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2013年3月14日 (木)

“光明の塔”の構造について (2)

 しかし、さらに考察を進めていくと、この七層構造は『法華経』の記述とも関係があることが分かる。昭和40年に発行された『法華経解釈』(谷口雅春・佐藤勝身共著)の中で、佐藤勝身氏は、釈尊が教えを説いた際に巨大な宝塔が出現したという『法華経』見宝塔品の有名な逸話を解釈して、次のように述べている--
 
「それは原宿の神域の一画に見真道場が出現したということであります。この大道場が顕れたのは、形の上では信徒の敬虔な心の集積であり、荘厳きわまりなき実相世界を内在する空相、無相の真理が“七つの燈台”を象徴する七層の宝塔中に収められて、その真理が如来の室に入り如来の衣を着、如来の座に坐られたに依るのであり、その塔の中から大音声が出て、その音声によって、収拾し難きまでに混乱した思想界を調整すると云うことになる一大事因縁の成就するときが来たのであります。」(p.92)

『法華経解釈』という本は、谷口雅春先生と佐藤氏との「共著」である。具体的には前篇を佐藤氏が書き、後篇を雅春先生が執筆されるという分業でできている。共著であるから両篇の間には食い違いはないはずで、雅春先生は「はしがき」の中で佐藤氏担当の前篇について「掲載の順序は法華経の本文に随って整理し、文章の晦渋なところは平易に分かりやすくなるように私が加筆補正したところもあるが、原意はあくまでも尊重してある」と書かれ、佐藤氏の解釈の正しさを保証されている。
 
 このことを裏づける雅春先生の記述もある。それは、同書の後半部分で多宝塔(多宝如来)の出現について解説されているところだ。先生はここで、『法華経』における多宝如来とは「一仏一切仏」の真理を意味していると明確に説かれている。「一仏一切仏」の考え方は「万教帰一」の真理の別名ともいえるから、先生はここで事実上、「多宝如来とは万教帰一の象徴だ」と述べていられるのである--

「ところで、ここには十方の諸仏がそれぞれ多宝如来と、釈迦牟尼仏との分身の仏様であって、多宝如来がお姿(仏身)をあらわそうとするときには、“十方の諸仏が、尽く一処に還って来る”と書かれているのであります。これは何が説かれているのであるかというと、一仏一切仏の真理が説かれているのであります。十方世界で、色々の宗派の名称で宗教が説かれていても、それは悉く同一如来の分身であり、同一の真理が、悉く異る説き方で説かれているのでありますから、私達は宗派争いをする必要がないのであります。一仏が十方の諸仏として普遍していられるのでありますから、そのお姿を爰にあらわそうとするならば十方の諸仏を同時に一処にあつめて見せなければならないという訳であります。法華経の教えは最勝最尊であるにしましても、その法華経みずからの中に、諸仏は分身を出し給うて“一仏一切仏”として、凡夫の機根の相異に従って諸々の説き方で十方世界において説法しておられるので宗派の相異というものを生ずるのであるということを法華経が証明しているのであります。すなわち万教は一つの無色の太陽光線が七色の虹にわかれて、別々の光を放っていても、本来一つの太陽光線なのと同様であります。」(p.359)

 この解釈の元となっていると思われるのが、「無限供給の神示」(昭和7年5月5日)である。そこでは、説法中の釈迦の前に多宝塔が出現したことの意味が、次のように教示されている--
 
「釈迦が法華経を説くとき、われは地より湧き出で、空中に『七宝の塔』となって出現したのである。『七つの燈台』は世を照らす光の側よりわれを見たのであり、『七宝の塔』は多宝無限供給の側よりわれを見たのである。『七つ』と言うのは一切と言うことである。吾れは吾が誓願の如く、誰にてもあれ『生命の実相』を説くところに顕れ、彼を讃歎し彼に半座を分って偕に坐し彼と一体となる事を示す。」

 ここには「七層の塔」ではなく「七宝の塔」と記述されていて、法華経にもそう書いてあるが、神示では「層」か「宝」かの別はあまり重要でなく、「七つ」ということの方を重視している。また、この神示では「七宝の塔」と「七つの燈台」とが同一視されていることは重要である。

 これらのご文章から分かることは、生長の家では“七つの燈台”がキリスト教における万教帰一の象徴として解釈されてきただけでなく、「七宝の塔」が仏教における万教帰一の象徴と解釈され、これら2つの性格を併せもつ“七層の宝塔”を表現するものとして、本部会館の光明の塔がデザインされたということである。すでに触れたことだが、この光明の塔の正面には「七つの燈台の点燈者」である白髪白髯の神像が据えられているから、この塔は、三重の意味で「万教帰一の象徴」だと言えるだろう。
 
 谷口 雅宣

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