今日は秋晴れの空の下、午前10時から東京・原宿の生長の家本部会館ホールにおいて「谷口清超大聖師一年祭」が厳かに執り行われた。御祭には谷口恵美子・前白鳩会総裁も出席され、玉串拝礼と聖経読誦をされたうえ、挨拶の言葉を述べられた。その後に私も挨拶に立ち、大略以下のような言葉を述べた:
皆さま、本日は谷口清超大聖師の一年祭に大勢お集まりいただきまして、誠にありがとうございました。
谷口清超先生がお亡くなりになってから、ちょうど一年がたったわけですが、長いようで短い期間でありました。私はその間、この本部会館の2階にいたのが、一番上の階へ移りまして、清超先生が使っておられたお部屋で執務することになりました。部屋だけではなくて、デスクも椅子も応接セットも調度品も……、いろいろな“お下がり”をありがたく頂戴して、今でも使わせていただいています。そうして、谷口清超先生がものを大切にして生きてこられたことを改めて実感しているしだいであります。このことは、すでに機関誌の7月号に書いたので、詳しい話は省略いたします。
今度、私のブログを集めた単行本の『小閑雑感』シリーズの第14巻目が発行されました。発行日は11月1日になっていますが、本部の販売部にはすでに入庫しています。その本には、ちょうど昨年の今日、10月28日付で書いたブログの記事が含まれています。その中で私は、谷口清超先生のご業績について短くまとめているので、特に私たちの運動と直接関係する部分について、その記事から引用したいと思います。同書の終りの方ですが、272ページの下から4行目から朗読します:
「谷口清超先生は、1985(昭和60)年に生長の家創始者、谷口雅春先生のご逝去にともなって2代目の生長の家総裁を襲任され、以後23年間、全世界の生長の家の中心者として、世界では20世紀末から21世紀にかけて、日本では昭和から平成へ移る激動の時代に、不変の真理を説き続けられた。特に、1948(昭和23)年9月から1994(平成6)年3月まで46年間続けられた生長の家講習会では、毎年日本の全教区を回られるなどして、大勢の人々に真理を宣布され、数多くの救いを成就された。海外にも1956(昭和31)年にハワイ・北米・南米へ、1970(昭和45)年にブラジルへ、1977(昭和52)年には南北アメリカ大陸へご巡錫されるなど、万教帰一の教えを世界に述べ伝えられるとともに、海外の信徒に多くの救いと励ましをもたらされた。
また清超先生は、国内の組織運動を改革されることで、女性信徒の組織である生長の家白鳩会が飛躍的に伸びる体制を作られた。これは、かつての単位組織だった誌友相愛会が、男性が女性を使う形で運営されてきたことで、女性の個性を生かした運動が生まれにくかった点を改革されたもの。これによって女性信徒が自立し、主体性をもって真理宣布の運動に取り組むことが可能となり、教勢は大いに拡大した。また、地方講師会を“組織の血液”として位置づけられることにより、相愛会、白鳩会、青年会の三者協力体制と“教え”との関係を明確化された。さらに先生は、政治活動に偏っていた1970年代の運動の弊害に気づかれ、1983(昭和58)年、政治団体であった生長の家政治連合の活動停止を決意されたことで、今日の生長の家の“信仰運動”としての基盤を確立された。」
このように、日本国内の運動では、①谷口清超先生は女性の宗教運動としての白鳩会の自立を達成され、また②運動における講師の役割を、人体の機能になぞらえて“組織の血液”として明確に位置づけられ、さらに③生長の家の運動を政治と分離して純粋な信仰運動とされた点で、私たちに大きな、ありがたい遺産を遺してくださったのであります。私たちはこれらをしっかりと継承し、その上に立って運動をさらに発展させていきたいと思うのであります。
幸いにも、その発展の“芽”は今、伸びつつあります。その1つは、11月1日号の『聖使命』新聞にも報じられていますが、来年4月から発行される新しい3種類の普及誌の見本誌ができたことです。『いのちの環』『白鳩』『日時計24』の3つです。会員の皆さんの手元に届くのは11月上旬ぐらいだそうです。これによって、地球温暖化抑制と運動の発展を両立させようとする“自然とともに伸びる運動”のための有力な媒体が誕生したことになります。この見本誌には、新しい運動の考え方がよく表れていますから、皆さまも内容をよく読んで、普及誌の継続や購読者拡大の運動にどんどん利用していただきたいのであります。
さて、谷口清超先生は、私たちの伝道活動についても、各方面にわたって丁寧なご指導をしてくださいました。先生が総本山で倒れられるひと月前の1月の新年祝賀式でも、貴重なお言葉をいただいているので、次にそれを紹介いたします。これは、機関誌の今年の1月号に載っているので、あとでしっかり読んでくださるとありがたいです。ここでは「伝道をする相手をどう選べばよいか」という問題について、先生は「あまり焦らずに、幅広い心をもって、幅広い人々を対象にして伝道しなさい」とおっしゃっています。
(『生長の家白鳩会』平成21年1月号、pp.20-22 を朗読)
人と人との間には「機縁」というものがありますから、家族であっても嫌がっている相手には、いくら伝道しても真理は伝わらないことが多いのです。その逆に、まったく初対面の人であっても、真理を求めている人に対しては教えがすぐに伝わり、私たちの運動の強力な仲間になってくれることもあります。だから、「今、あの人に伝えなければ意味がない」などと伝道の相手に執着して限定せずに、すべての人々はすでに本性においては神の子であり、仏であるという実相を観じながら、また、人間の生命は不死であるから、今生で伝わらなくても次生があると信じて、できるだけ広範囲の人々に、焦らず、緊張せず、気軽に、明るく、御教を伝える活動を展開していってください。
谷口清超先生の一年祭に当り、所感を述べさせていただきました。ありがとうございます。
谷口 雅宣