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2008年11月 5日

オバマ大統領の誕生

 今日は生長の家本部でほぼ1日、重要な会議があった。が、昼休み中の私の関心は、アメリカ大統領選挙の結果だった。朝のNHKニュースでは「早ければ昼には結果が判明する」と言っていたので、12時過ぎにテレビをつけて結果を知ろうと思った。が、その時点での当落は確定しておらず、結果は会議後の夕方に知った。
 
Obamas_c  接戦かと思っていたが、大差でオバマ氏が勝利した。私は、結果が最後まで分からなかった前回のブッシュ=ゴア戦が一種の“トラウマ”になっていたから、早期の結果予測を自分の中で控えていた。が、それだけに、今回のアメリカ国民の明確な意思表明はうれしかった。私が本欄でブッシュ氏の内外の政策を批判してきたのと同様に、アメリカ国民の大半は、ブッシュ氏の路線からの決別を選択してくれたのだ。アメリカ国民の選択の正しさと賢明さに尊敬の念を表すとともに、心から感謝申し上げたい。
 
 外国人の1人にすぎない私が、アメリカの大統領選挙の結果に感謝するのは奇妙だ、と読者は思うかもしれない。が、アメリカには多くの生長の家信徒がいるから、同国の政策によってそれらの人々の生活や布教活動が影響される。また、私はアメリカの同盟国の国民であるから、同国の政策によって生活や運動が影響を受ける。それだけでなく、アメリカは現在、世界一の軍事力と経済力をもっているから、その政策によって世界が影響される。そういう重要な政策の中で、地球温暖化対策とエネルギー政策、そして外交の分野において、私はブッシュ政権とはいくつかの点で考えを異にしてきたのである。オバマ大統領の誕生により、これらの政策の変更が十分な現実性をもって期待できるのだから、ありがたいと言わざるをえないのである。

 生長の家の運動との関連で、もっと具体的なことを言おう。「9・11事件から世界は変わった」とよく言われるが、生長の家で変わったのは、イスラームという宗教を知る努力が本格化したことである。生長の家の重要な教義の一つである「万教帰一」の教えの妥当性が、ここで問題になったのである。読者には大袈裟に聞こえるだろうか? 別の言葉で表現すれば、世界第2の信者数をもつこの宗教の教えの中に、生長の家が奉ずる真理と共通するものが本当にあるのならば、なぜあのような無慈悲で残酷な殺戮がイスラームの名で行われるかを説明しなければならない。また、それと同時に、「悪はない」という「唯神実相」の真理を我々が奉ずるならば、一見して誰もが“悪”と見るテロ行為を宗教的にどう把握し、それに対してどう処すべきかを現実問題として考えねばならない--そういう問題提起を「9・11」は行ったといえる。ブッシュ政権のこれへの対応は、イスラーム原理主義者を「悪」と見立て、それとは交渉を拒否し、無条件に破壊するというものだった。が、その政策が成功していないことは、今や誰の目にも明らかになっている。
 
 ブッシュ政権のもう1つの失敗は、地球温暖化問題への消極的対応である。京都議定書への加盟を拒否したブッシュ氏は当初、「地球温暖化は人間の活動とは関係がない」とまで言っていた。現在も、そういう意見を表明する識者はごく少数だが日本にもいる。が、近年の2回にわたるノーベル平和賞が、この問題の原因が人間の活動であるとする立場の活動家と科学者グループに授与されて以来、世界の潮流は、アメリカも含めて、「低炭素社会への転換」へ向って大きく動き出している。そういう時点で、民主党のオバマ大統領が誕生することで、アメリカ国民のエネルギーと創造力が地球温暖化抑制へと大きく舵を切ることが期待されるのである。
 
 日本の政治・経済は、このアメリカの動きに大きく影響されるだろう。誠に残念なことだが、日本の内政は自浄作用によって改善する余地がなくなりつつあるように見える。経済システムも、低炭素社会への早期切り替えに役立つようには動いていない。こんな閉塞状況にあっては、江戸末期の“黒船の来航”のように、アメリカ初の黒人大統領・オバマ氏が、日本社会の目を覚ますような一矢を放つ可能性を私は密かに期待している。
 
 谷口 雅宣

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コメント

谷口雅宣先生
 
 久しぶりの投稿ですが、よろしくお願い致します。
 現在の世界的金融危機や政治情勢に対し、有権者らは、Change(=変革)を強く求め、過半数を大いに上回り圧勝した、民主党バラク・オバマ氏。その中で、「過半数を大いに」獲得したことは、有権者らは、オバマ氏に、現状打破できるのではないかと、一つの光を託したことが顕著に伺えました。
 
 谷口先生は、本ブログでは、現状の金融経済について、触れてなくもないのですが、民主党バラク・オバマ氏が、政権交代することにより、今後、世界的金融危機や不景気は、回復できるのでしょうか?
 と言いますのは、私は、現在、大学3回で、もう就職活動は、はじまっているんですね。
 が、米国の金融危機によって、就職活動にも大きく影響してきています。具体的には、内定取り消しとかです。実際に、私の大学でも、内定を取り消された先輩がいます(朝日新聞 20、10、29付)。すごく先が不安です。公務員志望は、増えている話は聞きますが、公務員試験は、難関とさていいます。
 私の大学教授も、「氷河期ですね。君たちは、本当に可哀そうだ。気の毒ですよ。」続けて、「私の息子もそうでした。歴史は繰り返される。」 
 思うに、今の大学生、引いては、失業者の方々は、きっと、先が不安です。
 先生どうか、光のコメントをよろしくお願いします。
 ありがとうございます。 
                           再拝
 

投稿: 原 太郎 | 2008年11月 6日 16:29

谷口雅宣先生

 私もオバマ氏が勝利して嬉しいです。また、アメリカ国民が今までのブッシュ政権のやり方が間違っていたと自分で判断して、しかも人種の偏見を超えて、大統領を選んだ事に私も祝福の拍手を送りたいです。

 オバマ氏は今までのブッシュ政権と違って、市場第一主義ではなくて、国民の生活を大事に考えてくれると信じたいです。アメリカは色々な報道によるとかなりの生活難で苦しめられている人々が増えている様で、また健康保険の実態もマイケル・ムーア監督の映画「シッコ」などを見るととても悲惨な感じがします。
 また、オバマ氏が国民の生活のみならず、先生の仰る様に今までの様な自然環境保護活動を殆ど顧みないアメリカの姿勢を正し、かつイラク戦争に代表されるアメリカの今までの強引かつ侵略的な外交政策を正して行く事を祈ります。ただ一つ気がかりなのは今まで民主党は割合、日本軽視、中国重視という面があった様に思います。実際問題、選挙中、オバマ氏は日本との関係について殆ど言及してこなかった様です。

投稿: 堀 浩二 | 2008年11月 6日 17:28

ありがとうございます。本当に先生のおっしゃるとおりです。

投稿: 奥田健介 | 2008年11月 6日 18:20

11/6の産経新聞夕刊(第8面)に、オバマ氏の演説での言葉の使い方について、面白い論説記事を読みました。社会言語学が専門の東照二(あずま しょうじ)氏によるもので、タイトルは、オバマ氏の「ことば」戦略:国民を惹きつけた“We” --というものでした。

それによると、マケイン氏が“I”を使って、「自分の」実績、そして「過去の」実績をアピールすることが多かったのに対して、オバマ氏の方は、“We”を多く使って聞き手をも巻き込み、過去ではなくて未来に向かった希望を語ったのであり、それが米国民を惹きつけた--ということでした。

こうした演説での「コトバの力」も、アメリカ政治の流れを変えた大きな要因だったのだろうと思ったことでした。

投稿: 山中優 | 2008年11月 7日 17:52

総裁代行 谷口雅宣先生

合掌ありがとうございます。
オバマ氏が当選した日は現地時間で11月4日、奇しくも、谷口雅春大聖師に初めての神示『生長の家の食事』が天下った日である事に感慨深く思いました。

また『生長の家の食事』は、総裁谷口清超先生の最後の御原稿の最後を締めくくっておられ、この神示が天下った11月4日に、世界に大きな影響を与えるであろう、良いニュースが生まれた事を、心より喜んでいます。

アメリカ国民が、人種を問わずオバマ氏を選んだ事に、深く感動を致しました。
ニュースの中の演説でオバマ氏は、キリスト教も、イスラム教も、ユダヤ教も一つだと言っていました。このような思想の方が、大統領になるなんて、アメリカは、世界は大きく変わると思いました。

同じく4日バチカンの高官とイスラム教の指導者との間で、関係修復の対話フォーラムがスタートしたというニュースも見ました。

http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-34749020081105
(ロイター)

これを機に世界の人たちが、多様性を認め合い手を携えていく流れが出来ていく事を願わずにはいられません。
これから、益々素晴らしく展開していくと思うと、ワクワクして嬉しくて仕方がありませんでした。

田中 慎太郎拝

投稿: 田中慎太郎 | 2008年11月 8日 21:32

合掌ありがとうございます。

今年の初め、リベラルで知られるボストンを離れ、ブッシュVSゴア(2000年)で最後まで投票結果が判明せずに一躍有名になったフロリダ・パームビーチ郡に引っ越してきました。

さて、大統領選の翌日に家族でレストランに行ったとき、新聞を読みふけるアフリカ系男性が目に入りました。オバマ大統領誕生の記事を、彼はうっすら涙を浮かべて読んでいました。注文した食べ物が来ても、ただただ記事を読んでいました。その姿がとても感動的で、私の瞼にやきついています。これは単に民主党が政権奪還したという以上に歴史的な価値のある出来事だと、日に日に実感しています。

以来、街で目にするアフリカ系の皆さんが、心なしか誇らしげに背筋をシャンとしているように見えます。私の心の目が変わったのでしょうか。朝夕、スクールバスを待つ子供達の中にアフリカ系のお子さんを見るにつけ、「ああ、これでアメリカはかわる、世界がかわる」と言う気持ちがあふれてきます。今回の選挙戦で、多くの人々の心の中にオバマ氏のフレーズ ”Yes We Can” が刻み込まれたことでしょう。特にこれからアメリカを支えていく子供達にとっては、オバマ氏、そして貧困層出身のミシェル夫人は何よりもの希望の星でしょう。オバマ氏は大統領就任前に、既に米国を変えつつあるかもしれません。

余談ですが、NYの安藤比叡教科部長はこの20年近く、そのレクチャーの中で常に ” Yes, We can do it!” とみんなで唱和していらっしゃいます。オバマ氏が ”Yes We Can”と言う度に、安藤先生や国際練成を思い出しておりました。

その一方、オバマ大統領選出を、単に「ブッシュ政権の延長よりはマシだろう、とにかく
の失業やこの経済状況をなんとかしてくれるだろう」という見方しかできないアメリカ人もいる事も事実です。特に当地はサブプライムの打撃がひどく、失業や破産などに直面している人も多くいらっしゃいます。オバマ氏にかける期待は絶大なものの、状況次第では手のひらを返す「条件付き」支持者も多く、この歴史的なタ-ニングポイントを自覚していないアメリカ人がいる事に驚きました。(ボストンの時とはかなり違うリアクションだったので・・・)

何はともあれ、オバマ大統領の誕生を心より祝福したいと思います。Yes We Can. 合掌

投稿: 西村五百子 | 2008年11月10日 11:14

原さん、

 今は、低炭素社会実現のための新しい産業が芽生え、伸びつつある時期だと思います。経済停滞は、それに対する適応反応の一つであり、別の言葉で言えば、産業構造変換の動きが起こりつつある過渡期の症状の1つではないでしょうか? だから、将来性のある産業や企業を見つけることができれば、就職は成功すると思います。

堀さん、

 講習会の推進、ありがとうございました。
 日・中・米の関係ですが、アメリカから見れば、市場規模、世界への影響力、軍事力など、中国の方が日本より“大国”に違いありません。中国になくて日本にあるものを我々がもっと育て、盛り上げていくことが重要ではないでしょうか? いつまでもアメリカの“51番目の州”で甘んじていることは、双方にとってよくないと思います。

西村さん、

 お久し振りです。寒い土地から温暖な土地へ、ですか? 南部のアメリカは、私には未知の世界です。大いにご活躍ください。

投稿: 谷口 | 2008年11月10日 16:02

谷口先生

ご丁寧にお答えして下さり有難うございました。
そうですね!その方向で進めて行きたいです。
有難うございました。
再拝

投稿: 原太郎 | 2008年11月10日 21:51

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