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2010年10月30日

生物多様性と文化の多様性

 名古屋で開催されていた「生物多様性条約第10回締約国会議」(COP10)で、生物多様性を守る世界的な取り組みについてようやく合意が成立した。190を超える国や地域の代表が集まり、13日からの事前会合を含めると2週間以上にわたって続いた協議は、生物資源を多くもつ途上国と、それを利用する技術を有する先進国の意見が対立して難航したが、会期を延長した30日の未明になってやっと合意に達し、生物の利用や利益配分の枠組みを定める「名古屋議定書」を採択した。この議定書は、京都議定書に続いて日本が主導的役割をはたして成立させた国際条約だ。内容的には途上国、先進国ともに不満の残るものだが、これを出発点として、「毎年4万種」といわれる生物種の絶滅をくい止め、さらに自然と人間との共存・共生へと向かう契機としたいものだ。
 
 ところで、今日は山口県での生長の家講習会のため西へ飛んだが、JALグループの機内誌『スカイワード』の10月号に作家の浅田次郎氏が書いた「多様性と二者択一」というエッセーを、楽しく読んだ。何か小難しいことが書いてあるような題だが、そんな内容ではなく、近頃のレストランで出るスパゲッティーの種類が多いことについて書いた愉快な一文である。とは言っても、戦後の日本の食文化の変化の本質を、浅田氏の体験を交えて酒脱に描いている。内容を簡単にまとめれば、戦後しばらくはスパゲッティーの種類は「ミートソース」と「ナポリタン」の2種類しかなかったが、その後の国際化と多様化のおかげで、今の街では、旧来のものは消えたが、その代りに選択に困るほど多くの種類のパスタ料理があふれている。これは一見、多様性の産物であるように見えるが、実際は昔あったような喫茶店文化が衰退しているからだ--こういう分析である。
 
 私は浅田氏と同年代だから、氏が懐かしがる「喫茶店文化」の良さがよく分かる。10月23日の本欄で旭川市の喫茶店の話を書いたが、そういう落ち着いたインテリアで、客が何時間いても関知しないような雰囲気の店は、最近はめっきり減ってしまった。その代り、照明は明るくても、硬い床、硬い椅子、アップビートの音楽を流す騒がしい雰囲気のセルフサービスの店が主流になっている。コストカットと機能優先の競争社会が、多様性を犠牲にしているように見える。ただし、戦後の変化で評価できるものもある。それは、「禁煙」や「分煙」の喫茶店が増えていることだ。また、国内の喫茶店やコーヒーショップの全体の数が減ったわけではないだろうから、スタバやドトールの登場は、喫茶店全体の多様性を増したと言えるだろう。が、問題は、そういうフランチャイズ店やチェーン店ばかりが伸びていることであり、それは多様性の減退と言わねばならない。
 
Shunan_01  今日も講習会で来た周南市の駅周辺を歩いていて、それを強く感じた。この近辺も御多分に漏れず、人口減少と郊外型の大型店舗がふえたことで、駅前商店街が衰退している(=写真)。大型店舗のほとんどは東京資本で、見慣れたロゴマークと店構えが“旅”で来たという印象を薄めてしまう。こういう店が日本国中に広がると、そこで売られる製品やサービスが画一的であることはもちろん、街の風景や人々のライフスタイル、ものの考え方や価値観なども、全国で均一化していくだろう。これでは多様性が失われるばかりだ。
 
 多様性が失われることの問題は、生物多様性について考えてみれば分かる。例えば作物の場合、単一種の栽培が大々的に行われると、病原菌やウイルス、あるいは“害虫”などの被害は甚大なものとなる。また、気候変動で天候が作物に適しなくなっても、不作から来る被害は甚大になる。この現象を文化面に置き換えると、東京の消費文化が地方を席捲するということだ。地球温暖化と人口爆発の時代における“消費文化”は一種の疫病である。それが広まることで人類は不幸になるからだ。となると、消費文化の地方席捲は、日本全体を痛めつける結果になるだろう。

 東京のような大都会では頻繁に、新旧交代が行われる。去年隆盛を誇っていた店舗が、今年はもう取り壊されて別の店舗になる。そんな文化が日本全国に広まったら、「もったいない」という言葉に代表されるような日本のよい伝統は消えてしまう。自然との一体感もなくなるだろう。そういう意味で、私は地方の衰退を悲しむのである。
 
 谷口 雅宣

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コメント

合掌ありがとうございます。いい内容の言葉で感動しています。この文章が好きですが,関西地方にはあんまり講習会が無いと思いますが,公明党と親が共産党となら反対される為でした!どうしたら周りに認めてくれるかなと思います為でした!甘露の法雨や三行をしていますが,新淡路病院に通院中です!精神科ですが,高校生用の教科書と参考書を大切に頑張っています。
再拝

投稿: 榮 正浩 | 2010年11月 2日 16:11

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