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2010年4月24日

自然界に“声なき声”を聴く

 今日は午前10時から、長崎県西海市の生長の家総本山の谷口家奥津城で谷口輝子聖姉二十二年祭が執り行われた。前日の長崎県地方は小雨もぱらつく寒い日だったそうだが、今朝は晴天となり、ツツジやコデマリなどで彩られた本山の山々にはウグイスが鳴き交い、さわやかな日だった。ただ、時おり吹く冷たい風に流された雲が上空を覆うと、4月とは思えない寒さが感じられた。私は御祭の最後に概略、次のような挨拶をした:

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 皆さま、本日は谷口輝子聖姉の二十二年祭に大勢お集まりくださいまして、ありがとうございます。
 
 生長の家では今、「日時計主義」の生き方を進めていることは皆さんもご承知と思います。これは、人生の光明面を見て、それを記録し、人々と共有することで、生長の家の光明思想を拡げていく生き方です。この「光明面」には、私たちと自然との触れ合いも含まれます。ですから、この生長の家総本山において行われる団体参拝練成会などでも、本山の豊かな自然と触れ合った感動を、絵手紙や俳句などに表現して、参加者が一緒に味わうような時間ももたれていると思います。私たち現代人は、生活の中でこのような「自然と触れ合う」機会が年ごとに少なくなってきているのは、残念なことと言わねばなりません。なぜなら、自然界は、私たちがこの世界に生まれて、“神の子”の実相を表現していくための“原点”と言えるものだからです。言い換えれば、私たち人間は、自然なくしては心身ともに正常には生きていけないのです。ところが人間は、その自然を自分たちの都合に合わせて改変することが“進歩”であり“経済発展”であると誤解して生きてきたために、今日の地球温暖化や気候変動をもたらしていると言えます。

 自然は、私たちにいろいろなことを教えてくれます。今日は谷口輝子先生を偲びながら、「自然からどう学ぶか」ということをお話ししたいと思うのです。
 
 自然界のことを思えば、ごく最近も、北欧のアイスランドにある火山が爆発をしました。これによって噴煙が上空高くに上り、風に乗ってヨーロッパ上空に停滞したために、ヨーロッパの空港が長期間にわたって閉鎖されました。4月15日から約6日間の閉鎖で「9万5千便」が欠航したと言われています。これは、2001年の9・11同時多発テロ事件を上回る経済的損失をもたらしたと考えられます。というのは、9・11事件では、アメリカは自国上空の商用飛行を禁じましたが、それは3日間だけでした。ヨーロッパでは、火山の爆発1つで、6日間の飛行禁止となりました。これにより、アメリカとヨーロッパ間の航空便も止まりましたから、アメリカの旅行業協会の試算では、アメリカ経済には6億5千万ドル(約605億円)の損失が出たとされています。マレーシアにあるアジア・パシフィック航空協会によると、東南アジアとヨーロッパ間の主要航空会社の航空収入は、1日当たり4千万ドル(約37億円)といいますから、6日間では2億4千万ドル(約223億円)の損失となります。

 これは、世界の一部の航空に関する損失だけを金銭に置き換えただけですが、このほか、航空以外の経済活動の世界的停滞や、旅行者が空港に足止めされるなど、金銭に置き換えられない精神的損害を加えると、火山の爆発1つで、現代文明がどれだけ大きな影響を被るかが想像できると思います。火山だけでなく、最近は、ハイチやチリ、中国内陸部などで大地震が続いて起こっていて、大きな被害を出しています。
 
 ところで、このような火山の爆発や地震の勃発も、自然界の活動の一部でありますから、あえて言えば“自然な出来事”なのであります。ですから、「自然と触れ合う」といっても、私たちはこういう自然には触れたくない。では、自然には“善い自然”と“悪い自然”があるのでしょうか? 私はそうは思いません。同じ自然の活動であっても、人間がそれぞれの立場から見て、“悪い”とか“善い”などと勝手に判断するのです。そういう各人の“我の心”を通して自然を見ても、そこからは正しい教えは聴き取れないと私は思います。

 そのことを、谷口輝子先生が、ご本の中で説かれているところがあります。谷口輝子先生はご生前に何冊も本を書かれましたが、その中に昭和57(1982)年3月7日(87歳)に発行された『こころの安らぎ』という本があります。その最初の文章は「万象真理を語る」と題されています。昭和44年11月に書かれたご文章であります。この文章は初め、宇治別格本山の智泉荘の庭に生えている北山杉のことが出てきます。この杉の真っ直ぐに伸びた姿が美しいので、いつまでも眺めていたいと書かれたその後に、先生はこう書かれています--
 
「北山杉の材質はヒノキより強く弾力があるし、上下の太さに大差がないので、垂木(たるき)や床柱に珍重されている。材木屋さんが時々やって来て、智泉荘の北山杉を売ってくれと言うそうだが、なかなか売ることは許されない。6~7百本の北山杉は伸びるままにしてあるので、その林間の地上には、浅みどり濃みどりの苔が、青い絨毯を敷きつめたように生えている。余りの美しさに誘われて、道路ならぬ苔の上を踏む不心得の人もある。
 何ごとによらずインスタントばやりのこの節では、化学肥料を使って促成に努力するので、50年で成長する性質の杉を25年で成長させ、一生に1回の収入を2回に増やして、所得倍増と喜んだ人もいたそうである。
 京都の新聞によると、今年の3月に、洛北一帯に大雪が降り、北山杉は積雪の重みにたえかねて、将棋倒しに倒れたために、幾十億円の大損害で、一人で3億円の被害を受けた者もあり、再起に苦労しているそうである。
 2月の雪は風が吹くとサラサラと地上に落ちるが、3月の雪は水分をふくみ、樹木にへばりつくので、よほど根まわしがしっかりしていないと将棋倒しになる。
 促成、促成で、背丈ばかり伸びても、大地にしっかり根を張っていないので持ちこたえられないそうである。
 神から与えられた大自然は、神意(みこころ)のままに育ててゆくべきである。神意が、50年で成長をと決められたら、50年かかって、より丈夫に質の良いものに育てるべきである。」(pp.8-10)
 
 京都の山の立派な北山杉の森が、春の大雪のためにたくさん倒れてしまったというのです。これを単に“悪い自然現象”だと考えて無視し、その意味を深く考えないのではいけないというわけです。その原因をきちんと考えれば、それは、人間が短期的利益を得たいがために、自然の秩序に手を加えて、促成栽培をしたことにあったと分かる。そうすれば、自然の秩序の背後にある神意を知ることができる。すると、同じ間違いをしないですむから、自然の教えを正しく聴いたことになるのです。輝子先生は、そのことを「神は“声なき声”をもって、救わんとする人々にささやき給うのである」(p.13)と書いていらっしゃいます。私たちはこれを「観世音菩薩の教え」などと表現することもありますね。
 
 ここに、私たちが自然界と接したり、自然界の出来事を考える際の重要なヒントがあると思います。生長の家の日時計主義は、自然界の美しい面、心地よい面、おいしい面などの、いわゆる“光明面”を見ることはもちろんですが、そうでないいわゆる“暗黒面”と遭遇した際も、その現象の奥にある、神様の“声なき声”“観世音菩薩の教え”を聴くことが大切だということです。そのような“教え”を感得すれば、その契機となった“暗い現象”は、きっと“明るい啓示”に変化します。しかし、そういう“教え”は、誰でも簡単に聴けるわけではない。自分の立場に固執して他を無視していたり、自分の利益だけを考えている人には、きっと“悪”しか見えてこない。輝子先生は、この“教え”を得るためにはどうすればいいかを、簡潔に書いておられます--
 
「心を澄ましていたら神の声が聞えるのである。神の言葉は、天地すべてのものから聞えて来る」。(p.16)

「心を澄ませる」とは、まず第一に神想観をよくすることです。それから、三正行の他の2つの行(聖経・聖典拝読、愛他行)を実行することでしょう。昨今は、自然界の乱れが顕著になってきています。私は、火山の爆発や地震の勃発は人間の活動に原因があると言っているのではありません。それらは、当り前の自然現象です。しかし、最近の異常とも思える気候の変化には、私たち人間の活動が深く関わっていることは世界中の科学者が言っている通りです。正常な営みである地震や火山によって、これだけ被害を受けている人間の文明が、気候変動は無事に過ごせると思うのは、大間違いです。私たちが今、心を澄ませてみれば、そういう“自然の教え”が聞こえてくるのです。簡単に言えば、「人間よ身のほどを知れ」ということです。

 一見、“悪い兆し”と思えるそういう現象を正しく観ることで、私たちは神の“声なき声”を知り、“観世音菩薩の教え”を学ばなければなりません。皆さまにはこれからも、大いに三正行を実践し、日時計主義の心によって人生を光明化し、神意を聴きながら“自然と共に伸びる運動”を展開していただきたいと思います。

 谷口輝子聖姉二十二年祭にあたって、所感を述べさせていただきました。ご清聴ありがとうございました。
 
 谷口 雅宣

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コメント


 合掌
 
 ありがとうございます。

 
 高知教化部にて御祭に参加させていただきました。

 

投稿: 山本 順子 | 2010年4月25日 07:44

谷口雅宣先生

 大変感銘致しました。この最近の異常気象も神の御心のささやき、啓示なのですね。その事に耳を傾ける事が出来ると言う感覚が本当に大切ですね。
 ここの所の4月だと言うのに真冬並みの寒さはどう考えてもおかしいのにテレビではそれがおかしい、これは自然界の警告だと言うコメントは聞かれません。

投稿: 堀 浩二 | 2010年4月26日 10:41

合掌 ありがとうございます。
今日4日、日本橋高島屋8階ホールに、総裁先生からいただきました招待券で「三岸節子展」を観に行きました。素敵な絵でした。感動でした。一生を絵の神髄制作に貫き通した芸術家の人生を観た感じでした。同展示場で三岸節子さんの記録映画も上映していました。同会場で販売していた『三岸節子仏蘭西日記』2300円も買ってきました。これから読みます。日記帳は40年分があるそうですが、ここには3年分が印刷されているようです。
 実は私も日記帳は昭和34年から今日まで書いています。三岸節子さんのこの日記、非常に興味があります。
これから読もうと思っています。
 この洋画家・三岸節子さんのことを御紹介いただきまして、また招待券までいただきまして本当にありがとうございます。心から感謝申し上げます。ありがとうございます。良本峯夫拝。

投稿: 良本峯夫 | 2010年5月 4日 16:50

良本大兄、

 三岸さんの展覧会、私はまだ行っていないのです。ぜひ鑑賞したいと思っています。大兄の日記、きっと人を感動させる内容だと思います。

投稿: 谷口 | 2010年5月 5日 00:34

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