« プラトンと画家 (4) | トップページ | プラトンと画家 (5) »

2010年12月 5日

イノシシ、海を渡る

 今日は雲ひとつない晴天のもと、徳島市の「アスティとくしま」で生長の家の講習会が開催された。会場には、県下はもちろん四国の隣県や大阪などからも5千人を超える大勢の受講者(5,316人)が集まって、講話や体験談などに熱心に耳を傾けてくださった。私の午前中の講話にたいしては14通の質問が出た。すべてには答えられなかったが、「実相と現象の違い」「潜在意識と文化」「生長の家が“森の中”へ行く意義」など、主題が多岐にわたったのが印象的だった。受講者数は前回(5,523人)には及ばなかったが、過疎化、高齢化、人口減少の中で同教区幹部・信徒の皆さんが熱心に伝道活動を推進してくださったことは、明らかである。そのご努力に心から感謝申し上げます。
 
Kenchopia  徳島での宿舎は新町川沿いのホテルだった。かつてはプリンスホテルの経営だったものが、今は別の企業に移っている。徳島県庁や県議会などの公共機関や施設と並んで建っているから、“市の中心地”と言えるだろう。川縁にはヨットなどのプレジャーボートが数多く係留された桟橋があって、「県庁」と掛けて「ケンチョピア」と呼ばれている。私が絵封筒を描き始めた当初、ここに係留されたヨットを題材にして万年筆で描いたのを覚えている。今回は好天に恵まれたため、それらの白い船影と澄みきった青空とのコントラストが、特に美しかった。徳島県は人口減少がずっと続いているということだが、この桟橋に係留されたプレジャーボートの数は、なぜか以前より増えているように思う。
 
 今日の『朝日新聞』の社会面に、瀬戸内海の島々を“侵食”するイノシシの話が書いてあった。講習会で島根県へ行ったときに、イノシシが宍道湖を渡るという話を聞いて驚いたものだが、この記事には「イノシシが海を泳いで渡り、海賊のように荒らし回っている」と書いてある。愛媛県今治市の大島、大三島、香川県小豆島、広島県因島や江田島などでも、イノシシがミカンやオリーブなどの枝を折ったり、木の根元を掘り返して枯らしたりする被害が出ていて、捕獲数は増えているものの、人口減と高齢化が進む中では対策が間に合わないというのだ。記事には、広島大学の谷田創教授(人間動物関係学)の談話が付けられていて、「以前は島の農家も若く人口も多くて、容易に侵入できなかったのではないか。今は高齢化で立場が逆転し、人がイノシシに追いつめられつつある。将来は無人島になる島も出てくるかもしれない」というのである。
 
 今日の講習会では、生長の家が本部事務所を東京から八ヶ岳南麓の“森の中”へ移すことに触れて、「自然と人間との共存をはかるため」だと説明したが、こういう話を聞くと、それが決して簡単なことではないことが分かる。八ヶ岳南麓あたりでは、シカの被害が多い。生長の家総本山でもイノシシの被害がある。これらの原因の1つは、人間が彼らの生息地に侵入し、開発行為によって自然界のバランスを崩していることにある。シカの場合は、天敵であるオオカミを絶滅させたことが要因の一つだから、人間がオオカミの役割をするということで、最近は“ジビエ料理”などが注目されている。イノシシの繁殖についても同じ対策が考えられるが、宗教の立場から考えると、なかなか複雑な気持にならざるを得ないのである。

 谷口 雅宣

|

« プラトンと画家 (4) | トップページ | プラトンと画家 (5) »

コメント

合掌 ありがとうございます。
先般の講習会ではご指導ありがとうございました。
島根も田舎でイノシシやシカ、クマ、サルなどが頻繁に里へ出てきて対策に苦慮しているところです。
ところで、オオカミが絶滅したといわれていますが、うちの相愛会の会員さんが昨年夏、出雲市の山の麓でシカを捕獲する罠にかかったオオカミを見たそうです。野犬だと思って保健所へ連絡したら、保健所の職員が「これはオオカミです。すぐに放します」と言って山へ逃がしたそうです。すごい野生の臭いがしたそうです。私は「それは絶対間違いでしょう。オオカミは絶滅したことになっているし」と言いましたが「あれはオオカミに間違いはない」と言われます。折角の大ニュースなのに写真でも撮っておけばよかったと残念がっておられました。
我が家の水田にもついに昨年シカが侵入してきました。イノシシもあと2キロのところまで迫ってきました。オオカミが本当にいれば、天敵としてもっと増えてくれないかなと願っています。
自然と共生する考え方は頭ではわかっていても、現実問題難しい点があり、大きな公案をつきつけられたような感じです。

投稿: 桜 森人(持田 正悦) | 2010年12月 6日 23:36

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« プラトンと画家 (4) | トップページ | プラトンと画家 (5) »