« 聖経について (7) | トップページ | 聖経について (9) »

2012年7月 2日 (月)

聖経について (8)

 谷口雅春先生はまず、昭和7年元日発行の初版革表紙『生命の實相』の中で、自由詩「甘露の法雨」を初めて公式に「聖経」と認定された。その後、7月末で会社員をやめて宗教活動に専念される。前述したように、それは会社側の都合による解職であるから、先生の経済事情が好転したわけでは決してない。そこで必要になるのは、完成した豪華本の『生命の實相』をより多く頒布し、『生長の家』の誌友や共鳴者をふやすことである。しかし、誌友は必ずしも全員が誌代を払わず、『生命の實相』も当初の予定より高額となったために、それほどの頒布数は見込めなかったと思われる。このことは、昭和7年発行の『生長の家』誌上で、同書を「誌友に限り1冊2円50銭」で販売するという広告がほぼ1年間続いたことからも分かる。当初の奥付の記載は「有縁の方に限り特に金4円にて頒布す」だったから、これは実質的な大幅値下げである。
 
 これに加えて考案されたのが、『生命の實相』の内容はそのままに、この分厚い本を薄い小冊子10冊ほどに分けて廉価で販売することだった。この小冊子シリーズは結構売れたようだ。そのことは、本シリーズの第2回で引用した『新講「甘露の法雨」解釈』の文章の中で、雅春先生が『生長の家の歌』という題のパンフレットに触れられて、「他の一連のパンフレットはよく売れて出たのであります」と書かれていることからも分かる。つまり、『生長の家の歌』以外のパンフレットは好評だったという意味だ。また、私の手許にあるこれらパンフレットの奥付を見ても、版を重ねたものが多いことからも推測できる。
 
 このパンフレットには『生長の家の歌』という詩集のほかに9篇ほどの“姉妹篇”があり、それらには共通した「生長の家叢書」というシリーズ名が付けられていた。内容は皆、『生命の實相』の一部である。10篇のタイトルを列記すると--
 
 第1篇『神への道しるべ』
 第2篇『光の新生活へ』
 第3篇『家庭生活の光明化』
 第4篇『こころ我を生かす』
 第5篇『吾が心の王国』
 第6篇『いのちのゆには』
 第7篇『無限生命の泉』
 第8篇『光明無限の生活』
 第9篇『生長の家の歌』
 第10篇『人間生通しの話』

 「聖経 甘露の法雨」を収録した第9篇『生長の家の歌』を含めた10篇のパンフレットの発行時期は、雅春先生が“二重生活”に終止符を打たれて宗教活動一本で歩み出されてから3カ月後の、昭和7年10月以降である。奥付に記載された発行日は、10篇のうち7篇には「昭和7年10月3日」と印刷されているから、先生が退職後最初に取り組まれた出版が、このパンフレット7篇の発行だったと思われる。他の4篇のパンフレットの発行日は、同10年11月25日と12月1日である。頒布価格については1冊5銭と8銭の2種類がある。パンフレットのページ表記を見ると、多くのものが1ページから始まっておらず、また「柱」と呼ばれるページ上端の部分に「生命の實相」と横書きに印刷された文字がある。これは、発行のコストを抑えるために『生命の實相』の紙型を流用したからだろう。このような様々な工夫によって値段を極限まで下げたことで、パンフレットは多部数が頒布されていくのである。
 
 谷口 雅宣

|

« 聖経について (7) | トップページ | 聖経について (9) »

宗教・哲学」カテゴリの記事

コメント

                          総裁先生                     ブログを読ませていただき谷口雅春先生が本当に大変なご苦労とご愛念の中からみ教えを宣布された事が新ためて分かり9月の団参にての奥津城参拝では一層の報恩感謝の真心をこめて甘露の法雨を読ませていただこうと思いました。ありがとうございます。

投稿: 赤嶺里子 | 2012年7月 5日 (木) 09時39分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 聖経について (7) | トップページ | 聖経について (9) »