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2011年6月19日

表参道にキノコ出る

Hitoyotake  今日は朝から新宿へ行った。パスポートを受け取るためである。6月9日の本欄に申請書類を都庁の旅券課に提出したことを書いたが、1週間後には新しいものが発行されると言われていた。夏休み前の日曜日だから、もしや混雑……と思って“朝一番”の時間に行くことにした。日曜日はたいてい講習会があるので、そういう休日の原宿をゆっくりと歩く機会は珍しい。人もまばらで静かな原宿はいいものだ……と思いながら、明治通りと表参道の交差点を新宿方向へ渡り、JR原宿駅に向かった。と、地下鉄の明治神宮前駅への降り口のところに、奇妙な形の白い塊を見つけた。一見して、空気の入った白いレジ袋が捨ててあるのかと思った。が、近づいていくると、卵大の白いツブツブが密集しているように見える。そして、さらに近づくと、それがキノコの幼菌の群生だと分かった。私と妻は、思わず大声を出してしまった。
 
 東京の原宿でキノコが生えるのは、明治神宮か自宅の庭ぐらいだと高をくくっていたが、表参道の地下鉄の駅の入口で、植え込みの中から群生するキノコもあるのだ。一般にキノコが生える環境は自然が豊かだとされるが、この考えは改めなければいけないのか、と思った。しかし反面、キノコはカビの“親戚”だから、条件さえ整えば都会の真ん中で頭をもたげていても不思議はないのかもしれない。その証拠に、松本零士氏の『男おいどん』というマンガのシリーズでは、じめじめした環境の貧しい家の中では、町中であっても「サルマタケ」というキノコが出ることになっている。もちろん、こんな名前のキノコは存在しない。が、松本氏は自分の経験を元にしている可能性は大きい。
 
Awatake  私が今回のキノコ発見に心を動かしたのは、たぶん自宅と長崎・総本山の公邸の庭とで、連続してキノコと出会っているからだ。「また遭いましたね!」という感じだ。自宅でキノコに遭ったのは先月の26日で、勝手口の脇の陽の当たる植え込みの中に出ているのを妻が見つけた。総本山では、雅春先生の二十六年祭で公邸に泊まったとき、これも妻が最初に見つけて私を驚かせた。これらの場所でキノコが出ること自体は、それほど驚くことではない。過去に何度も目撃している。が、私が感動したのは、それらのキノコKoujitake が食用にできる種であるということだった。自然に囲まれている総本山の公邸は、何らかのキノコは生えるだろう。また、自宅の庭にも、カレバタケのような非食用種はいくつも顔を出す。しかし、今回遭遇したのは、アワタケ(写真左)、もしくはコウジタケ(写真右)と思われるイグチ科の食用キノコだった。長崎の公邸はともかく、東京の原宿で天然の食用種が採れるとなれば、自慢していいと思っていた。
 
 そこで問題になるのが、今回の地下鉄駅前で見つけた“天然キノコ”の種類である。パスポートを受け取ってから帰宅し、キノコの本を調べてみると、それは「ヒトヨタケ」だと思われる。「思われる」と書いたのは、キノコの種の同定は専門家でも難しいからだ。しかし、本にある写真と書かれた記述を読み、自分の撮った写真と見比べてみると、この種以外は考えられない。そこで、この本の説明を引用しよう--
 
「ヒトヨタケーー春~秋、畑地、公園、路傍などに束状に発生。傘は初め長卵形、のちに開いて鐘形となり、小~中型。表面は灰色~淡灰褐色、中央部に鱗片をつけ、周辺は溝線がある。ひだは密、成熟するにつれて白色から紫灰色、黒色と変化し、反り返った傘の周縁部から液化してしたたる。(中略)食。ただし、酒類を飲む前や飲んだのちに食べると激しい二日酔い状の中毒にかかる。ヒトヨタケ属のきのこは“一夜茸”の名のとおり、どれも短命である」。

 ということで、このキノコは食べられる可能性が大だが、酒好きの人は要注意である。また、すぐに“液状化”するようだから、採りに行っても、もう姿を消しているかもしれない。(残っていても食べないでください)

 谷口 雅宣

【参考文献】
○本郷次雄監修『きのこ』(山と渓谷社、1994年)

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コメント

「サルマタケ」懐かしいですね。
私も、都心で夜勤中に野生を発見しました。昨年の8月、勤務先の国立医療施設(新宿区戸山)で、「ハクビシン」を発見しました。新築の巨大病院の地下駐車場に現れたのです。タクシーの運転手さんから、狸のようなものが地下の駐車場に降りていったと聞き、追いかけたら、非常口にいました。ここは、人感センサーで電気が点くので、電気が点いているところの非常階段の一番上にいました。最初、アライグマかと思いましたが、後日、百科事典で調べたら「ハクビシン」でした。その後、夜勤中に敷地内で数回、見つけましたが、今年に入ってからは一度も見ていません。

投稿: 久保田裕己 | 2011年6月21日 10:48

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