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2008年6月30日

北見で考えたこと

 生長の家講習会のため、28日から29日にかけて北海道の北見市で過ごした。とは言っても、29日は朝から夕方まで講習会の会場にいたから、市内を見学したのはごくわずかな時間だ。それでも、2年前の前回との違いは感じられた。北見市は一時“東急の町”と言われたように、東急グループが中心となって開発した町だ。航空便も東急系の東亜国内航空(後の日本エアシステム)だけが運行していて、市の中心部に東急デパートと東急インが並んでいた。ところが現在は、東急グループが町から一部撤退して、デパートは地元資本の手に渡っていた。
 
 私は、各地の地方都市に東京資本が進出して“金太郎飴”のような町並みを形成することを嫌ってきたから、東急グループの撤退自体を嘆きはしない。自分勝手な感想かもしれないが、私の住む東京・渋谷はまさに“東急の街”だから、はるばるオホーツク海の近くまで飛んでも、また“東急の町”に来てしまうのでは退屈する。が、東急が撤退した理由の1つは、札幌以外の北海道各地の経済が縮小しつつあるからだろうから、東急の“後がま”として入った地元資本の行く末が心配だ。

 このデパートに入って、店員に文房具の売場を尋ねたら、「文房具は今は置いていません」と、すまなそうな顔をして答えた。この「今は」という言葉の意味を、私は「今はないが、今後は置くかもしれない」という意味に取れなかった。なぜなら、このデパートのある北見駅周辺には文具店どころか、書店が全然なかったからだ。文具店も書店も、学生にとって必要な店だ。それがないということは、この町には学生が、そして若者がいないという意味にとれる。ところが、夕方になると、自転車に乗った学生たちが大勢駅前を走るのを見かけたのだ。
 
 翌日、そのナゾが解けた。会食の席で青年会委員長が教えてくれたことは、駅から自転車でなければ行けない距離に、大手スーパーが開発したショッピング・センターがあるのだという。彼らはそこに集まっていて、駅前にも来るというのだ。「北見よ、お前もか」と私は思った。同様の現象は、盛岡にも青森にもあった。この中心街衰退の構図は全国で見られる。原因は明らかである。イーオンなどの大手スーパーが郊外型のショッピング・センターを建設することにより、駅周辺の古い商店街から客がいなくなるのである。自動車をもった客は、1箇所ですべての用が足りる便利さに逆らえないからだ。

 この問題は国会でも取り上げられ、大規模小売店舗の郊外への立地を制限する動きが出ている。が、大企業に弱い政権で何ができるかは不明である。私はそれより、“原油の高騰”と“地方の高齢化”がこの問題の解決に影響を与えるような気がしている。簡単に説明しよう。
 
 ガソリンの値上げの影響は、自動車の利用の減少という形ですでに現れている。また、地方では人口減少が急速に続いているから、土地の値段も下がっている。しかし、地方にいて自動車のない生活は不便このうえない。また、高齢化にともない、車を運転する人の数も減っていく。すると地方では、人口は郊外から駅近くの中心街に移動する傾向が生まれるのではないか。ただし、これには駅周辺の再開発と公共交通機関の充実が必要だ。私は、行政が税制の変更や優遇策などで、この動きをリードするのがいいと思う。そうすれば、東京資本による“金太郎飴”的開発ではない、地元資本による個性ある町づくりができるのではないだろうか。

 谷口 雅宣

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コメント

谷口雅宣先生

 合掌、ありがとうございます。
 先月、青森市で行われた講習会では、直接のご指導を賜ることができ、大変感激いたしました。本当にありがとうございました。

 私も、日々“東京化”していく青森の将来が心配でなりませんので、早速、自治体の取り組みを調べてみました。青森市の公式ホームページによると、同市では平成19年2月に「改正中心市街地活性化法」に基づいた「青森市中心市街地活性化基本計画」を作成、全国では富山市と共に初めて内閣総理大臣の認定を受けたそうです。
 具体的には、「商店街整備支援の強化」「高齢者等が長時間買い物しやすい環境整備」「巡回バスシステム」「シャトルバスシステム」等々の実現をめざすようですが、同計画の最後に「活性化により目指す中心市街地の姿」として、「“歩いて暮らすことのできる質の高い生活空間”として中心市街地の再構築(=「ウォーカブルタウン(遊歩街)の創造」)を目指すものである」とあり、この新たな言葉に少し心惹かれるものがありました。
 まだスタートしたばかりの事業ですが、関係各位の活躍に期待したいと思います。

投稿: 竹村 正広 | 2008年7月 1日 15:26

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