自然と人間の大調和を観ずる祈り
読者から、今回の大震災について祈りの言葉がほしいとの要望が寄せられたので、以下、発表します。この祈りの言葉は、読者において自由に複製し、配布し、使ってくださって結構です。
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神の創造(つく)り給いし世界の実相は、自然と人間とが一体のものとして常に調和しているのである。自然は人間を支え、人間に表現手段を与え、人間に喜びを与えている。それに感謝し、人間は自然を愛で、自然を養い、豊かならしめているのである。両者のあいだに断絶はなく、両者のあいだに争いはなく、両者のあいだには区別さえもないのである。
人間に表現手段を与えている肉体は、その周囲を構成する自然界と物質的成分は同一である。だから、人間は自然界から酸素を得て動力として、水を飲んで潤滑油とし、食物を摂取して肉体を維持・成長させることができるのである。これらの物質の流れ、分子や原子の循環の奥に、神の知恵と愛と生命を観ずるものは幸いである。物質は結果であり、神が原因である。すべての存在が渾然と調和し、支え合っているその実相を、神は「はなはだ良し」と宣言せられたのである。
その実相を見ず、「個」が実在であり、世界の中心であると見るのは迷妄である。「個人の損得」を中心にすえるとき、人間は自然との大調和を見失うのである。自然界に不足を見出し、自然界を障害と見なし、自然界を自己の支配下に置こうとして、自然界の機構を自己目的に改変し、利用することは、愚かなことである。自然の一部を敵視して破壊することは、恥ずべきことである。それによって、人間は自然との一体感を失い、自然治癒力を含めた自然の恩恵を自ら減衰させ、生き甲斐さえも失うのである。
人間が自然を敵視すれば、その迷い心の反映として、自然の側から“敵”として扱われるような事態が現れてくるのである。人間が山を削り、森を切り倒し、川を堰き止め、湖や海を埋め立てて、人間だけの繁栄を画策しても、それは神の御心ではない。それは神が「はなはだ良い」と宣言された実相世界とは似ても似つかない“失敗作品”である。実相でないものは、必ず破壊と滅亡を迎える時が来る。それは偽象の崩壊であり、業の自壊である。
しかし、これを“神の怒り”ととらえてはならない。広大な農地を破壊しながら猛スピードで突き進む津波を見て、神が怒りに燃えて破壊を進めていると考えてはならない。神は山を崩して海を埋め立て給わず。海岸に農地を作り給わず。工場を造り給わず。空港も、原子力発電所も造り給わず。それらすべては、人間が自己利益を考えて、動植物の絶滅を顧みずに行った行為である。日本列島やニュージーランド周辺で地震が起こるのは、太古から繰り返されている地殻変動の一部であり、決して異常事態ではない。それが異常事態に見えるのは、人間の視野が狭く、考える時間軸が短く、自己中心的だからである。
多くの生物を絶滅させ、自然の与え合い、支え合いの仕組みを破壊しておいて、人間だけが永遠に繁栄することはありえない。生物種は互いに助け合い、補い合い、与え合っていて初めて繁栄するのが、大調和の世界の構図である。それを認めず、他の生物種を“道具”と見、あるいは“敵”と見、さらには“邪魔者”と見てきた人間が、本来安定的な世界を不安定に改変しているのである。その“失敗作品”から学ぶことが必要である。
大地震は“神の怒り”にあらず、“観世音菩薩の教え”である。我々がいかに自然の与え合いの構図から恩恵を得てきたかが、それを失うことで実感させられる。我々がいかに人工の構築物を、田畑を、港を、道路を、送電線を、インターネットを築き上げても、自然界の精妙かつ膨大な仕組みとエネルギーを軽視し、蹂躙する愚を犯せば、文明生活は一瞬にして崩壊することを教えている。我々の本性である観世音菩薩は、「人間よもっと謙虚であれ」「自然の一部であることを自覚せよ」「自然と一体の自己を回復せよ」と教えているのである。
現象において不幸にして災害の犠牲となった人々を、“神の怒り”に触れたなどと考えてはならない。神は完全なる実相極楽浄土の創造者であるから、「怒る」必要はどこにもない。人類が深い迷妄から覚醒できず、自然界を破壊し続けることで地球温暖化や気候変動を止められないとき、何かが契機となって人々を眠りから醒ます必要がある。麻薬の陶酔に頼って作品をつくり続ける芸術家には、自分の作品の欠陥が自覚されない。そんなとき、「この作品は間違っている!」と強く訴える人が現れるのである。そんな“内なる神の声”を1人や2人が叫び続けてもなお、多くの人々に伝わらないとき、それを集団による合唱で訴える役割が必要になる--「この作品は描き直し、造り直す必要がある!」と。現象の不幸を表した人々は、そんな尊い役割を果たしている。これらの人々こそ、我々の良心であり、“神の子”の本性の代弁者であり、観世音菩薩である。
我らは今、この尊き観世音菩薩の教えを謙虚に聴き、心から感謝申し上げるとともに、神の創造(つく)り給いし世界の実相の表現に向かって、新たな決意をもって前進するのである。神さま、ありがとうございます。
谷口 雅宣
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コメント
谷口雅宣先生 ありがとうございます。
今、深い感動と感謝の気持ちで一杯です。 希望を持って 祈り 行動します。 ありがとうございます。
投稿: 酒井幸江 | 2011年3月17日 14:26
谷口 雅宣 先生
すばらしいお祈りの言葉をご発表下さり、ありがとうございます。余りにも深い示唆を含んでいる数々のお言葉に、心底感動しております。
早速、多くの仲間達にお伝えさせて頂きます。
青年会会長 竹村 正広
投稿: 竹村 正広 | 2011年3月17日 15:31
合掌ありがとうございます
誠に誠に尊いお祈りでございます。
お示しくださいました事に限りない感謝の気持ちで一杯でございます。いつもいつも心に刻んで、これからも光明化運動に邁進していきます。
投稿: 松本桂子 | 2011年3月17日 15:54
谷口雅宣先生
素晴らしいお祈りのお言葉、又、今回の事態についての明確なご指導、誠に有り難うございます。
信徒もこれで安心立命が得られ、ますますの光明化運動、援助活動が出来ると思います。
投稿: 堀 浩二 | 2011年3月17日 16:36
合掌
お亡くなりになられた方々のいきとおしの魂をただ今は供養させていただきます。
再拝
投稿: 斎藤勇一 | 2011年3月17日 21:33
谷口 雅宣 先生
自然と人間の大調和を観ずる祈りをお示し下さいました事に、心より感謝を申し上げます。
繰り返し拝読させて頂き,尊い役割を果たして下さいました多くの御魂さまはじめ、すべての人に、ものに、事に感謝の祈りを捧げさせて頂きました。有り難うございます。
先生の英語の“ファン・ページ”に書かせて頂きましたが、明日(18日)から20日にかけ、全国代表者会議等が開かれます。早速、全国から参加される幹部の方々にこの祈りをお伝えさせて頂きます。
有り難うございました。
アメリカ合衆国教化総長
勅使川原 淑子 拝
投稿: 勅使川原 淑子 | 2011年3月17日 23:47
祈りのコトバに、心が洗われました。
今日から、被災地に向けての聖経読誦の際に拝読させていただきます。
投稿: 服部照子 | 2011年3月18日 01:15
「自然と人間の大調和を観ずる祈り」のご発表
に、心より感謝いたします。
大震災で亡くなられた方々への慰霊と被災され
た方々への支援の聖経読誦を、生長の家本部にお
いても職員が日々交代で行う際に、今後は「自然と
人間の大調和を観ずる祈り」を併せて拝読させてい
ただきます。
また、被災地の地方講師、光明実践委員の皆様
と共に心を合わせて、お示しいただきました祈り
の言葉通り、「神の創造り給いし世界の実相の表
現に向かって、新たな決意をもって前進いたしま
す」ありがとうございます。
投稿: 教化・講師部長 目等泰夫 | 2011年3月18日 06:31
合掌、ありがとうございます。3月17日の「自然と人間の大調和を観ずる祈り」を今朝読ませていただきました。今回の大震災をいかに受け取るかについて、その深いご指導を頂き感謝申し上げます。
本日の早朝行事より、仲田稲造教化部長の指示により、「東日本大震災」被災者のための慰霊と支援の文言を聖経読誦の前に唱えて行いました。
再拝
沖縄教区教化部事務局長 玉城正光
投稿: 玉城正光 | 2011年3月18日 07:44
合掌ありがとうございます。尊く深いお祈りの言葉を お示しくださいました事に 感謝と感動の心で一杯です。仙台は三男が長く勤務していた地です。3年前に転勤で福岡に戻らせて貰っていますが 彼の地には沢山のお世話になった方々 友達 知り合いがいて いまだ連絡の取れない人達もいるようです。心を込めて朝に夕に この祈りを捧げさせて戴いております。雅宣先生本当に有難うございます。桝谷拝
投稿: 桝谷栄子 | 2011年3月18日 11:05
合掌 ありがとうございます。
先生、道標をありがとうございます。
大調和の「実相」を 一心に観じて、祈ります。
天地万物に「神の祝福が満ちたもう」と、感謝礼拝し続けます。
投稿: 熊川裕美 | 2011年3月18日 11:45
合掌 ありがとうございます。
総裁先生
お祈りのお言葉感謝いたします。
ありがとうございます。
再合掌
投稿: 山本 順子 | 2011年3月18日 12:42
生長の家総裁・谷口雅宣先生
お祈りに驚嘆いたしました。今日からヨーロッパ幹部研修会です。独語やポ語への翻訳が間に合いませんのでこのお祈りをそのまま参加者全員に正確に伝えるのは困難ですが、とにかくできるだけ努力いたします。誠に有り難うございます。
生長の家欧州駐在本部講師
大塚 裕司
投稿: 大塚 裕司 | 2011年3月18日 14:55
大塚さん、
英語バージョンを今、facebook の私のページに登録しました。
投稿: 谷口 | 2011年3月18日 18:15
雅宣先生
すばらしい お祈りの言葉ありがとうございます!
なぜか涙してます。
さっそくベレンの日語信徒の皆さんに 祈りの言葉を
お知らせして祈らせていただきます。
ありがとうございます。
アマゾン ベレン在住 清水幸子
投稿: 清水幸子 | 2011年3月18日 19:53
清水さん、
ブラジル・アマゾンからのメッセージ、ありがとうございます。ブラジルの信徒の方々が、今回の震災について大変心配してくださっていることを知り、感激しています。これを読んでいる被災者の方々、また被災地に知人がいる方々も、きっと同じ思いです。
ありがとうございます。
投稿: 谷口 | 2011年3月18日 22:52
総裁先生
合掌ありがとうございます。
テレビなどのマスメディアを通して、またソーシャルメディアを利用してリアルタイムで被災地の状況を伝えるNPOの動きなどを見守り続けています。
きょう私も決意して被災地のボランティア募集に電話をいたしました。団体でのボランティア募集を告知した岩手県のページです。盛岡産業センターでの支援物資の仕分けに人員がいるとの内容でした。私は個人であり、最長でも4日間しか奉仕できませんが、雑用でも何でも少しでも役に立てるのならば‥との思いで電話しました。
阪神大震災の時とは違い、今回は放射能の危険もあり、個人が軽はずみな関わり方で現地へ向かうことは返って迷惑となることは報道などでも承知していました。しかし被災した高校生が「今、できることを」と避難所の中で懸命に動いている姿を見ていると、彼の手伝いぐらいならさせて頂けるのではないかと思ったのです。
県の担当者からの回答では、募集はしたものの受け入れ態勢が未だ整わず、個人はおろか団体の受入れも目処が立たないとのことでした。
また当面は医療従事者やヘルパー、仮設住宅を建てる際に大工さんなど専門的なボランティアが優先的に求められることもわかりました。今後、現地の被災者に有償の働き手となってもらい、そこに一般のボランティアを加えていく動きはあるようで、いずれ人手が必要な状況になるとのことでした。
ガソリン等の資源に加え、不自由な避難所生活を余儀なくされている地震被災者と放射能の危険から避難する方々の披露もストレスもピークを迎え、受入れ施設が必要のようですが、政府が旅館や空き家を借り上げて避難所からの一時移住をするという政策案もあるようです。
この度戴きましたお祈りの言葉を胸に、大きな視野ではエネルギー源やライフスタイルの見直しを行いながら自分なりに考え、そしてこの国に起きた今回の出来事の一当事者として今後も行動して行こうと思います。
感謝再拝
投稿: 池田力紀 | 2011年3月18日 23:47
谷口 雅宣 先生
Facebook に登録してくださった英語版のお祈りをドイツの研修会場で印刷させていただきました。幹部研修会の参加者の皆さんに明日シェアさせていただきます。現在ノイシュタットのユーゲントゲストハウスには、50名ほどの幹部(日本人、ドイツ人、スイス人、ブラジル人等)が集まっています。
生長の家欧州駐在本部講師
大塚 裕司
投稿: 大塚 裕司 | 2011年3月19日 07:29
合掌有難うございます。雅宣先生有難うございます。「自然と人間の大調和を観ずる祈り」を頂き、聖経を読ませて頂きました。涙が、次から次へと流れてきました。この祈りを続けさせて頂きます。有難うございます。
投稿: 有馬真由美 | 2011年3月19日 21:15
雅宣先生ありがとうございます。
すばらしいこのお祈りをEvernoteで共有し、外ではiPhoneやiPadで読んでおります。先生の電子書籍のコーナーにこのお祈りも加えていただけると、とてもうれしく思います。
投稿: 磯崎 由美子 | 2011年3月20日 20:19
総裁
谷口 雅宣 先生
自然と人間の大調和を観ずる祈りの英語版を、先生のfacebookにアップして下さいまして、有り難うございました。
18日から20日にかけて開かれました理事会、代表者会議等で、お祈りさせて頂きました。
お祈りが終了しました後、「総裁先生のお祈りに感動しました。」「素晴らしいお祈りですね!」などと、参加者が、感想を述べに来て下さいました。
本日(21日)までには、ほとんどの参加者が帰郷しますので、それぞれの地元の信徒にお祈りが伝えられるものと思います。
各教区教化部長と伝道本部で協力し、心を込めて先生の祈りの言葉と、聖経読誦の輪を広めて参ります。
有り難うございました。
アメリカ合衆国教化総長
勅使川原 淑子 拝
投稿: 勅使川原 淑子 | 2011年3月22日 12:52