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2009年2月21日

少女と少年

Mtimg090219  この少女の絵は、私が最近訪れた写真学校の作品展で出会った写真を見て、それを水彩で描き直したものだ。
 インドの少女のようだが、私はこの少女の見開いた両眼の力強さに惹かれた。写真に写った目は、やや緊張していて、どこか怯えたような雰囲気がある。が、私がそれを見て描いたこの絵では、引き締まった口元とも相まって、相手を睨みつけるような強さがある。それに、この子の喉元は、どう見ても少女ではなく少年のようだ。

 私が妻にそのことを言うと、
「えぇ~、でも着てるものは女の子でしょう」
 と言って、簡単には同意してくれない。
 そこで私は、
「女の子の衣装を着た少年だよ」
 と言ったが、妻は分かったような、わからないような顔をした。

 私の頭の中にあったのは、昔、子どもの頃に読んだ、白土三平の作品だった。確か『カムイ外伝』か何かだったと思うが、主人公のカムイは美男子の忍者で、たまに女装したりするのだ。もちろん、個人の趣味でするのではなく、任務遂行のためだ。そんなイメージが、この絵と重なって感じられる。
 
 私は幼稚園時代から男女共学の環境で学んだ。小学校では、4年生まで女の先生が担任で、自らバットを握って野球の指導もしてくれた。当時は、「長馬」という遊びが流行っていて、これを男女の別なくやったのを覚えている。2チームに分かれて、「馬」になる側と「馬に乗る」側で戦う。前者のチームは一列に並び、腰を前に曲げて背中を平にし、胴の長い馬の形をつくる。その上に、後者のチームが一人ずつ走って飛び乗っていく。そして、「乗る側」が馬を潰すか、最後に乗った人が「馬の側」の大将とのジャンケンに勝てば、乗り手チームが勝ちとなり、再び乗ることができる。しかし、乗り手が馬から振り落とされるか、ジャンケンに負ければ、馬と乗り手は交替しなければならない。
 
 こんな荒っぽい遊びを、男女で一緒にやっていた。この頃は、女子の方が男子より早く成長するから、体の大きさでは女子が勝ることは珍しくない。子どもの頃の男女の差は、だからほんとうに微妙なものだ。そんなわけで、私が少女を描くつもりで少年の絵になったことも、ご容赦いただきたい。

 谷口 雅宣

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コメント

谷口雅宣先生
 合掌、ありがとうございます。
 
 先生の絵の表現の素晴らしさに感動しました
 着ているのもは、たしかに女の子ですが、喉元もそうですが、顔は、男の子に見えます。

 >>写真に写った目は、やや緊張していて、どこか怯えたような雰囲気がある。が、私がそれを見て描いたこの絵では、引き締まった口元とも相まって、相手を睨みつけるような強さがある。<<
 
 この言葉どうりに表現されています。
 だからでしょうか? やはり、男の子に見えます・・・
 
 

投稿: k.k | 2009年2月22日 23:36

谷口雅宣先生
 少年・青年時代に読んでいた漫画が、実写版で映画化されます。
 「カムイ外伝」は9月に東映系で公開予定です。
http://www.kamuigaiden.jp/
<<2009年9月19日(土)ロードショーカムイ外伝
白土三平の傑作漫画がかつてないスケールで実写映画化!
話題沸騰、手に汗握るアクション大活劇、ついに撮影終了!
原作:白土三平(赤目プロ・小学館ビッグコミック)、監督:崔洋一、脚本:宮藤官九郎、崔洋一
出演:松山ケンイチ、小雪、伊藤英明、佐藤浩市、小林薫>>
 また、1ヵ月後には「釣りキチ三平」が、あの日本アカデミー賞をとった「おくりびと」の滝田洋二郎監督作品として公開されます。
http://www.san-pei.com/
 ともに、予告編を見て知りました。
 ところで、谷口雅宣先生の作品を集めた画文集とか、絵画の個展なども、これから楽しみですね。

投稿: 久保田裕己 | 2009年2月23日 02:00

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