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2010年12月11日

電子書籍サービス始まる

 今朝の新聞各紙は、ソニーとシャープによる電子書籍端末の売り出しと、両社の電子書籍配信サービスの開始について大きく報じている。電子書籍については、本欄ではすでに何回か書いているが(例えば11月26日)、今回の記事を読むと、両者のサービスの違いが明確になってきたのが興味深い。

 シャープのサービスは、アメリカで先行する Amazon.com の方式をほとんどそのまま踏襲しているようだ。「ガラパゴス」という名前の多機能端末側に通信機能をつけ、パソコンの助けを借りないで電子書籍をその場でダウンロードできるのが特徴だ。また、端末機の販売も Amazon.com に倣い、注文方式である。具体的には、コンビニ各社と提携して注文を受け付ける。これによって、氏名や住所などのユーザー情報を確実に入手して“囲い込み”が行える。 Amazon.com の場合は、コンビニを使うのではなく、端末の注文をネット経由に限定してきた。私が Amazon.com の「キンドル」を注文した際には、自分の手元に端末が届くころには、ネット上に私の名前等がすでに登録されていた。顧客をつかむ確実な方法だと思う。

 端末機の種類は、画面サイズ5.5インチのものが3万9800円で、10.8インチのものが5万4800円。これは、キンドルより高額である。ただし、キンドルはモノクロ画面だが、こちらはカラー液晶であるし、電子書籍閲覧以外の機能もあるから、単純な比較はできない。電子書籍の配信は、ツタヤと組んで「TSUTAYA GALAPAGOS」というサービスを始めるそうだが、ネットを検索しても、今のところそれに該当するサイトに出会えなかった。

 これに対してソニーの「リーダー」は、より開放的で、自由度が大きい。シャープ機との大きな違いは通信機能を省いている点。電子書籍はPCによってソニーのサイトからダウンロードし、そこから端末側に自分で転送する。機種はシャープと同じように2種をそろえているが、それぞれ文庫本サイズの「ポケット」(約2万円)と、それより大きい「タッチ」(約2万5千円)と、シャープ機の半額である。端末機の販売方式は、通常の家電量販店などの店頭販売だから、買いやすいことは確かだ。ただし、取扱店舗数は今のところ約300点だから、約2万4千店のコンビニで注文ができるシャープ機とどちらが有利か、判断はむずかしい。

 問題は、両社の端末で使える電子書籍の互換性だが、これについてはまだよく分からない。ユーザーとしては、かつてのビデオ・カセットテープの二の舞にならないように祈りたい。

 ところで、10日付の『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』紙に、アメリカの電子書籍のジャンルでは恋愛小説が予想外に売れているという記事が載っていた。それを買うのは、31歳から49歳で恋愛中の女性が多いというのである。この記事は、電子版の恋愛小説がなぜ売れるかを分析していて、その理由が面白い。紙の本であれば、恋愛小説はカバーもタイトルも派手で、どこへでも持って行って読むには抵抗がある。デートには持って行けない。しかし、電子書籍であれば、その人がどんな本を読んでいるのかは他人には分からない。つまり、電子書籍は“本のカバー”の役割をしてくれるし、しかも何冊も持ち歩ける。そんな点が受けているようだ。

 こういう話を聞くと、宗教書も電子版で売れる可能性が十分あるのではないかと思う。大っぴらに持ち歩きにくいうえ、聖書も仏典も大部だ。『生命の實相』も40巻ある。読者はどうお考えか?

 谷口 雅宣

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コメント

JIca シニアボランティアで、コスタリカにおります。
生命の実相は、5冊だけしか、持ってこれませんでした。重量制限がきつくて、梅ぼしと天秤にかけて申し訳ございません。というわけで、電子本で生命の実相が、あったら、スカイプ輪読会も、簡単にできると、「いかがか?」と問われて、書籍のように今は書き込みなどできないでしょうが、やはり、あればうれしいです。
月刊誌も立ち読みができて、喜んで、見せていただいています。

投稿: 武山久恵 | 2010年12月12日 02:56

宗教書も電子版で売れる可能性は十分あると思います。

現代は総裁先生がご指摘下さっているように左脳偏重の社会で、ストレスを抱えながら生きている方が多く、みんな癒やしや心の救いを求めていると思います。

書店には、スピリチュアルやヒーリングといったタイトルをつけた本が溢れ、平積みされていますが、宗教書はまだまだ本屋の奥の目立たない片隅にひっそりとあります。

特に日本では、宗教書を持ち歩くのに抵抗を感じる人が多いのでしょう。
(生長の家の信徒の青年でさえ『日時計日記』を持ち歩くのに抵抗があり、表紙を自分で貼り直していると聞いたことがあります)

宗教書が電子書籍化されれば、ハードカバーでは購入をためらっていた人達が、購入する機会が増えるのではないでしょうか。

ハードカバーの本は、千円以上するためわざわざ古本屋で聖典を探して買い求めている信徒の方もいらっしゃいます。

お手頃な価格でダウンロードでき、また携帯のように端末機が普及するようになれば、電子書籍の方を選択する方は増えると思います。

さらに出講する際のことを考えると重いハードカバーの聖典を何冊も抱えて出かけるということがなくなるなぁと思いました。

普通の本の場合、重要なところにラインを引いたり、付箋を貼ったりできますが、電子書籍の場合はどうなのだろうと思いました。

いろいろ情報収集していきたいです。

投稿: 新井千里 | 2010年12月12日 08:20

すてきなアイデアだと思います♪

投稿: トレビの泉 | 2010年12月12日 08:56

総裁先生、ありがとうございます。
私もガラパゴスもソニーリーダーも大変興味がありましたので早速、ネットからそれぞれ5.5インチと5インチのものを注文しました。手元に来るのはどちらも今週末になりそうです。来るまで楽しみにしながら待ちたいと思います。

ソニーリーダーはネットから注文すると、刻印が無料でサービスしてくれるとのことでしたので、入れてもらうようにしました。ガラパゴスは通信ができるようになっているので、おっしゃるように、アマゾンキンドルのように、自分の名前がネット上に登録されていて、すぐ使えるようになっているのでしょうか。

電子書籍の互換性のことですが、おっしゃるように、一度購入したものは、他のリーダーでも読めると良いような気がします。今のところどちらのリーダーも、シャープのデータ形式のXMDF形式のものを使っているようです。

総裁先生がアメリカでは電子書籍の中では恋愛小説がよく売れていることをあげられ、「宗教書も電子版で売れる可能性が十分あるのではないかと思う」という点でざいますが、日本ではそういう面があるように思いました。しかし、その一方で、小売店(ネット書店)側では宗教的なものの扱いを控える傾向もあるように思います。

電子書籍において、日本ではアメリカの2倍ほど('09の実績)の売り上げがあると言われていますが、その8割ほどが漫画や恋愛小説(性的な表現も含むものも有り)などだそうでございます。逆に言えば、日本では一般書の電子書籍化がまだ進んでいないということだと思います。これからは日本においては、一般書の電子化をできるだけ進めると同時に、上記のような性的な表現の書籍の閲覧制限をし、宗教的なものは逆に制限しないような風土づくりが必要と思います。例えば、ソニーリーダーショップで、聖書や、宗教的な書籍名や著者で検索してもあまり出てこないような気がしますが、ガラパゴスでは、そのような宗教的な制限があまりないような報道があります。そういう意味で、多くの人に読んでいただけるよう、さまざまな販売プラットフォームに電子書籍を配信するように努力しつつ、販売プラットフォームごとの基準による制約を受けにくくするため、グループ独自の販売プラットフォーム作りも必要な気がしております。

投稿: 楽多郎 | 2010年12月12日 12:58

谷口雅宣先生

私なら、是非とも電子版で購入したいところです。我が家では生長の家の信仰が3代目に入っていて、受け継いできた生長の家の書籍が、壁一面に作った本棚でも、もうすでに満杯状態ですので、少なくとも、これから新しく買うものについては、ぜひとも電子版にしたいです。

山中優 拝

投稿: 山中優 | 2010年12月12日 15:14

ありがとうございます。

本日岡山教区の講習会で御教示戴きました火力~太陽光発電の図をこのブログで是非ともお知らせ下さい。 ありがとうございます

投稿: 松田祐明 | 2010年12月12日 23:45

松田さん、
 あの図は、すでに昨年5月25日の本欄に掲載してあります。以下のURLを参照ください:

http://masanobutaniguchi.cocolog-nifty.com/monologue/2009/05/post-db4b.html

投稿: 谷口 | 2010年12月13日 10:35

iPad が出回り始めた頃、iPadを特集する番組で、電子書籍のメリットをいくつか挙げていましたが、直販のため販売ルートを確保する必要がなく、インターネットにつなげられさえすれば世界中のどこからでも購入可能であるとの説明を聞いて、とんでもない革命が起きると思いました。

夏に出講したドイツでも日本語の書籍が希少で、高価なため、現地の日本人はみな日本語の文章に飢えていると聴きました。

きっと需要は高まる一方ですね。

投稿: 大平收一 | 2010年12月14日 19:53

合掌ありがとうございます。
先日の岡山教区のご講習会では、ご指導頂き感謝申し上げます。
先生の新刊書『森の中へ行く』のサイン本は、あっという間に売り切れてしまいました。
電子書籍の便利さも理解できますがやはり、ご本を手にし、それぞれのご本から醸し出す雰囲気が伝わる・・・それは、電子書籍では、味わえない事かと思いました。
ありがとうございました。
再拝

投稿: 書籍担当 | 2010年12月15日 08:25

皆さん、
 宗教書の電子化について、多岐にわたるご意見をいただき有難うございました。私は今後、紙の本と電子本とは用途が違ってくるので、双方とも残っていくと思います。

投稿: 谷口 | 2010年12月15日 14:31

谷口雅宣先生

ドイツ語書籍の電子ブック化についてフランクフルト事務所のヴォッベ洋子さんと話し合いました。今年9月にドルトムントのreadbox社から、電子ブック化の案内チラシが届いていました。これを見ますと1ページあたり50セント(Euro Cent)で電子ブックにしますと書かれています。つまり200ページの書籍で100ユーロということです。細かいことはまだ不明ですので、今後調べてドイツ社団で検討してみたいと思います。コメントが遅くなって申し訳ありません。 大塚裕司

投稿: 大塚 裕司 | 2010年12月17日 17:14

総裁先生、ありがとうございます。
先週末にガラパゴス(5.5インチ)とソニーリーダー(5インチ)が手元に来ましたので、早速使ってみました。そして読んでみました。比較してみると、私としてはガラパゴスの方が読みやすく、使い勝手が良いように思いました。また、楽しみも多い感じがします。例えば、日経新聞を電子版でもともと購読しておりますが、それも新規ではなく登録するだけで余分なお金をかけず読むことででき、定期配信も受けることができます。また、書籍のデータはソニーリーダーと同じXMDF形式で作られたものを読むのですが、ガラパゴスでは、文字の大きさは画面上で2本の指で開いたり閉じたりすることで自由に変えられますが、ソニーリーダーでは、6段階の切り替えになっています。またショップの使い勝手も、ガラパゴスの方が読みたい本にたどりやすいように思いました。例えば、出版社で検索したり、売れてる順、価格が安い順などで並べ替えもできますが、ソニーリーダーの方は、出版社では検索できず、書籍名順や著者順でしか並び替えができないなど、本が探しにくいと思いました。とはいうものの、ガラパゴスにも難点があり、バッテリーの持ちがあまり良くないことです。カタログでは4時間ぐらい持つことになっていますが、そこまではないように感じました。
その他、思ったことはガラパゴスが2万4千点、ソニーが2万点の品揃えだと、言われていますが、どちらも買ってみたい本が探しにくいのが現状でした。もっと電子書籍がないと、これらの機器を購入した読者が幻滅するかもしれないと思いました。ガラパゴスのほうが楽しみが多い分、救われそうには思うものの、ソニーリーダーが30万台、ガラパゴスが100万台を初年度目標としているらしいので、結構、消費者への影響は大きいかもしれません。
一方、スマートフォン(私の場合はiPhoneを使っていますが)では、そのようなことは思ったことはなく、iPhoneは汎用性のある機器なので電子書籍以外のアプリ(ソフト)を購入したり、使ったりして品揃えの少なさは感じたことがありません。
ところが電子書籍専用の機器だと、品揃えが喫緊の課題のように思いました。いや逆に、いま電子書籍を供給すると、その本は多くの読者の眼に触れるチャンスになるかもしれないと感じた次第です。以上、ご参考になれば幸いに思います。

投稿: 楽多郎 | 2010年12月21日 21:30

総裁先生ありがとうございます。
昨日、伊集院静さんの小説『なぎさホテル』(電子書籍)が発売になったので、iPhone版とiPad版を両方買ってみました。まだ途中までしか見ていませんが、なかなかいい感じです。まず、最初からドラマのような映像ではじまり、次のタイトル表示のところでは井上陽水が提供した主題歌が流れ、いよいよ小説が始まります。

巻末には、4つのインタビューが編集されて入れられています。結構迫ってきます。

『伊集院静 なぎさホテル』
http://itunes.apple.com/jp/app/id416063041?mt=8

ご参考になればと思い、投稿いたしました。
失礼いたします。

投稿: 楽多郎 | 2011年2月18日 23:00

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