“森の中のオフィス”について
昨年の最後の本欄(12月30日)で、生長の家が進めている“森の中のオフィス”構想に対して、読者のご支援をお願いした。この構想は、2004年7月に「基本的考え方」が決まってから、もう足かけ7年がたっている。その間、生長の家の内部では様々な研究や検討、そして運動を「基本的考え方」と整合させるための大小様々な調整が行われてきた。それは例えば、環境マネージメントシステムの導入とISO4001の認証取得であり、“炭素ゼロ”運動の提唱であり、また『聖使命』新聞と月刊誌(普及誌と機関誌)の発行形態の変更などである。一般信徒の皆さんには、これらの変化の意味と目的について、教団の関係部課からいろいろな方法でお伝えしてきているだろう。
同構想は、東京都心にある生長の家の国際本部を“森の中”に移転するというものだ。上で触れた「基本的考え方」は、それにともなう職員の意識改革をはじめ、オフィスでの業務内容の変化とその目的、オフィス周辺の自然との共存方法など、主としてオフィスとなる建物の基本思想とエネルギーの利用形態、職員の業務形態について定めた簡単なものだ。A4判用紙で2ページに収まる。これでは、国際本部の移転が、海外を含めた運動全体に及ぼす変化とその影響には対処できない。そこで、昨年4月以降、これらの変化や影響を見越したうえで、それを積極的、建設的に受け止めながら、国際平和信仰運動を新たな段階に引き上げていくための中・長期的な計画が次々に策定されていった。
まず4月に、運動の中・長期的ヴィジョンを描いた「“森の中のオフィス”の具体的計画」が決まった。この計画とは、建物などのハード面のことではなく、「生長の家はそこで何をするか?」というソフト面の計画で、以下の7項目からなる:
①“自然と共に伸びる”生き方を推進する宗教的基盤の確立
②地球環境、生物多様性、生命倫理等の分野での意見表明の拡充と宗教間協力
③国際平和信仰運動の後継者の養成
④低炭素のライフスタイルの確立
⑤自然エネルギーおよび省エネ技術の積極導入
⑥IT、通信技術の積極活用による業務の消極的低炭素化
⑦森林再生や炭素の土壌固定化などによる積極的低炭素化
各項目の詳しい説明は省略するが、これらはどれ1つ取っても「数年」の時間軸でできるものではないから、7~8年、あるいは10年がかりで実現する「中・長期的計画」なのである。
この計画策定の後、5月末には“オフィス”用地の条件と職員の住環境等についての方針が決まった。それは例えば、交通アクセス、周辺の環境、用地の状況と面積、職員寮や宿泊施設に関する基本的な考え方である。もっと具体的に言えば、オフィスは最寄駅から羽田空港まで3時間以内、用地周辺の道路が地域の生活道路となっていること、用地の広さは2万坪以上……などである。
夏に入ると、4月に決まった中・長期的ヴィジョンを実現するための運動戦略の検討が始まった。そして、9月にはオフィスの建設予定地が絞り込まれ、10月には設計者の選定が行われ、11月には第一次建築プランが決定したのだった。
このように9カ月の出来事をまとめて書くと、これらの研究や検討が順調に、楽々と進んできたかのような印象を与えるかもしれない。が、ここに至るまでには、9カ月ではなく、6年間の準備期間を要したのである。私自身も2年間に8カ所の候補地へ足を延ばした。その間には、布教企画部や組織・運動部の担当職員の果敢な挑戦と献身的な努力があった。この場を借りて、これらの人々に大いなる感謝と讃辞を贈りたい。
谷口 雅宣
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