アカマツの肌
倒れたアカマツの幹を見て、美しいと思った。
もちろん、倒れたから美しいのではなく、倒れたことで、直立した多くの木々たちと明確に区別され、美しいことが分かったのである。初めから美しくても、人間は自分の都合でそれを見ないだけである。そんなことが、自然界には溢れかえっている。いや、もっと正確に言えば、自然界は美にあふれていても、人間はそれを見ないだけである。
その倒木に近寄って、しげしげと眺める。
アカマツは「幹の肌が赤い」と思っていた、自分の先入見がしだいに崩れていく。赤茶色あり、黄色あり、肌色あり、そして緑さえある。それらの片鱗がモザイクのように並べられて、遠くから幹全体を眺めたときに赤っぽく見えるだけである。自然界は色にあふれている。いや、もっと正確に言えば、自然の色は太陽から来る電磁波の一部だから、自然界は太陽の無限の恵みを豊かに反映しているのに、人間はそれに心を閉ざしているのである。
倒れたアカマツは無念だったろう、と思う。
が、ひるがえって考えれば、そのアカマツは倒れることで森に活力を与えるのだ。八ヶ岳南麓は太平洋型気候であり、夏の日差しはとても強い。そんな過酷な太陽光のもとでも、乾燥した裸地に最初に根付く木の1つが、アカマツである。学問的には「陽樹」といって、強い光の中で盛んに光合成を行いながら速く生長する。だから“森の先駆者”だ。この陽樹の木陰に護られて、「陰樹」と呼ばれる森の“次世代”の木々が生長する。この一帯は、戦後の復興をにらんで短時日で生長するカラマツやアカマツが多く植林されたが、そんな木々が密生する森は通気が悪く、光に乏しく、二酸化炭素の吸収度も低い。だから、アカマツの倒木は森の活性化に役立つのである。ただし、倒れた木を人間がきちんと利用すれば……の話である。
アカマツの幹の裂け目を見ると、幼樹の頭がのぞいている。「死」は、人間の頭の中にしかないのかもしれない。
●自然の美しさをたたえる祈り
空の青と雲の白
輝く新緑と黒い木々
萌える若葉の柔らかさと
遠い青い山。
次々と開く花々の
鮮やかな色、色、色……。
自然の世界には
神さまの無限の美が、
満ちあふれています。
神の子・人間は、
これらすべてに触れて喜びを感じ、
自然の中で
生かされているありがたさに
心が震えます。
神さまはこんな自然をとおして
すべてのものに価値があり、
それぞれが組み合わさってこそ
美しさがあることを教えてくださいます。
神さま
ありがとうございます。
谷口 雅宣
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コメント
初めて投稿させていただきます。
総裁先生のご文章を感動のうちに拝読させていただきました。
{アカマツの倒木は森の活性化に役立つのである。・・・・・
アカマツの幹の裂け目を見ると、幼樹の頭がのぞいている。「死」は、人間の頭の中にしかないのかもしれない。} そして、
●自然の美しさをたたえる祈り・・・・・と、拝見させていただくうちに、自然の中で生かされているありがたさに心が震えて、涙が溢れて参りました。
平成3年から2年4ヶ月、林野庁から山梨県庁に出向し、林務部長だった夫が、(3年前に亡くなりました)先生のお書き下さった「倒木更新」の話をしてくれたことを思い出しました。仏壇の横には今、夫が佐賀県庁に出向していた40代の時に「森林護国」と書いたお皿が置いてあります。森の中のオフィスの落慶を知リましたら、どんなにか喜んだことでしょう。きっと生きとおしの世界で応援してくれていることを信じます。生長お家の御教えひたすらに生かされておりますことを、心より感謝申し上げます。
投稿: 岡 忠子(がこゆり) | 2013年5月 7日 (火) 20時44分