観世音菩薩讃歌 (2)
自 由
法則は常住不断にして
厳密に働くが故に、
法則としての神も
常住にして厳密なり。
されどそれは
神が無情なることを意味せざるなり。
法則厳密に働くが故に、
鳥や虫は飛行し
魚や鯨は遊泳し
獣(けもの)は走り跳躍せん。
法則厳密に働くが故に、
花粉の飛散が
植物の発芽が
光合成が
長期にわたり一定の結果もたらすなり。
生物それぞれの
自在なる発展と進化は、
法則により初めて実現せん。
知性ある人間に於いては
法則の厳密に働くが故に、
利用者に自由の与えられん。
航空力学
流体力学厳密なるが故に、
飛行機や船は自由に航行し
人の安全は保証されん。
人間の自由なる行動は
法則なくしてあり得ざるなり。
自由は神の御心なり、
神の願いなり。
しかして自由は法則に従うことで実現せん。
神の御心に沿うことにより
何人も真の自由を得るに至らん。
この時天の童子
天使の後背より出で来りて
問いを設けて言う。
「されど師よ、自由とは命令や強制に従わざることを言うに非ずや」。
天使答えて言う――
汝ら、
神の御心を正しく知り、
神の創造の実相を正しく知ること、
自由を得る最大の要(かなめ)なり。
人が利己心を起こすは、
自他対立が世界の真相なりと誤解し、
対立の相手から自己を護らんとする為なり。
他者排斥の行為は
神の創造の世界の不信より生ず。
神の創造世界は
善にして
義にして
慈悲にして
調和おのずから備わる円満完全の世界なり。
それを信ぜず
神の世界に不調和ありと想い、
自己を護らんとして
他を排斥し
他を恐怖するが故に、
自己を縛る力――
命令と強制を他者に感ずるなり。
されど神の世界の大調和を信ずる者は、
自他対立を想わず、
自他の障壁を感ぜず、
自己の本心を
他者の声の内に聴き、
他者の声を
自己の内に聴くことを得ん。
彼は他を排せず恐れざるが故に、
他者の声の中に
神の助言と導きを聴かん。
彼の前には〝他者〟さえなく、
困難の中にも
励ましと
新たなる機会の到来を見出さん。
善
天使(てんのつかい)続けて説き給う――
神は人に最大の自由を与うることにより
善を現し給う。
神は
宇宙を貫く法則
宇宙を貫く力により、
地上の鉱物と生物に於いて
無限のアイディア、
無限の美、
無限の秩序を現し給う。
されど法則そのものは自由を生まず、
力そのものから善悪を生ずることなし。
物理化学の法則は一定の結果を生ずる
のみにして
その結果に善悪なし。
大規模なる火山活動にて
山崩れて海に入(い)るとも
その結果に善悪なし。
猛獣走りて鹿を倒し
カマキリの鎌、小虫を捕らうれども、
その結果、必ずしも悪に非ず、
善に非ず、
定められたる法則の産物にすぎざるなり。
そこに善悪を見、
善悪の意味を問うは、
人間の心働くが故なり。
人間の心関与せざる世界は
善に非ず、
悪に非ず。
唯、アイディアと
法則と力に満ちたる
壮大華麗なる自動運転の世界なり。
されど人間誕生し、
法則を識り
アイディアを得、
自ら自由を行使せんとする時、
初めて善悪の別生ずるなり。
即ち、
人間は地上に善を現すための
神の分身なり
神の使者(つかい)なり
神の自己実現なり。
されば汝らよ、
善を行わんと欲すれば、
神の御心を知らざるべからず。
自己の立場に固執し
神を見失うことなかれ。
自己の属する社会の利益、
必ずしも善に非ず。
他者の属する社会の利益、
必ずしも善に非ず。
汝ら、
自他対立の妄想に囚わるることなかれ。
神の善なる御国は
自他対立の牢獄の外に開かれてあるなり。
執着を離れたる広大無辺の世界なり。
神の御国には
善悪対立の構図存在せず、
善一元・大調和のみ展開せり。
善とは神の御心を行うことにして
そのほかの如何なるものにも非ず。
さればイエス・キリストは
「まず神の国と神の義とを求めよ。
さらば凡てこれらの物は汝らに加えらるべし」
と言い給う。
汝ら、
自由は過ちを犯す機会を許せども、
過ちて悪を仮構することなく、
「神の子」の本性に従い
神の義のために
誠実に自由を行使すべし。
谷口 雅宣
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