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2010年11月24日

北朝鮮のアブナイ計算

 昨日の午後、北朝鮮が韓国領内の大延坪(テヨンビョン)島を砲撃し、兵士2人を含む死傷者を出した。北が南の領土を直接攻撃するのは、1953年の朝鮮戦争の休戦以来初めてという。金正日総書記の健康が疑われる中での政権移行期に、核開発をめぐる6カ国協議が中断するなど、内外に大きな問題を抱える北朝鮮が、閉塞状態を突破する“非常手段”(desparate measures)の1つとして行ったというのが、大方のメディアの分析である。直接の目的は、政権の死活を握るアメリカを交渉のテーブルに引き出すこと。それによって、自国の政権維持を保証させることだろう。そして、あわよくば朝鮮戦争を法的にも終結させて平和条約を結び、各国からの援助を得て自国を立て直すことを目指しているのかもしれない。しかし、それにしても手段を選ばぬ“アブナイ国”というイメージ通りの行動である。つい数日前、アメリカの高官が北朝鮮に関して、「トンデモない(outrageous)、挑戦的な(provocative)行動を起こさなければ……」と言っていた、まさにそのことを実行したのである。いかにアメリカを意識した行為であるかが分かる。
 
 今回の行動を見ても、北朝鮮が“ならずもの国家”と呼ばれるのは不思議でない。しかし、その“アブナイ行動”の中にも、計算された冷徹さがあることを見逃してはならないだろう。だから私は、今回の行動を“軍の暴発”とか“崩壊現象の1つ”とは見ないのである。例えば、今回の砲撃について北朝鮮は、「韓国軍の軍事演習に対する対抗措置」だとしている。つまり、23日には韓国軍がこの海域で「護国訓練」と称する定例訓練を実施中であり、北朝鮮は午前8時20分に韓国に対して現場海域での演習中止を求める通知文を発送している。そして、その6時間後に砲撃を開始した。また、北朝鮮は、今回の海域の近くに引かれた南北の海の軍事境界線である「北方限界線」(Northern Limit Line)を無効だとして、1999年に北独自の境界線を発表した。それ以降、4回にわたって、南北朝鮮はこの限界線周辺で軍事的衝突を起こしている。その4回目の衝突が、今年3月の韓国哨戒艦沈没事件だ。

 この事件は今回と同様に、北朝鮮が米韓の軍事演習に反対する中で起こったものだが、北朝鮮は一貫して自国の関与を否定してきた。が、それによって北朝鮮に有利な結果は得られなかった。そこで今回は、自国軍の砲撃であることを明確にして、「オレは本気だぞ!」というメッセージを送ってきたのだろう。もちろん私は、こんなやり方を「正しい」とか「理解できる」と言っているのではない。自分と同じ民族である一般住民が千人以上も住んでいる島に、破壊力の大きい海岸砲を打ち込む行為は異常であり、人命尊重の意思が微塵も感じられない。これでは、責任ある国際社会の構成員として認められない。が、私が言いたいのは、彼らは“悪魔”とか“狂人”ではなく、彼らなりに計算して行動しているということだ。その証拠に、今回の攻撃は彼らにとって比較的有利な陸上ではなく、劣勢に立つ海上において行われた。物理的な境界のない陸上での交戦はエスカレートしやすいが、島への砲撃ならば、その危険は比較的小さい。しかし、そこでの砲撃を行ったということは、「次は陸上かもしれないぞ」という脅しを含んでいると考えていいだろう。
 
 さて、これに対する日本政府の見解は、23日夜の時点では「許し難いものであり、北朝鮮を強く非難する。砲撃による挑発行為をただちにやめるよう求める」というもので、「現時点では国民生活にただちに影響を及ぼさない」との判断である。その通りだと思う。が、今後の推移は予断を許さないところがあることも事実だ。国連安保理の緊急会合が行われるようだが、この中で北朝鮮の同盟国である中国がどう動くかが、最大の焦点だろう。日本としては、米韓としっかり連携して硬軟双方の対応を検討する必要がある。
 
 ところで、ここまで書いてきたことはあくまでも国際政治のことである。宗教の信仰者としては、これら政治の動きから目を背けることなく、しかし心の平静を失うことなく、これを契機として、日本周辺の国際情勢がより「正常化」の方向へと前進するために、人々の心の中に“平和の想い”を拡大することを心がけるべきである。そのためには、毎日の神想観の中で「世界平和の祈り」を益々真剣に実修していきたい。
 
 谷口 雅宣

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コメント

有難うございます。
今回の北朝鮮の動きについて適切なるご指導感謝いたします。若かりし頃よく韓国に旅行し、また友人も呉服の商いにいってました。その時知り合った友達もいます。みんないい人達で先生が指導されるよう祈ります。
有難うございます。

投稿: 中井久勝。。京都 | 2010年11月24日 15:37

合掌 ありがとうございます。

私も今回のこの事件でも心を痛めておりますが、やはり世界中で未だに衝突が絶えない事の方が悲しい気持ちになります。
だから、「今の私達に何か出来ることはないのか?」と真剣に考えておりました。
私は、posting joyに参加している内の一人です。
そして、多くのJOYの参加者の皆さんに自己の幸せ喜びに満足するだけでなく、「平和への想い」や「国際平和信仰運動」について間近に感じて真剣に一緒に考えて頂きたい願いを持って、ある企画をJOYで発信させて頂きました。

もちろん、一人一人の祈りも大切ですが、より多くの皆さんの祈りが集まれば、世界へも通じ国際平和信仰運動に私達でも貢献出来るのではないかと考えました。

人は面白い事、珍しい事、楽しい事、嬉しい事が大好きだと思います。
私ももちろん大好きです。

そう言う色んな視点を踏まえて、小さなお子様から老若男女まで参加出来るposying joyならではの、バーチャル世界であっても世界中にネットで繋がっている世界だからこそ広めることが出来る、国際平和信仰運動へのひとつの布石として考えました。

先生の仰る通り「世界平和の祈り」がとても大切だと実感し、私も日々実修を重ねております。
たくさんの祈りが、国際平和に通じ笑顔で明るく幸せに過ごせる事を、心より祈ります。

ありがとうございます。

投稿: 山本 広美 | 2010年11月26日 23:57

北朝鮮に対して憤りをん感じます魂の成長はあの国に生まれたならば最悪です。
早く平和な考えのできる国になあれ。期待します。

投稿: 塚越ゆき | 2010年11月27日 03:41

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