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2009年12月30日

2009年を振り返って

 今年がもう終ろうとしている。年を経るたびに時間が過ぎるのが速まるとよく言われるが、本当にそう感じる。この年は、特に多くの変化があった。昨年の10月終りごろに前生長の家総裁、谷口清超先生が昇天されたことに始まり、私の身辺で大きな変化があっただけでなく、世界的にも超大国アメリカで共和党から民主党への政権交替があり、それを追うようにして、わが国では自民党の長期政権が倒れた。この変化に併行して、経済危機の打撃から立ち直れない先進国を横目に、中国やインドなどの新興国の台頭がはっきりしてきた。世界情勢は、アメリカの一極支配から多極化の時代へと移行しつつある。その中で歩き始めた日本の民主党政権は、発足時のスタートは好調に見えたが、政権内部の不統一などによって、外交的には最重要の日米関係でつまずいている。そのアメリカも、中東での2つの戦争に手足を縛られ、“テロとの戦争”を終らせたくても終らせられない状態だ。国際政治は、来年はもっと変化するかもしれない。
 
 今世紀最大の課題といわれる地球温暖化への対応は、先日の“コペンハーゲン合意”だけで終ってしまった。しかも、法的義務をともなう合意には至らなかった。日本とEUは温暖化ガス削減の野心的目標を掲げることで、世界の主導権を握ろうとしたが、中国を初めとした途上国側を牽引することに失敗した。アメリカも低い中期目標しか設定できなかった。来年のCOP16に期待をつなぐほかないが、世界の客観条件はさほど変わるとは思えないので、“画期的合意”ではなく“漸進的合意”を予想するのが現実的だろう。こうした結果は、民主主義制度の構造的問題に原因がある。民主主義は、同一世代内での問題解決には有効な結果を多くもたらすが、地球環境や生命倫理問題などのように、次世代が直面する問題を解決しようとする場合、うまく機能しない。なぜなら、「次世代」の代表が発言し、権利を行使することができないからだ。現世代の人間が、次世代のために自らを“犠牲”にしたり、自らの利益を次世代に“譲る”という明確な意識が生まれなければならないのだ。
 
 生長の家は、そういう意識を育てることが宗教運動の1つの重要な役割だと考える。子のために自ら苦労を惜しまない「親の愛」は、もともとそういうものである。それを拡大することで、自分よりも他を先に救う「菩薩」という考え方が生まれた。民主主義には、だから“菩薩の精神”が必要である。物質主義のみでは、気候変動の悪化を防ぐことはできないのである。
 
 生長の家の運動では、3月に私が総裁を襲任させていただいた。多くの幹部・信徒の皆さんが、生長の家講習会の推進を含む様々な形で祝意を表してくださったことが、私にとって絶大な励みとなったことは言うまでもない。感謝しきりである。温暖化ガスの排出削減の観点から、我々の運動も変化しつつある。運動組織の「全国大会」は、文字通り全国から大勢の人々を一カ所に集めて開く方式を変え、「全国幹部研鑽会」として“幹部”のみが集まり、分散して数カ所で行う方式などが採用されている。長崎県西海市にある生長の家総本山では、施設内のCO2排出削減を進めるとともに、団体参拝練成会で全国から集まる幹部・信徒が、自ら“炭素ゼロ旅行”を採用してくださった結果、境内の豊かな森林による吸収分を含めると、年間のCO2排出量はほとんどゼロになった。来年はきっと“炭素ゼロ”が実現するだろう。東京の本部会館や京都府の宇治別格本山などの主要施設から出るCO2は、国連のCDMの認証を得た排出権の購入によって、また、私が行う生長の家講習会でのCO2はグリーン電力の採用によって、すでに“炭素ゼロ”が実現している。
 
 これらに加えて、温暖化ガス削減の努力は「出版物」の分野にも及んでいる。生長の家は長らく、廉価な月刊誌を大量に配布する方式で伝道活動を推進してきた。しかし、これでは森林伐採による温暖化ガスの排出を増進することにもなる。そこで今年は、月刊の機関紙『聖使命』、また普及誌(4種)と機関誌(3種)の編集内容が抜本的に見直され、『聖使命』紙はブランケット版からタブロイド版に版型が縮小され、実質的な減ページを行った。また、来年4月号から普及誌は3種になり、機関誌は1誌に統合されるなど、大幅な用紙削減が決まっている。さらに、これら誌紙が伝える情報量が減る分を補うために、インターネットを使った情報伝達が計画されていて、すでに「ポスティングジョイ」という生長の家のSNSが稼働しはじめただけでなく、そのサイトの内容が普及誌の記事と連動することも決まっている。

 今夏、ブラジルのサンパウロ市で行われた「世界平和のための生長の家国際教修会」も、そのテーマを「自然と人間との共生・共存」として、世界各地の伝統的宗教の自然観を学び、そこから人類が今後、自然と共存するための知恵を得ることに焦点をしぼった。日本文化が自然との一体感を重視することはよく知られているが、ユダヤ=キリスト教やイスラームの教えの中などにも自然を重んじるものが多く含まれていることが、これによって海外の幹部・信徒にも理解されたに違いない。私はこの場において、地球温暖化抑制に向けた宗教間の合意の形成と恊働とを訴えたのだった。
 
 来る年には、生長の家の国際本部が“森の中のオフィス”に移転するための、具体的準備がいよいよ始まる。読者の皆さんにはぜひ、ご理解とご支援をお願い申し上げます。
 
 谷口 雅宣

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コメント

総裁先生ありがとうございます。

今年は、先生にとっても、本当に激動の一年だっただろうと推察するとともに、そのような中でも、私たち全ての信徒誌友はじめ、全人類の恒久的な平和実現のために尽力して下さりまして、誠にありがとうございました。

私は、先日、日頃からお世話になっている、ある本部講師の引越し作業を手伝わせていただいた中で、様々な事を学ばせていただきました。そして、その中で出会った青年たちと、『本当の中心帰一とは?』と『神の子の實相顕現について』語り合いました。それは、とてつもなく楽しい時間であり、レベルの高い話題を存分に味わえた空間でした。

来年は、晴れて青年会を卒業し、相愛会へ進学となる新しくも大きな転機を迎える、喜ばしき年になります。そして、来年以降、けっして少なくないであろう困難をも感謝とともに乗り越えながら、本当の愛他行を極められるよう努力しつつ、来世に優しい生き方を目指して、より真理を研鑽していきたいので、今後とも、講習会などを通じて、よろしく御指導をお願いいたします。

それでは、佳い年をお迎え下さい。

感謝拝

投稿: 阿部 裕一 | 2009年12月31日 22:53

阿部さん、
 ご丁寧なあいさつ、ありがとうございます。そして、新年おめでとうございます。本年も共にベストを尽くして運動を展開いたしましょう。

投稿: 谷口 | 2010年1月 2日 16:53

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