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2009年3月 3日

雛祭り

 今日は雛祭りということで、わが家では“女性軍”が活躍した。とは言っても、女性は当初は妻一人だ。彼女は2週間前ぐらいから、妻の実家から贈られた雛人形を箱から出して来て床の間に飾り、それでは足りないのか、小さい置物の男女雛を2セット、どこからか出してきて、玄関のカウンターと居間のテレビの上に飾っていた。例年のことなので、私は驚かず騒がず、「もう3月だなぁ~」という感慨に浸るだけだ。が、今晩は恒例の雛祭り料理に娘を呼ぶというので、多少影響を考えた。彼女は仕事の帰りにわが家に寄って、食後に帰宅する。それだけだ。が、仕事が終わる時間が分からないので、我々夫婦は先に食事をして彼女を待つことになった。

 食事は、豪華なちらし寿司、海老とホタテのフライ、青菜の白和え、雛カマボコHinaryoriにハマグリの吸い物である。これに加えて、長崎へ行ったときにいただいた「桃カステラ」というデザートがあったから、フルコースの食事である。これら全部を用意するために、せっせと立ち働く妻のエネルギーには、男の私には計り知れないものがある。男の祭りである「端午の節句」の方は、わが家ではもうとっくに有名無実化しているというのに……「桃の節句」ではこうして伝統が守り続けられる。この辺は“男女の違い”でしか説明できそうもない。
 
 やがて仕事帰りの娘が来て、食事が始まる。私は、食卓に出され小皿が雛人形を象っているのに気づき、それを絵に描き始める。女二人は、にぎやかに会話を楽しんでいる。私はそれを聞きながら、娘が家族をもてば母親と同様に雛祭りの伝統を守っていくのだろう、などと考える。妻は、伝統行事を大切にするタイプの人間だから、「桃カステラ」のこともウィキペディアでちゃんと調べていた。長崎はカステラの本場だから、桃の実を模したカステラを焼くのだそうだ。長崎の人たちは、県外でも当然そうすると思っているらしいが、長崎にしかない習慣だという。

 もっと興味あることが、妻の持っている本に載っていた。雛祭りは「上巳(じょうし)の節句」といって、もともとは中国伝来のものだ。「上巳」とは3月の最初の巳(み)の日のことで、古代中国では「忌み日」で、川で身を浄める習慣があったそうだ。この考えを受けた日本では、この日に紙で人形を作り、これで体をなでてから、川や海に人形を流して穢れを祓う行事が行われていたという。これを「上巳の祓え」とか「雛送り」といい、雛人形の原型になったという。現代でも地方によっては、この日に「流し雛」をする習慣が残っているそうだ。しかし、この“原型”の背後にある考え方と、現在の豪華な段飾りの雛人形の考え方とはずいぶん違う。一方は忌み事、他方はお祝事だ。「伝統行事」といえども、歴史の流れの中では大きく変遷するものだと改めて感じた。
 
 谷口 雅宣
 
【参考文献】
○大泉書店編集部編『和ごよみの暮らし』(2007年、大泉書店)

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コメント

中身を見ずに表紙に惹かれて購入というのをやったことがあります。それが谷口輝子先生のご著書「こころの安らぎ」でした。表紙が流し雛の絵だったのです。ネットオークションで入手しました。それほど、ひな祭りは心惹かれるものがあります。
昨日はお雛様の帯留めを付けて出稽古に行きました。ひな祭りというだけで華やいだ気分になります。

投稿: 前谷雅子 | 2009年3月 4日 08:44

合掌 ありがとうございます。
本日のテーマとは違います事をお許し下さい。実は、先程、女房より白鳩誌3月号を読んだらとの話がありまして谷口純子先生のお書き下さいました「運命の“罰ゲーム”」を拝読させて頂きました。同感いたしまして、早速、女房と相談致しました結果、わが夫婦も実行することにしました。それは、“罰ゲーム”です。小さな箱を用意しまして上に標語“ちょっと待て! 光明面を見よ、語れ! 千円おしくないか。”に決めました。普段、各聖典では何回となく“光明面をみよ”とご指導頂いておりながら実行が出来ておりません。お書き下さっております様に現象面や暗黒面を心の中に無意識に放置し、野放しにしておりました。ゲームですので最初は、あまりハードルを高くしないで、楽しく長く続く様にしてこの運動に参加させて頂きます。ご指導ありがとうございました。再拝

投稿: 深尾 勝久 | 2009年3月 4日 11:12


谷口雅宣先生、ありがとうございます。
ケータイから毎回先生のブログを読んでいます。
奥様の手料理の写真を見ての感想ですが、とても上品で、1つ1つ心を込めて先生のために作っている奥様の姿と、それをおいしそうににこにこと食べている先生の姿が目に浮かびます。
お皿や箸置き、ランチマットにいたるまでの奥様の心配りに感動です。

早速、我が家も箸置きを購入しました。
季節に合わせて食卓を彩り、日本の伝統行事を重んじる心を子どもたちに伝えていきたいと思いました。

食事を丁寧に心をこめてこれからも作っていきたいと思います。
ありがとうございます。

投稿: 田平葉月 | 2009年3月 4日 20:31

前谷さん、

 雛の帯留めで出稽古ですか……? 何か勇ましいですね。何のお稽古でしょうか?

深尾さん、

 あの“罰ゲーム”ですか? 結構、難しいですよね。私は妻に「ほらほら千円!」と言われ放しです。(笑)

田平さん、

 箸置きって案外、いろいろあって、しかも安価ですから、集めると面白いですよ。季節や気分に合わせて、マットの上に並べるだけでも楽しいです、ハイ。

投稿: 谷口 | 2009年3月 4日 20:56

乞われて簡単な和裁を教えに行っております。(相撲ではないので、勇ましさとは程遠いです。)和裁だけでしたら本当は洋服でズボンの方が動きやすいのですが、訊かれると帯の結び様など一緒にやって見せて伝授してしまいますので、色んな場面に対応できるよう着物で出かけるようになりました。

投稿: 前谷雅子 | 2009年3月 5日 01:27

前谷さん、

 和裁……ですか。私はまた薙刀か弓か何かと思いました。(笑) 先生なんですね。いいですね。

投稿: 谷口 | 2009年3月 5日 23:00

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