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2008年1月25日

“火星人”の幻影

 地球にとっては“隣国”ならぬ“隣星”である火星には、なぜか「人がいる」あるいは「生物がいる」という説が昔から途絶えることがない。21世紀の現代には、さすがにタコのような形をした「火星人」を信じる人はいないだろうが、火星の表面では今も探査車が走り回っていて、様々な映像を送ってきているのは、そういう人類の“夢”がなせる仕業でもあるだろう。ところが、その火星上の探査車が送ってきた写真の1枚に「火星人の姿」を捉えたと思われるものがあり、最近、アメリカの動画共有サイト「ユーチューブ」などに掲載されて話題になっている。
 
 私は2005年6月11日の本欄などで火星の“人面岩”について書いたが、そのポイントを簡単に言えば、「人間は自分の内にあるものを外に見る」ということだ。これは「唯心所現」の原理を言い直したものだが、特に「顔」のような形については、それに敏感に反応する神経細胞が人間の脳の中にあることが分かっているから、科学的にも立証されたと言えよう。が、今回話題になっている映像は「顔」だけでなく「全身」である。しかも、デンマークのコペンハーゲン港にある人魚像のように、脚を半ば組んだ女性のような姿をしているのだから、見る人を驚かせる。

 私が見た映像は、イギリスのテレビ局ITNが1月23日にユーチューブに登録した番組で、2日後の25日の12時15分の時点で16万7千回視聴され、3057件のコメントが書き込まれていた。すでに“人面顔”事件を経験している人々が多いから、この“人魚像”を信じているようなコメントは少なく、「ねつ造だろう」とか「影の方向がおかしい」とか「大きすぎる」とか「別の角度からの写真がない」とか「本物だったらNASAがもう発表しているはずだ」などと疑念を示すものがほとんどである。しかし、中には「米政府は宇宙人に関する情報を隠し続けている」とか「砂人間が棲んでいるとしたらスゴイ」などの毛色が変わったコメントもある。

 私が思うに、火星探査車が撮った写真の中には、この“人魚”のような映像以外にも、地球上の様々なものを連想させる形が数多くあるのではないか。NASA(米航空宇宙局)の科学者は、そんなものをいちいち発表しているヒマはないのだ。だいたい、NASAがすでに発表済みの古い写真の中にも、「ピラミッド」とか「町の広場」などの名前のついた形が堂々と存在している。今回、彼らが何も言わないのは、“人魚”の映像がそこにあることを科学的に説明する必要はもうない、と考えてのことだろう。これは航空宇宙学や惑星物理学の問題ではなく、簡単な心理学の問題だからだ。しかし、それにしても、人間は「見える」ということに如何に影響されるかを実感する写真である。そして「写真」という言葉が、今回ほど皮肉に聞こえることはない。
 

 谷口 雅宣

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コメント

面白い動画有難う御座います、本当に美しい人魚の姿に見えますね!未知の世界における映像、自然現象の傑作として楽しい話題だと思います、自爆テロや血なまぐさい、本能むき出しの凄惨な報道の多い中、微笑ましい報道の一つとして大いに歓迎致します(笑)

投稿: 尾窪勝磨 | 2008年1月26日 00:19

本日講習会に参加させていただきました。火星人のお話がございましたので、初めてブログを拝見させていただきました。また、日時計主義の本を購入させていただきました。講習会のテキストでしたが、この本に出会えてよかったです。ちゃんと最後まで読めますように!ありがとうございました。

投稿: 長野雅代 | 2008年1月27日 16:57

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