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2008年3月11日

親虫の使命

 啓蟄を過ぎると、どこからか本当に虫が出てくるから不思議だ。また、わが家の庭では今、ヒキガエルが盛大に活動を始めている。池の中で雌雄が重なって産卵するだけでなく、コロコロと案外いい声で“愛”を語っている。その数を数えたことはないが、恐らく「数十」の単位ではなく「数百」ではないか。雨の降る日などは、石段を上り下りする時、彼らを踏まないように注意が必要だ。昨年2月14日の本欄によると、去年は2月中旬に温かい日が続いて、彼らは一度出てきた。しかし、その後にもどった寒気のためにまた姿を消した。今年はそんなこともなかったから、満を持して出てきたのだろう。

 妻はすでに9日、家の中で5ミリほどのゴキブリの子を見つけているが、私は今日、立派に成長したクロゴキブリを見つけた。ただし、わが家の中ではなく、明治公園の一角でだ。体長5センチ弱の黒光りしているのが、人の足で踏まれたのだろう。片方の羽を外側へ折って死んでいた。ゴキブリは家の中だけでなく、立木の穴の中にも棲むから、陽気に誘われて「さぁ、春だぞ!」と出てきたところで潰されたのだ、と私は想像する。哀れといえば哀れだが、冬を越した成虫のゴキブリは卵を産んだかもしれず、また、腹の中にまだ卵があれば、多くの子虫たちは生き延びる可能性をもっている。そんな場合、親虫は使命を果たして死んでいったのである。
 
 ゴキブリの羽折れ潰れ春浅し
 
 谷口 雅宣

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コメント

ゴキブリまでを歌に詠む先生の愛の深さに感銘を受けました・・・私はどうしても好きになれないのですが・・・
もっと優しい人間にならねばなりませんね!!ゴキブリも生きているのです。

投稿: 金子 | 2008年3月13日 00:37

広島もいきなり春です、春の海に釣りに出かけましたが"坊主"でした、メル友には殺生しなくて良し、捌かなくてもOKで良し!と日の出の写メールで15人に同じ文章で送信、返信は60%で反応は全部異なり、これが又面白い!家内が迷惑メールだから止めたら?と言いますので心して送信する事にしています(笑)、副総裁の真似をして一句

春衣、人も虫も、ウキ浮きと

投稿: 尾窪勝磨 | 2008年3月13日 12:32

金子さん、

 私は「ゴキブリが好き」というのではありません。ましてや「愛している」わけではありません。好きにはなれないけれど、sense of wonder をもって観察しただけです。(笑)

投稿: 谷口 | 2008年3月13日 16:40

先日、玉虫厨子が報道されていましたが、玉虫じゃなくゴキブリの厨子だったら怖いなと仕事場の人達と話していました。玉虫は東南アジアからの輸入が6割(?)くらいあるとニュースで言っていました。日本の虫も減っているんだなと思いました。
 でも、やっぱりゴキブリの厨子は怖いと思います。(笑)

記事↓
奈良県斑鳩(いかるが)町の法隆寺にある国宝の工芸品、玉虫厨子(たまむしのずし)(飛鳥時代)が、現代の技術で2基復元され、寺で報道陣に公開された。名前の由来となったタマムシの羽根を計約4万3000枚使い、約1300年前の鮮やかな輝きや豊かな色彩がよみがえった。(毎日新聞)

投稿: 多久 真里子 | 2008年3月14日 04:59

多久さん、

 ゴキブリの厨子……それはないと思いますよ。見た目に美しくないものをわざわざ作らないでしょうから。ブラジルでは、美しい蝶の羽を貼り込んだ美術品があるのを見たことがあります。

投稿: 谷口 | 2008年3月14日 12:51

「ゴキブリ」って「儚い」という意味で用いられる夏の季語だそうですね。
 先生の作品は温暖化の現代を表現した句ですね。

投稿: POP | 2008年3月14日 15:33

そうですね。(笑)想像するのも嫌です。
ブラジルの美術品拝見して見たいです。

投稿: 多久 真里子 | 2008年3月14日 18:15

ゴキブリは確かに好きではありませんが余り毛嫌いしないで下さい、ゴキブリも世の中の一つの存在であり、ゴキブリなりの生活を送っているのです、そして大自然の中で大切な役割を果たしていると思いますよ(笑)。

投稿: 尾窪勝磨 | 2008年3月15日 11:19

ゴキブリといえば、昔はリパグナンス!!でした^^;。

幼少時代、沖縄に住んでいたのですが、
沖縄のゴキは、大きいし赤茶色でテカテカしてるし、すごい飛距離で飛ぶし、まさしく「恐怖」の対象でしたが、

本州に引っ越してから出会ったゴキは、黒くてカブト虫と変わらない大きさだし、あんまり飛ばないし…、慣れてきました。


最近は、先生の『日々の祈り』を読むようになってからは、
クモや昆虫類やゴキもなんだか少し愛しく思えるようになりました^m^☆


この前夜道を歩いていると、1匹の中くらいのゴキちゃんに遭遇し、トトトト歩いているのが何だか可愛くて、一緒に連れ添って50m位歩いてしまいました(笑。

ゴキにも仏性ありや?!が、少し自覚できてきたのですかねぇ??( ̄∀ ̄)☆☆☆


前に、立ち読みした本なんですが、これを読むと、ゴキブリにも使命があって、役に立っていることがわかりましたw

ゴキ、リパグナンス!な人におススメです。。。

http://www.churashima.net/books/200612/02.html


投稿: はぴ☆まり | 2008年3月15日 11:53

尾窪勝磨さん、はぴ☆まりさん

ありがとうございます。ゴキブリについてこんなに勉強するなんて・・( ̄(エ) ̄)ゞ
 ゴキブリのことを知ると前よりは嫌な気持ちが無くなった気もしました。きっと相手の事を知らないからかってな先入観で嫌いになってしまうのでしょうか?
 でも、小さいときは大丈夫だったのに何故大人になったらこんなに嫌いになってしまったのでしょうか?みんなが嫌いだから嫌いになったのでしょうか?なんか、いじめの始まりみたい・・。・・・違うか。

 ゴキブリの厨子のことが頭から離れません。もし、ゴキブリの厨子を始めて目にしたときそれを汚いと思うのだろうか
?と考えました。黒光りした厨子だとは思うけど、ゴキブリだと思わなかったらなんとも思わないのではないか?とか。
 でも、4万3千羽のゴキブリがついていると知ったとたん嫌いになってしまうのではないかとか。
 くだらないかも知れないのですが、結構何度もかんがえてしまいます。

投稿: 多久 真里子 | 2008年3月15日 18:18

ゴキブリについて職場で話していましたら、隣の席のKYさんが素晴らしいことを言われていました。
 「人間はゴキブリのことを嫌いなんじゃなくて本当は好きなんだ」と

 ・・・・。どうかな・・・・。考えたのですが。意識しすぎて見たり、近づいたり出来ないだけで本当はゴキブリのことが好き???なんか恋みたい。・・・・・!?

 結論、“人間はゴキブリに恋をしている。”

・・・・・・・・・・・。
訂正“人間はゴキブリを愛してはいない。”

 恋と愛は紙一重だけれど違う気がします。なんか実感こもってるかなと思いますが。(笑)

投稿: 多久 真里子 | 2008年3月16日 19:33

多久さんへ
「人間はゴキブリのこと嫌いなんじゃなくて本当は好きなんだ」が素晴らしい?私は素晴らしいとは思いません(笑)、「好きではないが嫌っちゃあ可哀想だ」と思うだけです(笑)「恋と愛は紙一重だけど違う気がします」ですが私は「気がしますではなくて違います」です(笑)。

投稿: 尾窪勝磨 | 2008年3月17日 01:32

先生。私はこのコメントに最大のミスをしていることに気づきました。先生の記事を読んで私は、”先生はまたゴキブリの話を書かれている”と思っていたのですが、そうではなく“親虫の使命”を書かれていたのですね。昨日気づきました(笑)題名って大事ですね。見てませんでした・・・(苦笑)
 先生の音声は本当に解りやすいです。やはり講習会だったらもっと解るに違いないと確信いたしました。ちなみに今日の先生の記事は5回以上聴きました。先生の講習会に次はいつ行けるのか(泣)毎日講習会があったらいいのに☆と本気で思います。

投稿: 多久 真里子 | 2008年3月17日 06:57

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