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2009年11月 4日

キンドルを使う (2)

 10月23日の本欄で、この電子ブック端末の外観と基本的機能について少し書いた。それから約2週間がたったが、私に分かったことは次の3つである:
 
 ①英文を男女の声で読み上げる。
 ②個人用ファイルを保存できる。
 ③購入した電子ブックのコピーが提供される。
 
 この英文の「読み上げ」の機能には驚かされた。画面に表示されている文章を、結構まともな英語で読み上げてくれる。しかも、男性と女性の2種類の声を選ぶことができ、読み上げる速度も3段階ある。何のためにこれがあるのか定かでないが、想像するところ、自動車の運転中とか、目が疲れた時などに利用できるし、目が不自由な人の役に立つかもしれない。キンドルにはイヤフォン・ジャックもついているから、パソコンにつなげば音声ファイルの作成も可能だろう。ただし“完璧な英語”とは言えないから、発音練習には不向きかもしれない。また、アマゾンが提供する電子ブックや雑誌記事には音声による読み上げができるものと、そうでないものがある点、注意が必要だろう。
 
 次に、ここで言う「個人用ファイル」とは、個人がワープロや画像編集ソフトで作ったファイルのことである。だから、自分で書いた文書やインターネット上の情報、お絵描きソフトで作った画像、デジカメの写真などもキンドルの中に収納できる。ただし白黒画面だから、カラー画像はモノクロ表示になる。使えるファイル形式は、ワードの文書ファイル(DOC, DOCX)のほか、 PDF、 HTML、 TXT、 RTF、 JPEG、 GIF、 PNG、 BMP、 PRC、MOBI、などである。ただし、これらの個人用ファイルはキンドルに直接転送できない。使うときには、電子メールに添付して自分のキンドル用のアドレスに送ると、アマゾン側でファイル変換を行ったものを無線で送り返してくる。これには多少、時間の経過を要する。が、数ページ分のワード文書なら、数分でキンドルに収められる。
 
 最後に書いた「電子ブックのコピー」とは、キンドルで注文した電子ブックや電子記事のコピーが、自分のアマゾンのアカウントに残るということだ。 これがなぜ必要かというと、キンドルでは電子ブックを簡単に削除できるからだ。これは便利な機能だが、操作が簡単なため誤って削除する場合も出てくる。すると、通常の方法では(例えば、ウィンドウズ付属の「ごみ箱」機能のような)現状回復は不可能なのだ。これでは安心して使えないから、コピーをアマゾン側で取っておいてくれる。私も実際、買ったばかりの電子ブックを誤って1冊まるごと削ってしまったことがある。しかし、アマゾンが設けた自分のキンドル用のウェブページにアクセスすれば、そこにコピーがあるのでダウンロードして現状回復できた。これはうれしい機能である。
 
 このようにして、キンドルは電子ブックの購入と読書のための端末としては必要な機能をもっているが、なにせ日本語のファイルを表示しない点が、現在ではボトルネックだ。が、アマゾンでは近々世界各国の言語に対応すると言っているので、そうなれば音楽CDの販売減と似たような現象が、出版業界にも起こる可能性は充分あると言えるだろう。

 谷口 雅宣

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