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2009年4月17日

ウサギとカメ (3)

 ウサギとカメは、しばらくにらみ合っていましたが、やがてカメがウサギから目を逸らして、
「ああ、アホらしい」
 と言いました。そして、「このみどりの風のおいしさを認めないなんて、動物のくせに情けない……」と続けると、また日向ぼっこの姿勢にもどりました。
 するとウサギは、
「“バカメ”という言葉は名言だね」
 と言いました。そして、「カメのおまえさんには、その名前がピッタリだ」と言って、相手の様子をうかがいました。
 カメは聞こえないふりをしていたので、ウサギはさらに続けました。
「“動物のくせに”なんて言うのは、動物であることを誇りに思っている証拠だ。そんなんだから、いつまでたっても人間が支配者でありつづけるんだ。人間を超えるためには、人間のもっている最大の武器を自分のものにしなけりゃ……」
 カメはその言葉に興味をもった様子で、
「人間の最大の武器ってなんだ?」
 と、ウサギに聞きました。
 ウサギはニヤッと笑って、
「何だと思う?」
 と言って、カメをじらせました。
「ミサイルのことか? それとも、毒ガス?」
「ぜんぜん違う」と、ウサギは得意顔。
「それじゃ、バイオテクノロジー?」
 ウサギは首を横に振るばかり。
「えぇい、それなら無人攻撃機!」
「ハ、ハ、ハ、ハハハ……」
 と、ウサギは愉快そうに笑ってから、言いました。
「おまえさんは、見ている方向が違うんだよ。“武器”と言ったって、別に戦争するための道具とはかぎらない。高価なものともかぎらない。もしかしたら、人間だったら誰でももっているものかもしれない」
「クイズはもうやめた。早く教えてくれ!」
 カメはそう言うと、ウサギをうらめしそうに見ました。
「それじゃ、答えを言おうか……」とウサギはもったいをつけてから、
「それは、言葉だ!」
 と言いました。
 カメはしばらく目を丸くしていましたが、やがて、
「そんなものが……武器になる?」
 と言いました。
 
 谷口 雅宣

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コメント

希望…それも明るい希望を、自然と描けるか?
そして一人のそれは、目に見えない波動でつながっている調和のスパイラル。
心に不安ばかり描いていないだろうか…。
ウサギとカメの両者共に、私の心の中にいて、どちらを描きやすいか…は、私が「今」を全力で生きているかどうかによります。
ありがとうございます。

投稿: Y.S | 2009年4月19日 16:07

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