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2012年3月20日 (火)

“内なる神の声”に従う

 今日は晴天のもと、午前10時から東京・原宿の生長の家本部会館ホールで「布教功労物故者追悼春季慰霊祭」が執り行われた。私はこの御祭の中で奏上の詞を読み、玉串拝礼を行ったあと、最後に概略以下のような挨拶をした

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 本日は、布教功労物故者を追悼する春季慰霊祭にご参列くださり、誠にありがとうございます。このお祭は生長の家の運動に幹部として活躍・献身された人々のうち、最近、霊界へ旅立っていかれた御霊(みたま)さまをお招きして、感謝の誠を捧げる大変意義ある行事であります。本日、招霊させていただいた御霊さまは204柱でありました。その中には、私も親しくおつき合いをさせていただいた人の名前が何人もありまして、感無量の思いをしているのであります。生長の家では、人間の命は不滅であると説きます。これは別に生長の家だけでなく、ほとんどの宗教でそう教えるのであります。今日の慰霊祭でも、先ほど合唱した聖歌『永遠に』には、「人はどこまでも生き続ける」という生命不滅の真理が説かれていました。
 
 しかし、私たちは肉体生活をしている間の記憶をもっていますが、霊界での生活については記憶がありません。だから、「肉体をもった間だけ生きている」という考えに陥りやすいのです。そこで、自分の家族や知人が肉体生活から霊界へと旅立っていくと、日本語でも「お亡くなりになった」という表現がありますが、その人が「失われてしまった」とか「消滅した」と考えやすいのです。しかし、「人間は“神の子”であり、生き通しの命である」と生長の家では教えます。今日、お名前をお呼びした御霊さまは皆、その教えを信じ、信じるだけでなく、それを人々に述べ伝えるお仕事を情熱をもって遂行された人たちです。きっとこの場に来られて、聖経『甘露の法雨』の真理の言葉を喜びをもって味わわれたことでしょう。
 
 今日、お名前を呼んだ御霊さまの中に、「岩谷レスリー幸於(ゆきお)・比古命」がいらっしゃいます。この方は長い間、ハワイでの光明化運動に尽力された方で、生長の家の本の英語訳に多大な貢献をされました。また、ハワイ教区の教化部長としても活躍されました。その方の奥様は、シャーリーさんとおっしゃって私も面識があるのですが、昨年9月初めにハワイで葬儀が行われたあとに礼状をいただいたのであります。それは葬儀の際、妻と私の名前で花環を贈ったからでした。礼状は、1枚のカードに短いメッセージを書いた簡単な体裁ではありますが、内容は感動的でした。ご紹介します:
 
 Dear Rev.and Mrs.Masanobu Taniguchi,
   I wish to express my heartfelt gratitude to you for the
 beautiful floral wreathe received for my husband's
 memorial service. I am so touched by your sincere
 kindness. Words are inadequate in expressing my
 deep appreciation for your thoughtfulness. Thank you
 very much.
   Life is eternal; Leslie's soul lives on forever and
 I will continue to honor his life through Seicho-No-Ie
 deeds of love.
  
 In gratitude,
 Shirley Iwatani
 
 (日本語訳)
 谷口雅宣先生ご夫妻へ:
 
  この度の夫の葬儀に際しては、美しい花環をご恵贈くださ
 ったことに心から感謝申し上げます。先生方の真心にとても
 感動いたしました。その気持を言葉で十分表現することはで
 きません。本当にありがとうございます。
  生命は永遠です。夫、レスリーの魂は生き続けます。私は
 これからも生長の家の愛行を通して、夫の人生の栄光を讃え
 ていくつもりです。
  感謝を込めて、
 シャーリー岩谷
 
 私はこれを読んで、生命の不滅を信じるということは、人を本当に強くすると感じたのであります。家族や友人の死を経験した人は、もちろん当初は、大きな悲しみと喪失感を経験すると思います。しかし、「人間の命は不滅である」という信仰を失わなければ、やがて最初の衝撃から立ち直り、自分の中に“失われない故人の命”を見出し、さらに強くなってこの人生を歩み続けることができるでしょう。
 
 このことは、個人の死について言えるだけでなく、多数の犠牲者を出す“集団の死”についても言えると思います。私は昨年のこの春の慰霊祭では、東日本大震災から何を学ぶべきかということについて、「自然と人間の大調和を観ずる祈り」を引用して述べさせて頂きました。あれから、ちょうど1年がたちました。その間、この大震災以降に私が書いた文章を主体にしてまとめた本が最近出たので、皆さんにはぜひ読んでいただきたい。『次世代への決断--宗教者が“脱原発”を決めた理由』という本です。「自然と人間の大調和を観ずる祈り」は、その本の中にも収録されています。そこから、祈りの言葉を一部引用いたします:
 
「現象において不幸にして災害の犠牲となった人々を、“神の怒り”に触れたなどと考えてはならない。神は完全なる実相極楽浄土の創造者であるから、“怒る”必要はどこにもない。人類が深い迷妄から覚醒できず、自然界を破壊し続けることで地球温暖化や気候変動を止められないとき、何かが契機となって人々を眠りから醒ます必要がある。麻薬の陶酔に頼って作品をつくり続ける芸術家には、自分の作品の欠陥が自覚されない。そんなとき、“この作品は間違っている!”と強く訴える人が現れるのである。そんな“内なる神の声”を1人や2人が叫び続けてもなお、多くの人々に伝わらないとき、それを集団による合唱で訴える役割が必要になる--“この作品は描き直し、造り直す必要がある!”と。現象の不幸を表した人々は、そんな尊い役割を果たしている。これらの人々こそ、我々の良心であり、“神の子”の本性の代弁者であり、観世音菩薩である。」

 あの未曾有の大震災と原発事故では、2万人近い人が霊界へ旅立っていかれました。その肉体の死や悲しい経験が教えてくれることを、私たちはムダにしてはいけないのです。この本の中にも書いてありますが、産業革命以後の人類の物質主義的な生き方、消費礼賛型で人間至上主義的な生き方が今、問われているのであります。大震災後も、それと同じ方向に日本社会を進めていくことは、その問題を無視することであり、“観世音菩薩の教え”を学ばないことです。私は、経済発展がすべていけないと言っているのではありません。自然破壊的なものではなく、自然と調和する方向へ、ものの考え方、開発すべき技術、育てるべき産業を切り替える必要があるというのです。この新しい文明の構築について、同じ本に収録されているもう一つの祈り「新生日本の実現に邁進する祈り」から、引用させていただきます--
 
「神は無限の富を私たちの前にすでに与え給う。高い山、深い森、豊かな水、複雑な地形、変化に富んだ気候、そして多様な生物。人間社会は、それらに支えられて存在してきた。だから、それらを破壊することで、人間社会が豊かになるはずがないのである。人間社会は助け合いによって成立しており、個人一人で生きることができないように、人間は他の生物と助け合うことで豊かな生活を初めて実現できるのである。新たな富は“奪う”ことではなく、“与える”ことによって実現する。私たちはそれを人間社会の中だけでなく、自然界においても実践し、“本当の価値”を引き出し、豊かな自然と豊かな人の心とが共存する新生日本の建設に邁進するのである」。

 今日、新たにお名前をお呼びした御霊さまは皆、この生長の家の運動に賛同し、長い間協力してくださった人々ですから、これからも私たちの運動を霊界から見守り、ご加護くださるに違いありません。顕幽手を携えて、“内なる神の声”に従って自然と共に伸びる運動、自然と共存する新しい文明の構築を皆さまと共に、力いっぱい展開してまいりましょう。

 春季慰霊祭に際して所感を述べさせていただきました。ご清聴、ありがとうございました。

 谷口 雅宣

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コメント

総裁
谷口 雅宣 先生

ご挨拶の中で、故岩谷レスリー元本部講師と奥様につきご紹介下さり、有り難うございました。シャーリー夫人は、総裁先生ご夫妻が花環をお贈り下さいました折り、“有り難い事、勿体ない事”と心から感謝されていました。また、葬儀に参列した信徒は、両先生からの花環の前に近づいて合掌したり、お優しいお心遣いを目の当たりにした感動の言葉を交わしあったりしておりました。
シャーリー夫人は、その後も変わりなく、ハワイ教区の幹部として月刊誌(Truth of Life)の拡大担当等を務めながら、元気で過ごしております。
週末には、ハワイ教区の代表者会議に臨みますので、春季慰霊祭においての総裁先生のご配慮を、シャーリー夫人はじめ、幹部に伝えさせて頂きます。
有り難うございました。

               勅使川原 淑子 拝


投稿: 勅使川原 淑子 | 2012年3月21日 (水) 02時00分

総裁先生,ありがとうございます。
被災地に住む一人として,この震災からの自然のメッセージを決して無駄にしないでほしいと思います。
総裁先生の発表された2つの祈りは,全くその一言一句が自然からのメッセージです。毎日祈らせていただいております。

投稿: 佐々木(生教会) | 2012年3月24日 (土) 11時22分

勅使川原さん、
 シャーリー夫人によろしくお伝えください。

佐々木さん、
 コメント、どうもありがとう。自然は大地震があっても立ち直ります。宮城の人々もきっと立派に立ち直ると信じています。

投稿: 谷口 | 2012年3月24日 (土) 16時22分

合掌ありがとうございます。私の親友で信徒仲間であった道子さんが25日に霊界に旅立ちました。愛犬に看取られての寂しいものだったそうです。犬のうるさいぐらいの鳴き声に近所の人が気づいて発見されたそうですが、私はその事を26日の夕方知人からの電話で知りました。その出来事を通じて改めて死ぬという事について考えてみました。どう考えたらいいのか迷って知人に電話したところ、総裁先生の最近のブログに答が載っているからと教えて貰いましたので、拝読して全て理解する事が出来ました。ありがとうございました。彼女が霊界から見守ってくれているという事を忘れないようにするつもりです。宝蔵神社の永代供養の条件も満たしているそうですので、姪御さんも喜んでおられます。いつもこのブログを通して勉強させて頂いたり、反省させられたりと忙しいですが、更新を楽しみにしています。再拝

投稿: 横山啓子 | 2012年3月27日 (火) 19時19分

総裁先生,力強いお言葉ありがとうございます。
東北人はねばり強く,底力がありますので,必ず自然とともに復興します!

投稿: 佐々木(生教会) | 2012年3月27日 (火) 19時54分

谷口雅宣先生、初めまして

僕は高校生です。
僕は昔から生長の家はやっていて、練成会や試友会には参加してましたが生命の実相をちゃんと読んだことがありませんでした。
最近いきなり読みたくなり数日前から時間の許す限り読んでいます。
そしてとんでもなく衝撃を受けました。
人間神の子と言うのは知ってましたが
一番大事なのは自分は神の子完全円満だと自覚する事だと知り、日々心の奥深くに焼き付けようと頑張っています。


谷口雅春先生は地球上のすべての人を幸せにするために行動されていて、僕も自分の為ではなく地球上のすべての人の幸せの為、そしてこの地球がもっと素晴らしいものになるために生きていきたいと思いました。
僕は自然が大好きなので自然を守り、自然と共に生きていきたいです。

谷口雅宣先生、いつもこのブログでの素晴らしいお言葉ありがとうございます。
これからも楽しみにしています。

投稿: 森 | 2012年3月28日 (水) 02時46分

総裁先生、 合掌ありがとうございます。      「次世代への決断」のご本を主人とともに読みました。この難しそうな厚い本、私に読むことができるかと不安があり、でも、とかなりの決意をして読み始めました。読み進めてみると字が大きく読みやすく深い感動があり、手から離しがたく車中で、船中でと持ち歩いて読みました。現代人に向けての聖書とも言える尊いご本だと思いました。しかも、わかりやすく。子供たちにも勧めたいと思います。ありがとうございます。

投稿: 赤嶺里子 | 2012年3月31日 (土) 07時56分

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