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2008年9月 1日

新世代のバイオ燃料に期待

 バイオエタノールなどのバイオ燃料については本欄でもたびたび言及してきたが、最近の研究で有望なものがあるので、読者に紹介しよう。これは昨日、北海道の滝川市で行われた生長の家講習会で、「日本のCO2排出量は世界の5%程度だから、日本人が排出削減に努力してもあまり意味がない」という内容の質問があった際、それを反駁するために紹介した情報でもある。また、北海道大学での研究成果だというので、北海道の人たちにもっと勇気と希望をもってもらいたかったのである。簡単に言ってしまえば、北海道の原野に沢山生えているススキの1種「ジャイアント・ミスカンサス」(GM)が新世代のバイオエタノールの原料としてかなり有望だということである。8月27日の『朝日新聞』夕刊が伝えている。
 
 それによると、北海道大学はアメリカのイリノイ大学などと共同で、このGMをエタノールの原料とする研究をしているという。GMは、日本のススキと、その仲間のオギとの交雑種で、種子を作らずに株で殖える。これを戦前、ヨーロッパの収集家が観賞用として持ち帰り、それがアメリカへ渡ったものを、イリノイ大学は10年ほど前から栽培しているという。その特徴は収量が多いことと、やせた土地でも育つこと。トウモロコシの収量が1ヘクタール当たり約18トンであるのに対し、GMは約30トンという。このバイオマスとしての大きさを燃料に利用できれば、ススキは栽培に手がかからず、生態系の多様性の維持にも役立つから、現在、アメリカで主流となっているトウモロコシを原料としたバイオエタノールより、ずっと有効な原料になりえるというのである。

 ただ、北海道の原野に生えているGMを抜いてくればそれでいい、というわけでもないようだ。研究に携わっている北大の山田敏彦教授によると、今後、ススキ草原の物質循環や開花時期などを解明し、品種改良のために日本各地のススキとオギとを採集するところから始めるらしい。耕作に適していない土地でも、また寒冷地でも育てられる品種を開発するためである。

 私は、この記事を読んでから講習会で講話をし、そこで「世界の5%を減らしても意味がない」という意見を聞いたのだった。そして、日本の技術力が世界中のCO2排出削減に役立つことを考えたら、「5%」どころか「50%」の削減も日本によって可能だと話した。これは単なる空想ではなく、トヨタやホンダが開発したハイブリッドの技術によって、自動車の燃費は実際に50%向上したからだ。また、技術というものは、基本が確立すれば、その上に加速度的に進歩が起こることは、コンピューターの高速化や小型化のことを思えば明らかである。
 
 そんなことを考えながら、私と妻は講習会終了後、車の後部座席で疲れを癒しながら、滝川市から千歳空港まで、北海道内陸部を南下したのである。すると、道路の脇や、黄色く染まった田圃や、広大なトウモコロシ畑の合間に、ススキのような穂をピンと上に立てた、元気のいい植物が案外多く生えていることに気がついた。それがGMであるかどうか、私には分からない。しかし、そういう作物と競合しない草本が燃料になるのだとしたら、その技術の開発を待望せずにはいられないのである。
 
 谷口 雅宣
 

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コメント

合掌ありがとうございます。

先生が車の中で見かけたススキのような植物は何だろうと、
検索エンジンで「GM 滝川市」と検索すると、
ちょうど2年前の先生のブログの記事が出てきました。

タイトルは「GM作物とセイタカアワダチソウ(2006年8月28日)」

同じGMという2文字でも、
「遺伝子組み換え」と
「ジャイアント・ミスカンサス」と
全く意味が違いますね。

2年間で、"GM"にも光明面が出てきたと感じました。面白いですね。

投稿: 古谷伸 | 2008年9月 3日 14:51

ジャイアント・ミスカンサスの検索で立ち寄りました。
父が残した土地は泥炭地でメタンガスが湧くようなところです。
そこにはススキを大きくしたような草がジャングルのように生えています。
それがジャイアント・ミスカンサス名のかどうかは判りませんがそっくりです。

泥炭層も空気の浄化になると聞いたことがあります。
農業を続けるには無理なのですがジャイアント・ミスカンサスを(だとすれば)そもまま自由に育ててみたいですね。
でも、それをどうすればバイオとして利用できるのでしょうね。

投稿: 志穂(夢花風) | 2009年3月 7日 13:46

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