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2008年9月 2日

福田首相の責任感

 昨晩、福田康夫首相が突然辞意を表明した。「日本の首相は1年で辞めなければならない」という法律でもあるのかと疑いたくなる。安倍前首相の辞任とよく似たケースで、「精一杯やったが、もう限界だからやめる!」という感じで、国民にとっては何がなんだかサッパリ分からない。アルバイトの学生が「1年やったけど、もう限界だからやめる」と言っているのとどこが違うのか? 今朝の新聞をしっかり読んで、やっとその理由らしきものがおぼろげながら浮かび上がってきたが、しかし、それにしても“腰砕け”の政治家が多いのに驚かされる。2つに割れた国論の中で、アメリカのブッシュ大統領は2期8年やって、まだ元気衰えず、ハリケーン襲来を待つ現場へ駆けつけた。ロシアのプーチン氏は、憲法上許された大統領の最長任期8年を勤め上げただけでは満足できず、今年になって自ら首相の座に降りて、カクシャクとして世界に揺さぶりをかけている。こういう中で、バイト学生のような首相が率いる日本の外交に、“進歩”や“勢い”を期待してもどだい無理なのだ。

 実は、私は福田氏が総裁選に立候補する前日に、ご本人に会っている。といっても、面談をしたのではなく、ホテルで偶然姿を見かけただけだ。東京のグランド・プリンスホテル赤坂がお気に入りの場所らしく、私と妻が朝の食事をレストランでしていたところ、部屋の隅の衝立の陰に立って、電話に耳を当てて話をしているご仁が、福田康夫氏だった。私のような一般客が食事をする場所の隣に、少人数で会合ができる特別室があるらしく、その部屋の出入り口に立って電話をしている。電話の相手が誰だか知るよしもないが、特別室にいる人々の中には関西の財界人が数人含まれていたようだ。というのは、私たちがその日、ホテルの1階からエレベーターに乗った時、関西弁を話す背広姿の会社役員風の数人と一緒になったからだ。彼らは「朝、新幹線で来た」などと言葉を交わしてから、私たちと同じ階で降りた。が、食事中、一般客用のレストランに彼らの姿はなかった。食後、私たちが会計をすませてレストランを出た時にも、電話を片手に持った福田氏とすれ違った。最近では、政治もケータイで行われるのかと思ったものだ。
 
 今日の『日本経済新聞』にジャーナリストの田勢康弘氏が、8月半ばに福田氏から聞いた話を書いている。福田氏は「自分の使命は安定した政治を引き継ぐこと」と2度繰り返して言ったあと、次のように語ったという--

「弟分の安倍晋三さんが辞めて、2、3日のうちに後継総裁を決めなければならないから、出てくれ出てくれといわれた。ここで断ったら政治家を辞めなければならないと思って責任感から引き受けた。逃げるわけにはいかなかった。それまで総理・総裁になろうなどと考えたことは一度もない」。

 安倍首相の辞意表明は昨年の9月12日の午後2時であり、翌13日の朝に私は福田氏をホテルで見ている。このあと、彼は自民党総裁選への出馬の意思を表明した。田勢氏の話がもし本当ならば、私は「出てくれ出てくれ」と言われていたときの福田氏を目撃していたのである。また、この言葉が本当ならば、福田氏は最初から“ピンチヒッター”として首相になったのだから、1年間ずっと、次の首相への交替の時期を見ながら政治を運営してきたことになる。「欲がない」と言えば誉め言葉だが、「本当にやる気はない」のでは責任感がないことになる。それにしても、日本の政治は寂しい。
 
 谷口 雅宣

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コメント

合掌有難うございます。日本の首相は無責任でも国には天皇陛下がいらっしゃいます。だからつい無責任でも、国としては平気な所があります。日本の国の私達の為に、いつも祈ってくださる天皇陛下様に感謝しております。だからアメリカ大統領のような責任感が無いのかと思われます。副総裁雅宣様に子供のようと云われても致し方ありませんね。誰か神様の心で国を護ってくださる方が、何処かに、いらっしゃると期待しております。
深田イツ子拝

投稿: 深田イツ子 | 2008年9月 2日 22:49

合掌ありがとうございます。

辞任はびっくりしましたが、
「福田さんは中継ぎの首相なのだから
その役目を果たせたらそれでいい」
という見方はありました。

先生の、ホテルでのエピソードを読ませていただいて、
やっぱりそうだったのかと思いました。

石光 淑恵

投稿: 石光 淑恵 | 2008年9月 3日 08:20

谷口雅宣先生

ありがとうございます。

およそ一年前、副総裁先生はとても重大な場面に居合わせておられたのですね・・

>>また、この言葉が本当ならば、福田氏は最初から“ピンチヒッター”として首相になったのだから、1年間ずっと、次の首相への交替の時期を見ながら政治を運営してきたことになる。「欲がない」と言えば誉め言葉だが、「本当にやる気はない」のでは責任感がないことになる。それにしても、日本の政治は寂しい。


辞任表明会見での表情が、安倍前首相と比べて福田総理は随分淡々としているな?と感じたものですが、この辺りにもその理由がある感じがします。。

投稿: 長瀬 祐一郎 | 2008年9月 4日 13:20

深田さんは「誰か神様の心で国を守ってくださる方が何処かにいらっしゃると期待しております」、と言われていますが政治の世界に聖徳太子は期待出来ない!しかし日本には天皇がその役割を果たしておられると思います、さて、今回の福田首相を中継ぎだとかピンチヒッター等々色々言われています、であるならばストッパーは?レギラーは誰?自民党と言うチーム、他のチームにも見当たりません、官僚と言う氷山の水面下が余りにも強固である為に民意はなかなか浸透しないだろうと思います、只今回、マスコミをはじめとして様々な意見が飛び交っていますが私が独断と偏見で考えますのは福田首相は自民党のシナリオ通りに行動したのではないか?日程も4人の立候補も、、、つまり民主党チームとの戦いに勝つ為にです、勝つ為にはなりふり構わないと言うのが自民党の伝統らしいですから、、、確かに印象として民主党の影が薄くなった様に感じます、とすればこの辞任は自民党チームの思惑通り成功と言えるのではないか?さあ、国民の審判はどう動いて行くか?注目して見て行きたいと思います。

投稿: 尾窪勝磨 | 2008年9月 5日 12:03

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