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2010年4月13日

『アバター』後のキャメロン監督

 1月7日の本欄でジェームズ・キャメロン監督(James Cameron)の映画『アバター』を取り上げたが、あのCGを駆使した映像美に魅了された私だが、内容的には善悪二元論だから、地球環境問題に対して「新しい洞察を与えてくれるものではない」などと書いた。こんなそっけないコメントをしたのは、キャメロン氏のことを私が誤解していたからだ。つまり私は、同氏が多くのヒット作を生み出したハリウッドの大監督だから、普段はエネルギーを浪費する贅沢な暮しをしていて、今回、地球環境問題を“題材”として商売をしたにすぎないと考えていたのだ。ところが、同氏は『アバター』の台本を書いていたこの15年間で、熱心な環境運動家になったらしい。そして先月、アマゾンの熱帯雨林を初めて訪問し、ますますその信念を強めたという。12日付の『ヘラルド朝日』紙が伝えている。
 
 それによると、同氏の環境意識は、『アバター』の公開までは個人的なレベルに留まっていたという。氏は、サンタ・バーバラの邸宅に太陽光パネルと風力発電による電気を引き、夫婦でハイブリッド車に乗り、自らオーガニック農法で野菜を作るところまではしていた。が、『アバター』の成功が彼の意識を変えたという。映画を観た人々--特に、古来の文化を守ろうとしている世界中の先住民系の人々から、映画を作るだけでなく、環境破壊に反対する行動に参加してほしいと頼まれるようになり、人々の事情を知った同氏も、“文明”側のやり方に怒りを覚えるようになったという。同氏は言う--「先住民の人たちと直接接して、彼らの窮状を知ることで、私の次の作品のテーマが形成されるでしょう。きっとそうなります。アマゾンへ行って、怒りが倍加しました」。
 
 キャメロン氏の“怒り”の対象は、ブラジル政府が建設を計画しているベロモンテ・ダム(Belo Monte Dam)だ。完成の暁には、世界第3位の巨大ダムとなる予定。環境保護団体によると、これができると、アマゾンの支流であるシングー川の、ダムから川上側数百平方マイルが水に浸かり、川下側は100キロにわたって水が干上がるという。そして、この地域に住む先住民たちの生活は破壊されてしまう。そういう問題があるので、このダム建設計画はここ何年もたなざらしになっていた。ところが、ブラジル政府はここへ来て急にこの計画にゴーサインを出し、4月20日には建設のための入札手続きに入るという。キャメロン氏に言わせると、「このダムは、私が『アバター』の中で描いたことの、まさに典型的な例だ。自然を犠牲にして進歩があるという技術文明の見方と、自然の中で生きる先住民族の文化との衝突です」。記事には、キャメロン氏が約70人の先住民とともに、槍をもって踊っている写真が添えられている。
 
  キャメロン氏は、アメリカ国内でも環境運動を進めている。この4月17日には、ニューヨーク市のブルックリン工業高校(Brooklyn Technical High School)に出向き、第1回の“アバター賞”なるものを生徒に授与する予定だ。12日の『ニューヨーク・タイムズ』が伝えている。この賞は、ニューヨーク市などが共催する「エコ戦士競争」という企画の一部で、映画『アバター』から学んだ環境問題のアイディアをどう生かしていくかについて、生徒たちが2~3分間のスピーチを競うもの。一等に選ばれれば、5千ドルの奨学金がもらえるという。同氏は、ここで環境問題と自分たちが取り組んでいる計画についての講演もするらしい。

 キャメロン氏のアマゾン訪問については、音声付のスライドショーが『ニューヨークタイムズ』のサイトに掲載されている。

 谷口 雅宣

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コメント

有難うございます いぺーの花は黄色のはなびらです。ブラジルで植樹される写真が掲載されているのを普及誌で、見たので書いてみました。南国のせいか家家に植えているところが多いです。

投稿: 鈴木マユミ | 2010年4月14日 11:32

谷口雅宣先生

 そうですか。キャメロン監督はこの様な活動をしているのですか。ますます好きになりました。私は映画監督の中で一番好きなのはこのキャメロン監督です。

 この人は確か、私より一つ年上の52歳で彼の作品はどれも大好きです。ターミネーター、ターミネーター2、ランボー2、エイリアン2そしてタイタニック。割合、どれも自己犠牲的な自らの生命を捧げて、自分の大切な人を守るというテーマがこの人の作品には流れていると感じてました。このアバターでは自然、地球環境を身を賭して守るというメッセージもあるのですね。

 でもブラジル政府のこの計画はひどいですね。やはり政治家が駄目だとどうにもなりませんね。どうにか出来ないものでしょうか。

投稿: 堀 浩二 | 2010年4月14日 17:10

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