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2009年11月15日

森の大切さ

 今日は目の覚めるような晴天のもと、千葉市の幕張メッセ・イベントホールで千葉教区の生長の家講習会が開催された。気温も暖かで紅葉・黄葉の美しい休日でもあったから、宗教の話よりも行楽を選ぶ人も多かったろうと思うが、1万人を上回る数(10,109人)の受講者が参加してくださり、和やかな雰囲気の中で講習会がもてたことは誠にありがたかった。

 午後の部の講話で、私は地球温暖化抑制のための人類の努力がいま、どのような困難に差しかかっているかを話した。本欄の読者にもそれを知ってもらいたいので、以下に少し書くことにする。

 パリに本部を置く国際エネルギー機関(International Energy Agency, IEA )はこの10日、『World Energy Outlook 2009』(世界のエネルギー展望)という報告書を発表した。これは同機関の毎年のレポートの最新版だが、698頁もある大部のもの。それによると、世界各国のエネルギー政策が変わらずに、このまま経済発展が続いていくと、人類の化石燃料への依存は今後急速に強まり、気候変動とエネルギーの供給不安がますます深刻になるという。

 12月にはデンマークのコペンハーゲンで190カ国の代表が集まって、京都議定書に続く気候変動抑制のための条約の交渉が行われるが、そこでの合意はかなり難しいとされている。その理由は、化石燃料を基礎とした現在の文明から、風力や太陽光などの再生可能エネルギーを基にした新しい文明へ転換するためのコストを、誰がどう負担するかで、先進国と途上国の間に鋭い意見の対立が続いているからだ。

 途上国側の主張は、今日の温暖化をもたらしたのは先進国だから、原因をつくった先進国がコストを支払うべきで、途上国の経済発展を妨げる権利はないというもの。これに対し、昨年来の経済不況から立ち直れないでないでいる先進国は、高額の資金の提供や、自らのもつ環境技術の提供に消極的だ。京都議定書後の取り組みについては、先進国は中国やインドなどの新興国にも温暖化ガス削減の義務を認めさせようとしているが、それらの国々は上記の理由から、それに反対する姿勢を崩していない。

 その一方で、昨年来の世界的経済不況は、温暖化ガスの排出を大幅に減らすという意味ではよい効果をもたらした。IEAもこのことに触れ、経済の停滞によって、今年の温暖化ガス排出量は世界全体で3%減少すると予測している。これは、この40年間で最大の下げ幅という。しかし、2012年に期限切れとなる京都議定書の後に、温暖化抑制のための国際合意ができない場合、2030年には温暖化ガスの排出量は40%も増えることになるという。この増加分の半分以上は中国によるもので、残りはその他の新興国による。

 今の人類の経済活動が地球規模でどの程度の自然破壊をもたらしているかについては、アメリカの著名な評論家、トーマス・フリードマン氏(Thomas L. Friedman)が、11月12日の『ヘラルド・トリビューン』紙に寄稿した論説が分りやすい。それによると、現在の地球上で使われるすべての交通・運搬手段--列車、自動車、トラック、航空機、船舶--から排出されるCO2の量よりも、森林伐採によって発生するCO2の量の方が多いというのである。森林伐採による温暖化ガス排出量は、人間の活動全体から排出される量の17%を占めているが、これを止めることの方が、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を図るよりも効果的であるという。毎年、地球上から消失する森林の面積は、アメリカのニューヨーク州ほどの広さだという。同州の面積は約12万8400平方kmだが、これを日本の国土に当てはめてみると、北海道、四国、九州を足した広さ(約13万2000平方km)にほぼ匹敵する。現在の“経済成長”というものには、これだけの面積の森林を毎年消失させるという深刻なマイナス面をもっていることを、我々は知るべきである。

 私は今日の講習会で、IEAの報告書の話はしたが、フリードマン氏の論説に触れる時間がなかった。が、ここで考えてみると「森林伐採による温暖化ガスの排出」とは、チェーンソーや木材運搬用のトラックから排出される温暖化ガスのことであるよりも、「伐採によって森林に吸収されなくなるCO2の量」のことなのだ。つまり、人類が現段階以上の森林破壊をやめることができれば、CO2の排出量を「17%」も森林が吸収してくれるのである。植林や育林の重要性を改めて感じる。秋の紅葉は美しくてありがたいが、緑豊かな森の大切さも忘れてはなるまい。

 谷口 雅宣
 

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コメント

谷口雅宣 先生

合掌ありがとうございます。

先生のウェブログ、2007年6月4日「悪はなぜあるか」に常識では考えられないほど遅くなってしましましたが、私なりの考えを書いてみましたので出来ましたらお読みになって下さい。

失礼いたします。

再拝

投稿: 横山浩雅 | 2009年11月16日 15:39

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