い。偏狭なナショナリズムの不毛な抗争も反省期を迎えているかもしれない。

 われわれの東京オリンピックへの道は、その時代の方向を先取りしたものにしなければいけない。

 そのキーワードは“簡素”にしたい。オリンピックはもちろん、その後の日本や世界のライフスタイルも、その方向に進むことを示すようなオリンピックにしたいものだ。

 大袈裟に言えば、東京オリンピックは“文明史の転換点”。意図しなくてもそうなるが、意図して進めばその成果は画期的なものになると私は信じている。その第一歩は、“脱原発”であることは言うまでもない。
---〈引用終わり〉---

つまり、「オリンピックを簡素なものとして開催すれば、脱原発と両立できる」というのが、氏の主張の要点です。

しかし私自身には、本当に簡素なものとして東京五輪を開催できるとは、とても思えませんでした。

というのも、五輪をめぐる熱狂は非常に大きなものであり、その巨大な熱狂が莫大なエネルギー消費を要求し、その結果、原発再稼働もやむなしという結論にもなりかねないと思われるからです。

この現象世界は「光と迷の反映が交錯してあらわれている映画」だと教えられております(谷口清超監修・生長の家本部編『新編 聖光録』42-43頁、ただし表記は現代仮名遣いおよび当用漢字に改めました)。

東京五輪開催をめぐっても、そのような光と迷の反映が交錯することになるのでしょうが、それがどうあれ、私たちは、谷口純子先生がコメント欄でお説き下さっているように、正しい道をただ歩んでいくことが大切なのだと考える次第です。

山中優 拝

投稿: 山中優 | 2014年1月24日 (金) 11時30分

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