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2010年12月14日

正直者は得をする

 日本の治安がいいことは世界的にも有名で、タクシーに財布を置き忘れても返ってくるのが珍しくない、などとよく言われる。これに対してアメリカでは、自動車の車内に高価なカメラなどを置いて駐車していると、ガラスを割って盗っていく者がいても、カメラの持ち主が不注意なのが悪いと言われる。これは実際、私が20代の時にお世話になったアメリカ人家族が、サンフランシスコで体験したことだ。最近のアメリカの都市の治安状態は、もっと良くなっているかもしれない。また、都市と田舎では状況は違うし、同じ都市でも、地域が違えば治安状態も変わってくるだろう。では、アリゾナ州のテンペという町は、特に治安がよく、人々は清く正しく生きているのだろうか?
 
 私が特にこの町を取り上げるのは、日本でも珍しいほどの“善い人”がここにいたからである。この人物は49歳のホームレスのデーヴ・タリー氏(Dave Tally)で、現金3千3百ドル(約27万4千円)が入ったリュックを道ばたで見つけたのに、それを私物化せずに持ち主に返したというので、13日付の『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』紙が大きく報じている。この話には、さらに善い話が続く。このタリー氏の善行に感動したテンペ市の人々は、彼のために続々と寄付を申し出た結果、リュックに入っていた金額より多くが集まり、タリー氏には仕事のオファーがいくつもあったのだ。さらに、同市のヒュー・ハルマン市長(Hugh Hallman)は、12月9日を「デーヴ・タリーの日」とすることを宣言したという。
 
 上記の記事によると、タリー氏の人生は1999年から一気に下降したという。その年、彼は酒酔い運転で逮捕されたことで運転免許証を失った。これによって、働いていた景観管理会社の監督者の地位を失うことになった。その後に、持ち家を手放さねばならなくなった。これによってホームレスの状態に陥ったが、タリー氏はそこで諦めることなく、自分のアルコール中毒から立ち直るためにテンペ地域行動局(Tempe Community Action Agency)で社会奉仕活動をしていた。そのときに、このリュックを拾ったらしい。タリー氏によると、この“幸運”による最大の収穫は、やむを得ず「ホームレス」となっている人々のマイナス・イメージを改善できたことだという。

「善は善をよぶ」とはこのことだろう。またこれは、「笑う門には福来たる」という諺に表れる“親和の法則”を見事に証明している。人間は他人の“美点”を見ることで、自分の“美点”を表し、さらに社会の“美点”が引き出される。「正直」の美徳は、それほど人々の心を動かすものだと改めて感じた。

 谷口 雅宣
 

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コメント

とってもいいお話ですね
これを読んで感じたことですが、
私は、正直に生きてきて良かったと思える
最大の出来事は、生長の家に出逢えたことです。
生長の家に出逢えたことは、私の人生最大の喜びです。
ありがとうございます。m(_ _)m

投稿: かんみ | 2010年12月15日 19:19

素敵な話をありがとうございます。クリスマスの頃になると、この様な心の暖まる話をよく耳にする気がします。まさに心の法則そのものですね。 いい話に、ほのぼのした気分になりました。

投稿: 水野奈美 | 2010年12月15日 20:16

正直者は得をするに関してですが、以前は、正直に生きると損をするように思ってた時がありましたが、
改めて、正直に生きようと思いました。
"晴れの国”での快挙2題 を読んで、この快挙も“親和の法則”を証明してると思いました。
先生の生き方を学んで、正直に生きていこうと改めて思いました。

投稿: かんみ | 2010年12月16日 07:39

とても心が温かくなる、素晴らしいお話をありがとうございます
私も、自分の正直さに苦しんだ事がありました。
正直さゆえに、些細な事に気にしてしまう事も多々あり、“正直者は損をする”って気持ちになった事もあります
でも、先生のお話を読んで、今では自分の生き方が間違っていなかったと自信が持てます
正直で真摯な心ほど、人の心を動かす力となりますね
私も、笑顔を欠かさずに正直に明るく生きます
ありがとうございます

投稿: 山本広美 | 2010年12月16日 12:44

 『正直者は得をする』を拝読致しまして、勇気を得ました。
 俗世間では、要領良くイイカゲンなことをする者が良い評価を得ることもあると思っていましたが、それは誤りなのだと思いました。
 また、対面(体裁)だけを重んじ、ものごとの本質的解決を後回しにするところにおいては、この要領良くイイカゲンなことをする者を高く評価する傾向があるのでは?と何となく思いました。
 

投稿: 志村 宗春 | 2010年12月16日 19:29

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