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2009年4月22日

日本を“資源大国”と呼ぶべきか?

 アメリカの経済誌『Forbes』の日本版が、6月号で「“資源大国ニッポン”のポテンシャル」という題の特集記事を組んでいる。私はすでに昨年の8月20日9月5日の本欄で、21世紀の今は、日本を「資源小国」と呼ぶ古い発想を切り替えるべしと提言し、地熱発電に加え、「太陽エネルギーや風力、潮力などの“地上資源”に注目すれば、まったく違う可能性が展開してくる」と述べた。この特集記事は、それと全く同じアイディアを述べているのではないが、“言葉の力”を使って人々の発想の転換を図るという意味では、大いに好感がもてる。

 しかし、特集の内容を細かく読むと、日本周辺の海底資源には大きな可能性があるから、その開発に注力せよという主旨だ。特に、メタンハイドレートとレアメタル、レアアースの開発を進めろという内容だから、地球温暖化の問題を真剣に考えているとは思えない。メタンハイドレートとは、メタンと水が低温高圧下で結晶化したもので、東海・近畿の南方にある「東部南海トラフ」と呼ばれる海域などで鉱床が確認されている。これを堀り出してメタンガスを抽出し、エネルギー源にしようという構想である。これが混じる砂層は、水深1千メートルほどの海底からさらに300~400メートル下にあるらしい。そういう「深層」に多くあることが分かっているのに加え、海底や湖底の「表層」にもあるらしい。これまでの調査によると、日本で1年間で消費する天然ガスの量に換算して、100年分のメタンハイドレートが日本周辺の海域には存在しているという。
 
 読者はすでにお気づきと思うが、これは一種の化石燃料である。だから、石油や天然ガスをエネルギー源として使うのと同じ問題--温室効果ガスの排出--がある。その点にこの特集記事は何も言及していない。また、ここでは自民党の中川秀直・衆議院議員がインタビューに答えて、こんな発言もしている--
 
「南海トラフに相当量あると予測されるメタンハイドレートと、銅・鉛・亜鉛・金・銀の重金属やゲルマニウム、ガリウムなどのレアメタルを含む海底熱水鉱床が期待されるのは当然ですが、今まであまり期待感のなかった石油・天然ガスについても、探査・開発が海洋政策の柱の一つに位置づけられた点に注目しています」

 この言い方だと、海洋資源の開発と利用の仕組みが整ってきたから、日本は周辺海域の資源をどんどん開発し、エネルギー源やハイテク機器の材料として利用するのがいい、と言っているように聞こえる。中川氏だけでなく、この特集全体が、なぜ地球温暖化の問題に触れないのか、私は不思議に思うのである。中川氏は、自民党の政調会長だったときから海洋基本法の制定に尽力してきた人だが、今後の展望を次のように評価する--
 
「昨年3月に閣議決定された海洋基本計画では、当面の探査・開発の対象として、石油・天然ガス、メタンハイドレート、海底熱水鉱床が挙げられています。そのうち、メタンハイドレートと海底熱水鉱床については、今後10年間で商業化を実現する目標が立てられています」

 私は、日本としては地球温暖化の原因となる化石燃料のようなエネルギー資源の開発はやめて、今後は風力、潮力、波力等の再生可能エネルギーの開発に全力投球すべきと考えるのだが、同氏によると「波や潮流による自然再生エネルギーも可能性の高いところですが、今いちばん注目されているのがエネルギー・鉱物資源です」ということになるらしい。だから、ここでいう「資源大国」という言葉の背後には、あまり新しい発想はないようである。
 
 谷口 雅宣

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コメント

合掌 有難うございます。ご就任おめでとうございます。ここに書いておられます。そのメタルハイドレッドでしたか、やはり石油の一種ですか。
二酸化炭素をだします。今、高速の料金が安くなり、交通量増えていますが、これも、経済効果はありますが、温暖化になります。貿易摩擦で日本も、アメリカも苦しんでいますが、オバマさんになり、温暖化に積極的になりました。日本のハイブリットに先起され、アメリカの車は売れなくなったのでしょうか。でも、日本は、ハイブリット
に乗る人は余りいないのではないでしょうか。
今度はアメリカに先起されるでしょう。日本も
オバマさんのような政治家が必要なのかもしれません。再拝

投稿: T.S | 2009年4月24日 23:19

合掌 。前回の投稿で、メタンハイドレッドを石油のようなものと解釈していまして、そうではないようなので申し訳ございません。テレビで見たことがあり、その折には石油に変わる物質と思っていました。申し訳ございません。
 再拝

投稿: T.S | 2009年4月25日 17:34

T.Sさん、

>>メタンハイドレッドを石油のようなものと解釈していまして、そうではないようなので申し訳ございません<<

 当たらずとも遠からずですから、謝る必要はないと思いますよ。「石油」というよりは「天然ガス」に近いのですが、しかし、天然ガスは油田から一緒に出ることが多いので……

 あっ、それから、ハイブリッド車は日本でもよく売れてるそうですよ。

投稿: 谷口 | 2009年4月25日 22:26

合掌 有難うございます。天然ガスといいますと、LPG
のようなものですね。LPGと変わるものになるようですね。
次期の発電に一つに自家発電の、LPGが使われいるようで。ここら辺では見かけませんが、
 ハイブッリトの車は、この地区では、相愛会長をしてた人がのっていました。今は2、3台に増えました。返信いただき有難うございます。再拝

投稿: T.S | 2009年4月25日 22:58

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