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2010年1月21日

“森の中のオフィス”について (2)

 前回の本欄では、“森の中のオフィス”の用地選定までの7年の歩みを概観したが、今回は、この構想の背後にある考え方(思想)について、やや詳しく述べよう。この考え方は、前回も触れた「“森の中のオフィス”構想の基本的考え方」(2004年7月)の中に最初に現れる。全文を引用すると冗長になるので、部分抜粋で要旨を取り出してみよう。
 
 この文書はまず、生長の家が本部事務所や総本山でISO14001を取得したことに始まり、省エネ、太陽光・風力の利用、殺生や資源浪費を促進する肉食の削減など、2004年までの生長の家の温暖化抑制の歩みを概観したうえで、こういう認識を述べている--「しかし、温暖化の進行は社会の変化を上回っており、現行の制度下でそれを食い止める可能性は縮小しつつある」。この危機感に押されて、この構想は生れたといっていいだろう。つまり、生長の家が現行の制度を利用してベストをつくしたとしても、結局は温暖化促進に加担した生活から脱却することができないし、温暖化による気候変動は避けられないということだ。

 ここで「現行の制度」と言っているのは、もちろん2004年時点での世界的認識にもとづいた温暖化対策の制度のことだ。当時は、GMがまだ健在で、エコカーの種類は少なく、炭素税を実施している国はごく少数であり、排出権取引もほとんどなかった。また、元米副大統領のアル・ゴア氏とIPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)によるノーベル平和賞受賞より、3年も前である。では、この“現行の制度”に頼らずに、何をするというか? 「基本的考え方」は次のように宣言する--
 
「生長の家は、“大調和の真理”をさらに広く世界に宣布するとともに、我々自身の生き方の中にそれを実現していくための行動を起こす。すなわち、“現代人が現代の生活を営みながら自然環境と調和した生活をおくる”というモデル社会の構築である。(中略)その具体策が“森の中のオフィス”構想である。この構想は、従来のように森を開発するのではなく、人間が自然の仲間入りをさせてもらい、森の機能を活かしたまま業務を遂行し、“森と人との共存”を実現していこうとするものである」。

 ここにある「現代人が現代の生活を営みながら自然環境と調和した生活をおくる」というのが、この構想が目指す“モデル社会”のイメージである。「森と人との共存」が可能であるというのがこの構想の前提である。しかも、それが実現した暁には、人はそこで「原始生活」をするのではなく、あくまでも「現代の生活」を営むというのである。

 このような構想のもと、本文書は、(1)自然との共生に向けての職員の意識改革、(2)自然との共生を図るオフィスの実現、(3)生物の多様性保全のための地域社会との協力、の3つを活動指針として打ち出している。
 
 この3つは、“森の中”での「人」「建物」「地域」のあり方にそれぞれ対応している。まず、国際本部の職員は“森の中”で「寒くない、暑くない」を良しとし、ロ―エネルギーの生活の中で「森に学び、森で働き、森で遊び、森を守る」ライフスタイルを実現するための意識改革が求められる。2番目の、人間の仕事の場であるオフィスと自然とが共生するための方策としては、①電子空間上のオフィスを活用し、②物理的なオフィスは、自然と共生しやすい場所に置き、③環境に負担をかけない建物を造り、④自然エネルギーを利用してCO2の排出を最小限に抑え、⑤自然水の有効利用と汚染防止を行い、⑥資源の循環を行って廃棄物を出さない工夫をする、ことが掲げられている。
 
 3番目の生物多様性の保全については、地元の自治体や地域住民と一体となって、環境保全に取り組むことが謳われている。具体的には、近隣地域で植林や下刈りを行い、間伐など森林の手入れを行うという。
 
 これらの3つの方策は、移転先での「人」「建物」「地域」のあり方にそれぞれ対応しているが、移転先以外の日本全国や海外の諸地域で、国際本部の移転後にどのような運動を展開するかという戦略や運動論については、何も語っていない。だから、7年前の“構想”はそこまでだったことが分かる。
 
 谷口 雅宣
 

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コメント

7段落目にあります「電子空間上のオフィスの活用」を具体的に分かりやすくご説明お願い致します。

投稿: 横山浩雅 | 2010年1月24日 14:24

横山さん、

 “電子空間上のオフィス”のことですが、生長の家ではかなり前から、インターネット上で会議をしたり、情報交換をするシステムを使って一部の仕事をしています。また、生長の家の会員が専用で使うサイトも稼働しています。そういう種類のものを指します。これを、もっといろいろな業務に援用していくことで、“森の中”へ行くことで不利となる「時間」と「距離」の問題を緩和していく--長距離の移動を減少させる--という考え方です。

投稿: 谷口 | 2010年1月24日 15:25

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