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2009年4月21日

本欄が書籍に (8)

 このブログを単行本化した「小閑雑感」シリーズの第13巻、『小閑雑感 Part 13』(=写Part13_gm)が、生長の家の3大運動組織の全国幹部研鑽会と全国大会を期して、5月1日付で世界聖典普及協会から発売される。本欄の昨年3月から6月までのブログ79篇を集めたもので、同協会にはすでに入庫しているので入手可能と思う。カラーのスケッチ画や写真が23点入り、268ページ、定価は1,400円(税込)である。今からちょうど1年前の記述を含むので、特に経済の動向などで今の状況との違いが顕著にわかる。例えば、現在のアメリカや日本などの先進国の経済は“戦後最悪”の局面だと言われているが、1年前の3月22日のブログには「食糧危機が近づいている?」と題して、次のようにある:

「このところ食品の値上がりが続いている。これは日本だけのことではなく、世界的な現象だ。原因もわかっているが、効果的な対策が講じられているとは思えない。原因は、①中進国の経済発展に伴う動物食の増加、②気候変動による農業生産の不安定化、③石油の高騰、④バイオエタノール・ブーム、などだ」(p.59)

 ところが今は、外食の需要が減り、石油の値段は下がり、バイオエタノールはだぶついている。“経済危機”の到来で大量の失業者が出ているから、外食をする人も、自動車に乗る人も減っているのである。これは“悪い”方向への変化とも言えるが、“よい”方向への変化もある。昨年の5月14日に私は「“放置国家”から脱出しよう」と題して、日本政府の環境対策がEU諸国に比べて遅れていることを、次のように苛立っている:
 
「これ(“福田ビジョン”)はかけ声としては相当“意欲的”に聞こえるが、すでにEUが掲げている目標と変わらない。では、EUが実施している温暖化対策に近いものを日本が今、行っているだろうか? 答えは“ノー”である。環境税も排出権取引も、自然エネルギー支援のための優遇策も、ほとんど内容のあるものは実施されていない」(p.147)

 しかし、今年は“経済危機”の中で総選挙をにらんだ政府・自民党が、「グリーン・ニューディール」と称して新たな環境対策を打ち出している。例えば、自動車関連の経済刺激策では、一定の排ガス・燃費基準を満たした車の自動車重量税などを軽減したり、新車購入後13年以上の車を廃棄して環境対応車の新車を購入する場合、普通車で25万円、軽自動車で12.5万円を補助。それ以外に一定の排ガス・燃費基準を満たした新車の場合には、普通車で10万円、軽自動車で5万円を助成するなど、実質的な対策が講じられるようになった。この点は評価されていいが、これらは一時的な優遇策の域を出ていない。これに対し、環境税や排出権取引は、長期的視点に立った税制改正と新制度の導入だ。今の政府は、そこまでの改革には及び腰ということだろう。
 
 このように、現象世界は変転きわまりないということが、1年を経過してみるとよくわかる。しかし、変化せずに続いている“流れ”や“傾向”もあるし、季節の変化のような“繰り返し”もあることは事実である。特に、経済の変化は、1~2年の短期では激しく感じられても、“揺れもどし”が来るのが原則だから、中・長期的には同一パターンの繰り返しになることが多いのは、よく知られている事実である。短期的な変化に目を奪われていると、中・長期的な流れを見失う危険がある。地球温暖化問題の解決には長期的視点が必要だ。その視点から見れば、私はこの1年で“流れ”や“傾向”が変わったとは思わない。

 谷口 雅宣

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