リンゴの切り方には無数の方法がある。縦に切る……水平に切る……斜めに切る。切る位置によって、切り口の形が変わる……切り口の模様が変わる……大きさが変わる。でも、ほとんどの場合、そんないろんな切り方はせずに、大人しく、真ん中から縦に半分に切り、それをさらに半分に切り、そしてさらに半分に切る。できるだけ等分に切ろうとする律儀さは、驚くばかりだ。多分、相手がいるときは、そうする。
でも今度、リンゴを1人で食べるときは、思い切って冒険してみよう。そこから新しい展開が始まるに違いない。人生の何気ない習慣も、リンゴのようなものなのだ。
谷口 雅宣
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