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2011年8月28日

樹木の大切さを思う

 今日は山形駅前の山形テルサで生長の家講習会が開催され、647人の受講者が集まってくださった。2年前の前回より受講者数は89人(12.1%)減少したが、今回の講習会の推進期間が、ちょうど東日本大震災後の東北地方全体の混乱期に当たったという、やむをえない事情がある。例えば、受講券奉戴式は当初、震災3日後の3月14日に予定されていたが、この日は会場の教化部には数人しか集まらなかったため、行事は事実上延期しなければならなかったという。また、震災後の数カ月、ガソリンの供給が減少したことで、教化部での会合などが予定通りに行えないなど活動の停滞があった。それでも、東北人の粘り強さと教区一丸となった熱心な推進で前回の8割以上を結集したことはありがたく、喜ばしいことだと思う。
 
 講習会後、帰京の列車出発までのわずかな時間、駅からも近い霞城公園に寄った。山形城跡を緑豊かな公園にしたもので、サクラやイチョウなどの大木が何本も残っているのが目立った。私はこの日、午後の講話でドイツとイギリスでの講演会などの報告をさせてもらったが、その時、訪れた街々の写真を示して、両国の人々が樹木を大切にしているという印象を強くもったことを話した。私の住んでいる東京では、日比谷公園や明治神宮など一部の緑地を除けば、街路樹や公園の木を簡単に切り倒してしまうのを苦々しく思っていたが、霞城公園にはまだ多くの大木が残っているのを見て、「日本人もまだ捨てたものではない」と胸をなで下ろしたのである。
 
 樹木の価値とありがたさは、強調しても強調しすぎることはない、と最近よく思う。大きな木が1本あるということは、木陰ができることで土地の乾燥を防ぎ、有害な紫外線から土地が護られ、下草が生えて虫や微生物が繁殖する。それだけでなく、その木には何千種類もの昆虫が棲みついているから、それを食べに鳥類が飛来し、巣作りをする。果実ができればさらに多くの動物がやってくるし、落葉すれば、土地はさらに肥えるだろう。樹木は枝葉に水を溜めるから、大雨が降っても土壌の流失はなく、土中に広がった根は水を浄化しながら、土砂崩れを防いでくれる。もちろん、地震による被害もそこに樹木があるのとないのとでは、大きな違いが出る。
 
 地球温暖化問題が脚光を浴びるようになったことで、植物が二酸化炭素を吸収して酸素を排出してくれることは、多くの人々が知ることになった。しかし、地球を取り囲む大気の構成が、植物の活動なくして現在の状態になりえないということは、あまり知られていないだろう。この大気があることと、その外側にオゾン層があることで、宇宙空間を飛び交っている大量の放射線が、地球の表面にあまり届かないようになっていることは、重要な事実だ。つまり、植物が存在するおかげで、私たち動物は酸素呼吸ができるだけでなく、放射線による遺伝子破壊の危険からも常に護られているのだ。この放射線防護機能は、人間が考え出したどんな方式の原子炉よりも柔軟でありながら、堅牢である。どんな地震が来ようが、どんな津波が押し寄せようが、この放射線防護機能はびくともしない。が、愚かな人間がそんな植物を大量に伐採し、燃やし、それでも足りずに、大昔の植物であった石炭を地下から掘り出して燃やし、また、生物の死骸だった石油を燃やし続けることで、地球の大気の構成を変えようとしているのである。

 こういう観点から考えてみても、原子力エネルギーを人類が利用し続けることが、地球全体の生命にとってどんなに不合理であり、危険であるかが分かるはずだ。民主党の総裁選挙が行われているが、原発からの脱却を明確に訴える候補者がいないのは、誠に残念なことである。
 
 谷口 雅宣

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コメント

合掌、ありがとうございます。
 講習会ご指導、まことにありがとうございました。数的には前回を下回ってしまいましたが、特に幹部の皆さまには、より一層の推進に取り組んでいただき、新しい人にも積極的に声をかけていただきました。
 後につながる推進活動が出来たように思います。これから次代の壮年層を育てるなどして、捲土重来、教勢発展のために尽力させていただきます。今後ともよろしくご指導をお願い申し上げます。再拝

投稿: 花田 研 | 2011年8月29日 09:58

大変な状況の中、講習会の成功おめでとうございます。

私は温暖化防止活動をボランティアでして、8年になります。一通りの温暖化のこともわかりますが、わたしの専門は「木」の話です。木、森林の活性化が地球を救うと思います。豊かな山は、水を浄化し、川がきれいになり、それが海にながれて生命豊かな海をつくります。日本の林業の活性化を切に願っております。
それでも、日本は木が豊かなので、嬉しいとおもいます。合掌

投稿: 水野奈美 | 2011年8月29日 20:31

 ありがとうございます。
 私は職業が大工なので、材木という形ではありますが、樹木と関わりの深い仕事をさせていただいております。
 木造住宅は日本の気候風土に合って機能的に優れているだけでなく、炭素を固定するという良い働きもあります。ただし、伐採した後に植林をしなければ、プラスの働きにはなりません。
 仕事をしていて残念なことには、構造材から仕上げ材に至るまで、外国産の材木の割合がとても多いのです。北米産あり、北欧産あり、東南アジア、中国、ニュージーランドやシベリアまで、一体、伐採の跡がどうなっているのか、輸送にどれだけ燃料を使うのか、心配し始めると気分が悪くなります。
 日本は森林資源が豊富で、戦後盛んに植林された森が丁度伐採に適した樹齢になっているにも関わらず、市場原理によって有効に利用することが難しいようです。
 森も伸び盛りを過ぎると、炭素の吸収量が少なくなってゆくので、適当な時期に伐採して植林するというサイクルが最も効率的に炭素を吸収出来るのですが・・。
 何とかならぬものかと常々感じています。
 いま自分に出来るのは、国産材を意識的に使用することくらいでしょうか。 拝

投稿: 片山 一洋 | 2011年8月30日 22:02

水野さん、

 温暖化防止のために「木」の話をされるのですか? 森林案内のようなものでしょうか? それとも樹木医のような……?

片山さん、

 大工をされていたなど知りませんでした。私は、大工の真似事をしてからというもの、家の床や柱、建具などに直線や直角をきちんと出すことがどんなに難しいか知り、大工さんを尊敬するようになりました。何か、子供みたいな話ですが……。今後ともよろしく。

 “森の中のオフィス”も新しい職員寮も、国産材だけで造る予定です。

投稿: 谷口 | 2011年8月30日 22:17

 ありがとうございます。
 移転先の新しい本部が木造であることなど、その概要を先日広島での講習会で初めて知りました(不勉強ですみません)。
 地元産の材木が活用されるとのことで、素晴らしいと思いました。
 大工仕事に限らず、実際に体や手をを使って何かをすることは、予想もできない手応えや学びがあって、とても有意義だと思います。確か雅春先生のご文章にも、「肉体労働は尊いのだ」という一節がありましたので、これを励みに仕事に邁進しております。拝

投稿: 片山 一洋 | 2011年9月 7日 00:10

谷口雅宣様

温暖化防止で、「木」や、「森」の役割の話をします。水を貯え、きれいにすること。土砂災害を防ぐこと、など等。そして、今の荒れた山の話をして、林業の活性化の必要性とか、手入れをしないと、山が荒廃するとか、話をします。
併せて、間伐材、廃材の利用となる(つまり林業の活性化につながる)、木質ペレットを燃料とするペレットストーブの説明になります。
学校などでは、イースター島の、もともと豊かな森林がなくなった話をしたりします。

投稿: 水野奈美 | 2011年9月10日 01:40

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