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2011年1月19日

“森の中のオフィス”予定地で地鎮祭

 今日は午前11時前から、山梨県北杜市大泉町の“森の中のオフィス”建設予定地で行われた地鎮祭に参列した。妻と私は、12月はともかく、厳寒の1~2月に標高1300mのこの地を訪れたことがなかったので、最大限の防寒対策をして行ったのだが、風もない晴天下の八ヶ岳南麓は予想外に暖かだった。

 朝の8時に新宿駅を出るスーパーあずさ5号に乗り、10時には小淵沢駅に着いていた。往路の列車内は空いていて、ゆっくりと読書ができる。そういう時間を生かして仕事の打ち合わせなどをするビジネスマンが、案外多く乗っているのに気がついた。八王子までは街中の風景だが、そこから先は冬枯れの山中を行く雰囲気になる。笹子トンネルを抜けると一気に眺望が開け、冠雪をいただいた山々が遠望できる。まず左手に北岳、甲斐駒ヶ岳が威容を現わし、やがて右手前方に八ヶ岳が雄姿を見せる。乗客の大半は甲府駅で降りる。そして、我々一行が小淵沢で下車すると、列車はほとんど空になる。

Yatsu011911  小淵沢からは車に乗り換え、約30分で建設予定地に着く。途中で八ヶ岳広域農道を通るが、その道が広大な農地を横切るところで、私が好きな“絶景”が見られる。左手には雪をいただいた八ヶ岳、右手にはゴツゴツと聳える甲斐駒ヶ岳、やや遠方には日本第二の高峰・北岳の白い先端、その左に均整がとれた末広がりの青い富士……。この贅沢な風景の中を通り抜けると再び森林に入り、やがてオフィスの予定地に着いた。周囲は一面の雪景色かと思っていたが、雪は木陰に残っている程度で、ふんだんに降り注ぐ陽差しのおかげで「小春」の暖かさだった。
 
 祭祀開始の予定時刻より半時間も早く到着したので、地鎮祭は10分ほど時間を繰り上げて始められた。地元の大産土神社である逸見(へみ)神社の森越義建・宮司により行われ、私は「鍬入れの儀」と「玉串奉奠」をさせていただいた。鍬入れは初めて経験だった。事前に作法などを説明していただいたが、直径1.5mほどの円錐形に盛り上げた“砂の山”に、「エイ」「エイ」「エイ」と3回に分けて木製の鍬を入れた。これがどうも「山を崩す」というイメージを連想させるので、私は円錐の頂上には鍬を入れることができなかった。しかし、このあと「鋤入れ」を行った建設会社の代表の方は、同じように掛け声をかけながら堂々と砂山を崩してくださった。
 
 これは、立場の違いをよく表していると感じた。用地である雑木林の中にオフィスを建てることは、まずは“自然破壊”だということに疑いはない。が、その後に、人間の手によって自然を再生し、さらに豊かならしめるのが我々の目的である。建設会社は、そのことをよく知りながら第一段階の“破壊”の部分を引き受けてくれたのだから、その決意を込めて砂山に鋤を入れてくださって全く問題がない。もちろん、この雑木林を完全に破壊するのではない。できるだけ自然状態の原型を保存しながら、地元の木材を使って木造低層の建物を造り、この地域の特長である「長い日照時間」を利用した太陽光発電、太陽熱利用を併用し、不足部分は木材チップによるバイオマス発電などの自然エネルギーで補うことで、オフィスでの仕事開始時点で、建物から排出する二酸化炭素ををゼロにする予定である。

Ohmashiko  地鎮祭の後、オフィスの“お向かいさん”になる園芸施設、八ヶ岳倶楽部で関係者による昼食会があった。これについては、妻がブログで詳しく書いているので詳細は省くが、ここの開設者は俳優で日本野鳥の会会長の柳生博氏である。ご本人はおられなかったが、ご子息で同施設代表の園芸家、またタレントである柳生真吾氏が出迎えてくださった。この場所にはたくさんの野鳥が来るらしく、「オオマシコ」という鳥のことを店長さんから教えていただいた。冬にシベリアから飛来する珍しい鳥だが、ここでは今の時期、ほぼ毎日見られるという。食事の途中にも餌台に飛んできたのを、私も妻とともにデジカメに納めた。オオマシコは漢字で「大猿子」と書き、顔が赤いところからサルに譬えた名前らしい。体長は17.5cm、スズメ目アトリ科の野鳥で、オスとメスの色が違う。オスは、桃紅色の体に黒い翼、短めの尾羽をもつが、メスは全体に淡褐色で、腰の部分が紅色、頭部や胸にも紅が差しているらしい。
 
 谷口 雅宣

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コメント

合掌有難うございます。いよいよですね。いよいよですね。地鎮祭が小春日和のなかで執り行われましたこと 幸先の良い事と お慶び申し上げます。ワクワク します。期待に胸がいっぱい膨らみます。ドキドキします。さあ四無量心実践の時 幕開けの時 志をひとつに!!!御指導戴きます事に心から感謝申しあげます。桝谷拝

投稿: 桝谷栄子 | 2011年1月21日 00:52

合掌ありがとうございます。

私も昨年、八ヶ岳倶楽部にお伺いしまして柳生博さんにお会いしました。柳生さんのご著書によりますと、八ヶ岳倶楽部周辺は手入れのあまりされていない人工林だそうで、柳生さんは林に手を入れることによって、元々の自然に近い林作りをされてきたとのことでした。森のオフィスもその理念によって、そしてその活動によって、自然破壊ではなくむしろ自然顕現になるのではと、とても思います。

再拝

投稿: 松本雅幸 | 2011年1月21日 06:54

おめでとうございます。
良き日に又良き日和りになった事を心よりお祝い申し上げます。この日を日本の森を育てる日にしたいと思います。

             中井久勝拝

投稿: 中井久勝 (京都) | 2011年1月21日 16:36

桝谷さん、
松本さん、
中井さん、

 ご声援に感謝申し上げます。

投稿: 谷口 | 2011年1月23日 13:28

ありがとうございます。

先生のこのブログを読んで勉強させていただくと深い洞察力と観察力がついてレベルアップすること間違いなしですよとある講師の先生にアドバイスされていまして、僕もいつも興味深く拝見させていただいています!

「森の中のオフィス構想」素晴らしいと思います!実現する時を考えるだけで僕もワクワクします!頑張ってください!心から応援、共感しています!ありがとうございます!先生は常に時代を読まれていられてすごいとおもいます! ありがとうございます!

投稿: 奥田 健介 | 2011年1月24日 20:09

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