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2008年9月16日

睡眠と思考

 人が目を閉じてじっと動かないときは、沈思黙考しているのか、それとも眠っているのか分からないことがある。当の本人も、目をとじて考えているつもりでいて、ふと眠ってしまうこともある。その一方で、人は夢の中で何かを考えることもできる。眠りと思考との間には、だから截然とした境界はなさそうに思える。
 
Mtimg080916  しかし、目を覚ましていて考えるのと睡眠中の思考とは、使っている“心の領域”が違っている--こう断言するのが不安ならば、少なくともそう言われているとしておこう。つまり、覚醒中の思考は現在意識が行い、睡眠中のそれは潜在意識あるいは無意識が行う。心理学では、よくそう考える。では、睡眠中の思考は、目覚めている時のそれと同じ論理で行われるのだろうか? 
 
 この問いに答えるためには、どうしたらいいか。睡眠中に見た夢を覚えておくことは至難の業だ。だから、夢の中の思考が目覚めている時の思考と同じかどうかなど、確かめようがない。そう思う人がいるかもしれない。が、「夢そのもの」が睡眠中の思考だと考えてみれば、夢の世界の一般的な特徴を思い出すだけで、先ほどの疑問にある程度答えることができるだろう。
 
 夢の世界の特徴は、論理性がなく、ほとんど支離滅裂である--そんな印象が圧倒的である。しかし、心理学者は、多くの人の見る夢を詳しく研究することで、一見、何の脈略もなく物事が生起し、覚醒時の論理を受け付けないように見える夢の中に、一定のパターンや独特の論理性を発見してきた。そういう夢の中の隠れた“鍵”を使って、それを見た本人とともに夢の意味を考えることで、本人の心や肉体上の病気が癒されることがあることも分かってきた。これが、精神分析による夢判断である。
 
 ということは、眠りと思考の間には“境界”がなさそうに感じられたとしても、そこでは心に何らかの“モード変換”が起こると考えられる。心が“覚醒モード”から“睡眠モード”へと切り替わり、それと同時に、思考の論理も変換する。こう考えると、夢の研究や、それを見る無意識の中の論理を探究することに、何らかの意味があることが分かってくるのである。
 
 谷口 雅宣
 

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コメント

人間には未知の世界である"夢"!!私は結構覚えているのです(笑)、しかし言われます様に論理性が無く支離滅裂の場合が殆どで気になる事は有りません、只、個としての自分の意識が有りますから"睡眠中の思考"かも知れません、従って全人類個々に於いて類似性のある夢を見る事はあるに致しましても全く同じ夢を見る事は無い様に思います、ですから夢の研究やそれを見る無意識の中の論理を研究する事は意味あるものと考えますが今の所"神のみぞ知る"の領域の一つだと思います、又私の勝手な考えですが現在意識の世界に於いては"唯心所現"無意識の世界に於いては"唯心夢現(こんな言葉は有りませんが)"ではないか?そして次なる世界!しっかり夢を見ている最中に例えは悪いですが自爆テロに遭い、即死した場合"夢"はどうモード変換するのか?これ又"神のみぞ知る"の世界でしょうか?

投稿: 尾窪勝磨 | 2008年9月18日 12:33

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