本欄で書き次いでいる「太陽光でパソコンを使う」というシリーズをアップグレードする時期に来たようだ。というのは、通常のパソコン使用だけならば、太陽光のみをエネルギー源とする試みは今のところ成功しているからだ。
読者の参考のために、この「通常使用」の様子についてまとめてみるーー
私は朝6時半ごろから、自宅の太陽光発電装置を“自立モード”に切り替えて、自分のノートパソコンに充電する。通常の使用では、私のパソコンのリチウムイオン電池の残量は半分ほど残っている。それに朝から“太陽充電”すると、曇りの日でも約2時間でフルチャージされる。この際、補助機として使っているアイポッドタッチや通信端末(EMobile D25HW)の電池の残量が少ない場合、それらも同時に充電する。こうしてパソコン関連の機器をすべて“満タン”にして仕事場へ行く。
仕事場では、パソコンをACアダプターにつながずに電池だけで使用し、使っていない時には、小まめに休眠モードにするか、シャットダウンする。私のパソコンでの仕事の大半は文章書きだが、雑誌やブログ用の書き下ろしの原稿は、下書きをパソコンでやらずに原稿用紙に書く。また、紙に書いている原稿が、文の挿入や削除、訂正等で読みにくくなってきたときは、それを機会にアイポッドやポメラでの入力(電子化)を始める。もちろん締め切りが迫っている時は、パソコンに入力することになるだろう。その方が、早く仕上がるからだ。また、講話やスピーチの録音から起こした書き下ろしでない文章は、たいてい編集部からメールで届くから、これもパソコン上で仕上げることになる。
補助機の電源が乾電池の場合は、予め交換用に必要な数をそろえておき、前に本欄で紹介したソーラー充電器で昼間充電しておく。また、仕上げた原稿の印刷はできるだけ避け、職場の電力使用量も減らしたい。
こんなパソコンの使い方で、私はここ数週間、自分のパソコンを太陽光エネルギーだけで動かしてきた。しかし、これではまだ“炭素ゼロ”で文章を書いているとは言えない。なぜなら、パソコンは太陽光で動いていても、そのパソコンを置いたデスクや、参考書を拡げたテーブルなどは、電燈によって照らされているからだ。これらの電力も太陽から得ようと考えると結局、自分の生活全般で電力を太陽光から得なければ、という話になる。
これは流石に簡単でない。しかし、全部の“炭素ゼロ化”ではなく、一部を太陽光に置き換えるのならば、そんなに難しくない。ということで、LEDの電気スタンドというのを買った。また、わが家の白熱電球はほとんど省エネタイプの電球(電球形蛍光管)に変わっているが、さらに電力消費量の少ないLED電球に替えようと思い、とりあえず1個を買った。前者は「Twinbird」というブランドのLED Desk Light(LE-H615)という製品であり、後者はパナソニックの「エバーレッズ」シリーズのLED電球(LDA7D-G)である。電気スタンドは、渋谷駅東口のビックカメラで“売り上げ第1位”となっていたもの。LED電球は、5月12日付の『日本経済新聞』で東芝の「ライテック」シリーズと共に“人気商品”として評価されていたものだ。値段は、前者が約1万円、後者は約3,500円だ。
LED電球は高価に見えるが、電力消費量は普通の白熱電球の6分の1で、寿命は約40倍と言われているから、計算すると白熱電球より安価である。また、LEDの電気スタンドは通常の電球で「40W」ぐらいの明るさで消費電力が少ない。ということは、“太陽充電”したバッテリーを使って夜間使用すれば、結構長く使えるのではないか。これらの方法で、どれだけ“炭素ゼロ”に近づけるか楽しみである。
谷口 雅宣