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2013年5月 9日 (木)

植物への愛

Cherrypark_fujimi  人間は緑色を見ると、心に安らぎを感じるものである。なぜなら、緑は植物の葉の色だからだ。進化心理学では、これを「人類の先祖がアフリカで樹上生活をしていたころ、周囲が葉で覆われている場所は外敵から身を護れる場所だったからだ」と説明する。つまり、「緑」とは「安全」と「安心」を意味したのだ。こういう遺伝的な記憶があるため、21世紀の現代人も、高層ビルの中や地下のコンクリートの部屋にいても、植物を飾って心を落ち着かせようとするのである。「観葉植物」というものがあること自体、私たちが植物なくしては心の健康を保てないことを示している。

 心の健康だけでなく、「肉体の健康」も植物のおかげで保っている。人間にとって野菜や果物、穀物が栄養素を摂るために必要であるというだけでなく、現在の医薬品のほとんどが、植物由来のものか、それと同等な化学的合成品である。加えて、香のように、色ではなく、においが私たちの心に働きかけるものがあり、それも植物由来であるか、それと同等な合成物だ。
 
 植物の体の一部である「花」は、特に人間に愛され続けてきた。人間が営む文化生活は「花」なくして成立しない。花は古来、絵画や彫刻によって記録され、物語の小道具として、あるいは詩のテーマとして使われ、人間の心を運ぶメッセンジャーの役割をしてきた。花言葉、花合せ、生け花、花垣、花笠、花かつら、花札、花電車、花時計、花屋敷、花ロウソク……など、人間の花好きをよく示している。
 
 日本人は、花の中でもサクラを愛することは有名だが、そのおかげで日本中にサクラが植えられ、春になると“サクラ前線”なるものが列島を北上する。サクラは「北上」するだけでなく、同じ地域でも高低差がある場合は、低地から高地へと上っていく。今年は、5月に長野県富士見町へ行ったとき、まったく予期しない町の駐車場で、満開状態の見事なシダレザクラに遭遇した。ありがたい驚きだった。

●植物の美しさと命を感じる祈り

 道ばたに咲く、小さなスミレ。空からはらはらと散るサクラの花。天を突くスギの森。海風にたえるマツ林--
 
 神さま、私は花々の愛らしさ、木々の美しさや力強さを心に強く感じます。体の外にあるこれらの植物を、内部に強く、美しく、力にあふれて感じることができるのは、私の命と植物の命が本来一体であるからです。花の色、繊細な形、色と形の組み合わせに、木々の枝の伸びやかな広がりや太い幹に、私が無限に多様な美を感じることができるのは、植物の発するメッセージを私の命が喜んで受け止めている証拠です。

 神さま、あなたは植物をとおして、私に命を与えてくださっています。ありがとうございます。

 谷口 雅宣

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コメント

ご文章を拝読しまして、父が家の(たいして大きくない)小さな庭に、ツツジとかヒマワリ・ビワ・椿、その他、名称はわかりませんが、食べられる実のなる木を植えていたのを思い出しました。父が何故、そうしたのか?は、わかりません。 私の父は、終戦まで満州で過ごし、引きあげて来てから母と結婚して前述の花等を植えて育てていたのです。 父はその花々等を写真撮影も時々しており、撮った写真を母(私からすると父方の祖母)に見せてもいて、「まるで、植物園みたい」と、言われておりました。 私は、何故か、そのような事を思い出しました。 再拝

投稿: 志村 宗春 | 2013年5月10日 (金) 00時51分

合掌 総裁先生、いつも素晴らしいご指導ありがとうございます。「植物の美しさと命を感じる祈り」がそのまま、すっうと、私の心に収まりました。ありがとうございます。田舎に生まれ、田舎に住まわせていただいていることに、この上ない有難さを感じさせていただきました。深い有難さを教えていただき、ありがとうございます。再合掌 島根教区 石田盛喜代

投稿: 石田盛喜代 | 2013年5月11日 (土) 01時58分

純子先生のご文章にもございましたが、日本と同じように朝晩の気温と昼間の温度差が激しくて、長そで半そでの繰り返しになっておりますこちらカナダのバンクーバーです。一年中で一番素敵な季節を迎えるこの季節、どこからともなく花々の良い香りが漂ってきます。時々、リラックスしたい時に、アロマキャンドルを灯したり、アロマオイル(Aroma oil)をろうそくで蒸発させて芳香を楽しんだりします。フレグランスオイル(Fragrance oil)とも言うみたいですが、お気に入りはラベンダーの香りです。ろうそくの上の部分の容器にお水を入れて、その中にオイルを数滴たらします。そう言えば、総裁先生のCDにも、大泉のラベンダーのお話が出てきますね。植物の香りは、気持ちをとても落ち着かせてくれて、何だかやさしい気持ちにさせてくれます。今回のお話もとても素敵でした。ありがとうございます。 バンクーバー 大高

投稿: 大高力夫 | 2013年5月11日 (土) 11時07分

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