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2009年11月18日

肉食の温室効果は51%

 人類が肉食をすることで地球温暖化が進行することは、いろいろな方面から指摘されてきたから、すでに多くの読者はご存じだろう。生長の家でも「肉食を減らす」ことを温暖化抑制の方策の1つとして、信徒や社会に訴え、また自ら実行してきた。具体的には、本部事務所や総本山での重要な会議や集会や、各地で開かれる練成会での食事を“ノーミート化”したり、ノーミートブログなどで、肉を使わない料理の献立や、それを食べさせるレストランを紹介してきた。が、肉食をすることで、実際にどれほどの量の温室効果ガスが大気中に排出されるのかは、詳しくわからなかった。ところが、このほどワールドウォッチ研究所(World Watch Institute)の求めで行われた研究では、食肉産業全体から排出される温室効果ガスは全体の「51%」、という高い数値が出た。17日付の『ヘラルド・トリビューン』紙が伝えている。
 
 それによると、この研究をしたのは、かつて世界銀行で環境分野の顧問を務めたロバート・グッドランド氏(Robert Goodland)と、世界銀行系のインターナショナル・ファイナンス社(International Finance Corp.)の環境問題専門家、ジェフ・アンハン氏(Jeff Anhang)。両氏の報告には「家畜と気候変動:もし気候変動の鍵を握るのが牛やブタ、鶏…だったら」(Livestock and Climate Change:What if the key actors in climate change are...cows, pigs and chickens?)という題がつけられている。研究では、生きた家畜から出るメタンなどの温室効果ガス、家畜の飼料を栽培するため、あるいは牧草地を造るための森林伐採など、食肉産業全体から排出される温室効果ガスの量をCO2に換算して算出した結果、上記の数値を得た。特にメタンは、CO2に比べて23倍もの温室効果があるため、深刻な影響がある。国連の食糧農業機関(Food and Agriculture Organization)が2006年に出した報告では、家畜からの排出量は全体の「18%」とされていたが、今回の数値は産業全体を含んだため、大幅に拡大したようだ。
 
 15日付の本欄では、森林伐採による温室効果ガスの排出量は全体の「17%」--という数字を紹介したが、これの3倍の量を食肉産業が排出していることになる。ということは、航空機の使用を減らしたり、自動車をガソリン車から電気自動車へ替えるよりも、また森林を守ったり植林をすることよりも、我々が肉食を減らすことの方が地球温暖化抑制のために効果的だと言えるだろう。この数値には、目を覚まさせられないだろうか。我々は動物を苦しめ、その命を犠牲にして自分の欲望を満たしてきたことで、気候変動を起こし、自ら苦しみ、多くの命を犠牲にしつつあるのである。「因果晦まさず」という言葉は真実である。
 
 地球温暖化以外にも肉食が抱える諸問題を意識して、マクロビオテックなどでは、肉食をせずに「肉の味」を楽しめるテンペ(大豆)、セイタン(小麦)などの食肉代替品が開発されている。が、最近では、先端的な再生医療から得た技術により、個体から分離した家畜の細胞を増殖させて“培養肉”(cultured meat)を製造する研究が行われているらしい。同紙の記事には、それが10年以内に実現するという研究者の談話が載っている。その研究者は、培養肉の製造により、温暖化ガスの発生は9割ほど抑えられるから、自動車をすべて自転車に替えるよりも効果があり、しかも家畜の肉よりも衛生的だとしている。私は、そんな方向に人類が進むと思うと、暗澹たる気持になる。

 谷口 雅宣

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コメント

培養肉はどんな製造過程(と言っていいのかわかりませんが)をたどるのでしょうか。ややこしい方法をとらずとも、肉食を減らすことの方が早道だと思います。科学技術がゆくべき道ではないとも感じました。


今日の昼は山かけごはんとそばのセットを頼みました。いつもこんなノーミートな食事ができているわけではありませんが、少しずつでも地球環境に配慮した生活ができればと思います。

投稿: 加藤裕之 | 2009年11月19日 13:03

合掌ありがとうございます。
肉は我が家ではほとんど買うことはありませんが、外食ではたまにお肉料理を食べています。
個人的には生長の家、総本山の食事がどんなお料理屋さんのお料理より、身体にあうと感じています。
先日、飛田給でリーダー養成のための研修会で中華民国の方とおはなししたのですが、中華民国は菜食(素食)が盛んで総裁先生も喜ばれたとのことをお聞きしました。
日本でも精進料理のお店がたくさんあると嬉しいと思います。
外食するばあいでも、安いものを量でごまかし、お腹を一杯にするのではなく、少量でも心が満たされる美味しい、菜食が食べられたら、と思います。

投稿: 林利恵子 | 2009年11月19日 20:52

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