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2008年5月16日

中国の大地震

 まず最初に、今回の大地震で亡くなられた5万人強とも言われる多くの人々の御霊に、心からの哀悼の念を捧げ、ご冥福を祈るとともに、まだ安否の分からない多くの人々、そして生活の基盤を失ったさらに大勢の人々には、早期に救助・救援が行われるよう心からお祈り申し上げます。報道によると、わが国の第一次救援隊が今日、現地入りしたそうだが、その活躍に神の加護があらんことも心からお祈り致します。

 大変な規模の被害が明らかになってきた中国・四川大地震だが、その原因について、今日(16日)の『朝日新聞』に解説が載っている。それによると、今回の地震は、原因となった活断層が250~300kmの長さに達し、地震エネルギーは阪神大震災の30倍に達するという世界最大級の地震だそうだ。この記事は、3人の日本人の専門家とアメリカの地質調査所の解析を紹介し、それぞれが異なる推測をしている中で、マグニチュードは「7.8~7.9」という点で一致しているという。また、東大地震研究所の引間和人研究員は、「長さ250km、幅40kmの活断層が100~120秒かけて最大13m動いた」と推測しているから、地震を起こしたエネルギーの大きさが想像できる。建物はどんなに頑丈であっても、基礎部分が5mも広がったり縮んだりすれば、倒壊しない方がおかしい。

 この記事には、チベット高原周辺の地図がついていて、今回の震源地と見られる竜門山(ロンメンシャン)断層帯の場所に×印が打ってある。簡単に言えば、このチベット高原に向かってインド南方から北方向に移動しつつあるインド・オーストラリア・プレートの力が、西や北や東へ進めないために、南に回り込む形で力が働き、今回の地震が起こったのだという。東大地震研の加藤照之教授は「この付近は、四川-雲南地震活動帯とも呼ばれている。とくに鮮水河(シャンシュイヘ)断層帯は活動が活発で、同じ所で繰り返し地震が起きている」と言っている。この断層帯の北東にある竜門山断層帯が、今回の震源である。だから、地震が起こるはずのない所で起こったのではない。
 
 これは日本にも当てはまることだが、地震は自然界の動きの一部である。上記したように、原因は分かっていて、起きる場所も大体は予測できる。しかし、実際にいつ、具体的にどこで起こるかは今の科学では予測できない。だから、地震を避けるためには、移動しつつあるプレートとプレートの境界付近には家など建てないことなのだが、日本列島はほとんどがこのプレートの境界線上にある。つまり、いつどこで地震が起こっても不思議はないのである。ということで、日本に住む限り地震は避けられないから、我々は耐震設計の家や建物を造る以外にない。今回の被害が大きかった理由は、地震の規模の大きさもさることながら、多くの建物が地震に弱い構造であったことが指摘されている。
 
 私にはもう1つ、気になることがある。これは2006年のジャワ島中部地震のあとの6月2日の本欄に書いたことだが、地球温暖化に伴う気候変動によって地震が起こる確率が増える可能性があるということだ。昨今のヒマラヤでは、温暖化の進行によって氷河の退縮が著しく、湖の水位が上昇していると聞く。2006年に取り上げたのは、アラスカ州南西部の氷河が急速に解けたことと、1979年に起こったM7.2の地震とを関連づける2004年のNASA(アメリカ航空宇宙局)の研究のことだ。その際、同研究の発表者の1人は、こんなことを言ったのである--「アラスカのように地震が起こり、氷河の状態が変化している地域では、両者の関係を考えることが地震被害の防止には大切だ」。ヒマラヤには、この2つの要素に加えて、プレートの移動地点であるという、地震の原因そのものがある。

「地球温暖化は地震を引き起こす」という直接的因果関係を証明した研究は、まだない。しかし、状況証拠はいろいろあるようだから、我々は今回の地震を“対岸の火事”だと思ってはならないのである。

 谷口 雅宣

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コメント

谷口先生、

 中国の地震の被害は大変悲しい災害だったと感じています。
 私は、今事情があって熊本の実家で静養中ですが、私の実家は木造建築で大黒柱があります。多分地震には強いのではないかと考えています。朝飯前には神想観をするよう心がけています。

多久 拝

投稿: 多久 真里子 | 2008年5月17日 09:53

確かにこの大災害、おのが身に引き換えれば耐え難い苦難、苦痛であります、日本が最初に救援隊を送り込んだり、救援物資を送ったりしている報道は心ある政治家が存在している事の証明で世界各国も続くものと確信しています、もはや世界の国々は自国単独の我や利己心だけで生きて行く時代ではなく、まさに共生共存、各民族、人種、伝統、文化を尊重し、特に大国こそが率先して忘己利他の精神を発揮する時が来ているのではないか、今回の大地震も科学的原因は人間の知識で解明されるでしょうが中国要人は大自然の警鐘(神仏の声)として受け止めて貰いたいものだ!と思います。

投稿: 尾窪勝磨 | 2008年5月17日 11:17

谷口 雅宣 先生

合掌ありがとうございます。

私は国際部の天地忠衛(あまち まもる)と申します。

私は先生が「今回の大地震で亡くなられた5万人強とも言われる多くの人々の御霊に、心からの哀悼の念を捧げ、、」に対して、とっても感動致しました。

私は中国出身ですので、この何日間、何人の日本人友人が家族は大丈夫ですかという電話が掛けて来ました。実家は四川省と遠く離れている東北地方なので、無事です。皆さんの愛念を心より感謝致します。

6月10日までには、日本赤十字社、NHK、NHK厚生文化事業団は「中国大地震救援金」を受け付けしています。
http://pid.nhk.or.jp/event/PPG0006041/index.html
是非、皆さんの愛念を物施として、募金活動に参加して頂きたいです。(私は19日に郵便局で送金します)

又、将来、中国の大陸にも法施出来ることを祈り致します。
長くなりました、申し訳ございません。

天地忠衛拝

投稿: 天地忠衛 | 2008年5月17日 15:05

天地さん、

 宇宙飛行士の毛利衛さんがかつて言っていました。「宇宙から見れば、地球上には国境線など引いていない」--私はそういう気持で地球上の問題を考えるべき時期に来ていると思います。ただ、政治や経済は、まだそこまで行っていないのですね。

 それから、インターネットを使えば、我々は今すぐにでも“法施”を実践できると思います。

投稿: 谷口 | 2008年5月17日 16:42

谷口 雅宣 先生

合掌ありがとうございます。

ご指導、心より感謝申し上げます。

私は自分の中国語のブログで生長の家の教えを少しずつでもあるが中国語圏に発信しております。

先生のご指導を受けて、邁進していきます。
感謝(gan xie)

天地忠衛拝

投稿: 天地忠衛 | 2008年5月17日 17:40

天地さん、

>私は自分の中国語のブログで生長の家の教えを少しずつでもあるが中国語圏に発信しております。<

 それは素晴らしいことです。どうもありがとう!

投稿: 谷口 | 2008年5月17日 23:09

天地さんの書き込みを拝見しました。ありがとうございます!!
早速、かつてよく利用したアメリカの赤十字社にインターネットから寄付致しました。日本の赤十字社では、中国大地震救援金のために募金するにはネットではなく、郵便振込になるようですが、アメリカの赤十字社(レッドクロス)では、インターネットを通して気軽に寄付ができます。しかも、目的別になっておりまして、海外用救援金、国内(アメリカ)救援金、最も必要としている所への救援金、などなど、自分の最も寄付したい場所を選択することができます。
(ただ、アメリカ住所のクレジットカードを持っていないとおそらく住所ではじかれてしまうので、日本からこのシステムは使えないでしょう。。。?)
アメリカでは、このように利用者が気軽に寄付できる環境が整っております。反面、どの団体に寄付するかの選択に慎重にならなければなりません。自分が寄付したお金が、自分の意図した所に正しく使われていなければ意味がありません。
常に愛と智慧をもって行動に移したいと思います。

投稿: GEN | 2008年5月18日 12:56

副総裁 谷口雅宣先生:
合掌 ありがとうございます。
大変貴重なご指導を、心より感謝申し上げます。真摯に受け止め、微力ながら出来る事を実行させていただきたいと思います。ありがとうございます。 再拝

天地忠衛さま:
悠好。寄附についての情報を、ありがとうございました。ささやかですが、私も19日に郵便局から送金させていただく予定です。以前、旧web版『日時計日記』(2007年12月1日)に、中国語版の「日時計日記」を始められたと、奥様がご投稿されていたのを拝見いたしました。私は中国語を読めませんが、1度拝見したいと思っておりました。それでは、天地様ご夫妻の今後益々のご活躍を心よりお祈りさせていただきます。(Xie xie)

GENさま:
アメリカ・レッドクロスの情報をありがとうございます。インターネットから寄附が出来れば大変便利ですので、次回の為に記憶させていただきます。ありがとうございました。


投稿: 川部 美文 | 2008年5月18日 17:27

合掌 ありがとうございます
5月19日に、ささやかながら「中国大地震救援金」を日本赤十字社宛へ郵便局から送金させていただきました。これは私の「個人的な善意」の気持ちからです。
副総裁先生のご文章にもございましたように、現時点では地球温暖化と地震の「直接的因果関係」が証明されていない段階ですが、「対岸の火事」と捉えることなく、温暖化防止のために出来ることを少しでも実行して参りたいと思います。ありがとうございます。 再拝

投稿: 川部 美文 | 2008年5月20日 14:20

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