ビニールの部屋仕切り
世界の主要国から経済人と政治家が集まって開催される世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)を前に、各国が京都議定書後の地球温暖化対策について様々な“アドバルーン”を上げている。わが国の福田康夫首相も、安倍時代に打ち上げた目標と、後継首相就任以来の温暖化対策への消極姿勢とのギャップを埋めるために、温暖化ガス排出量について国別の「総量目標」を策定するという提案を携えて、スイスのリゾート地へ飛ぶそうだ。日本は、自民党の支持基盤である経団連などの経済界が温暖化対策に消極的だから、当地での指導力はあまり期待できないかもしれない。我々一般国民は、自らができるだけの3R(reduce, reuse, recycle)を着実に、無心になって進めていくだけである。
私は木曜日の休日を利用して、妻の“お伴”で渋谷の東急ハンズへ行った。ずいぶん久し振りである。子供が小さい頃は、工作に類することをやって見せて彼らを喜ばせることができたが、彼らの成長にともなってそんな機会も少なくなり、絵を始めてからは新宿の世界堂の方へ足繁く通うようになった。が、最近は、そんな時間的余裕もなくなってきた。今回は、しかし妻の計画に乗ろうと思ったのだ。
妻は、省エネの目的でリビング・ダイニングの中間に“仕切り”を設けることを考え、数週間前から私に提案していた。私たちが住んでいる家は築20年ぐらいたっている。建築当時はバブルの時代で、設計に「省エネ」の考え方が欠落していた。だから、リビング・ダイニングは「広ければいい」程度に考えていた。活発に動く子供がいた頃は、それでもよかった。が、夫婦2人になると、冬季で暖房が必要な時には、ガランとした広い空間が気になるのだろう。特に、私が仕事場へ出たあとの空間を暖めるのが、妻には「ムダが多い」と感じられたのだ。
以前、青山通りに近い路地でフランス人がやっているクレープ料理店に、2人で入ったことがある。そこは、家の外に張り出したデッキでも食事ができるようになっていたが、寒い冬には客が困る。そこで、無色透明の厚手のビニールでデッキを囲い、その中を暖房していた。それを見て、妻が感心していたのを思い出す。また、新橋や数寄屋橋などの都心のJR駅のガード下には、勤め帰りの会社員をあてこんだ簡易式の居酒屋が、夕方から店開きする。そんな店は、カウンター席や路上に置いたテーブル席しかない場合が多く、冬は寒さを嫌って客はなかなか寄りつかない。ということで、寒さ対策のため、透明のビニールシートを壁代りに軒から垂らしている店もあった。そんな様子を横目で見ながら、妻はいろいろ考えていたのだろう。
東急ハンズに出かける前に、私たちは壁と壁の間の距離を測り、ビニールシートをどうやって天井から下げるかを話し合った。そして、軽量のカーテン・レールを天井に取り付けて、そこからシャワー室などで使うシャワー・カーテンを下げる方式に決まった。問題は、仕切りに必要な長さのカーテンを売っているかどうかだった。妻の事前調査によると、既成のシャワー・カーテン2枚では、長さが足りない。3枚では長すぎるし、使いにくい。特注することもできるようだが、納入に時間がかかるだろう。私の心配は、カーテンのことよりも、石膏ボードを張った天井に、どうやってカーテンレールを取り付けるかだった。が、結 局、これらの心配は、店員の親切な案内ですべて解消した。カーテンは、特注して1週間後に受け取る。レールは天井に取り付けずに、つっかえ棒式のレールを壁と壁の間に張り渡す。「案じるより産むが易し」と感じながら、私たちは帰宅し、すぐ作業にかかった。
特注品の大判の透明カーテンはまだないが、レールはすぐに取り付けられ、もう一方の寸足らずのカーテンを下げるのも簡単だった。その“半完成品”を写真でお見せしよう。
谷口 雅宣
| 固定リンク
« 東京に雪 | トップページ | “火星人”の幻影 »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
副総裁先生
透明のビニールシートは効果が大ですよ。
私は道産子ですので、私が北海道にいた頃は窓はビニールのシートで覆っておりました。
これをすると家に雪が入らないのです。
ビニールをする前は朝、寝床に雪が積もっているなんてこともあったのです。
多分、信じられないと思いますが・・・・。
それで、効果があったのはビニールシートを2~5cm空けて
2枚にすると家の神棚の水が凍らなかったのを思い出しました。保温効果が絶大だったのです。今では北海道も家の事情が良くなりビニールシートで被っているところは殆どないようです。
今、我が家は厚木基地が近いため国で防音工事をしてくれているのですが、天井を破られたり、窓にはカーテンもないため、外に寝ているような有様です。
ビニールシートが恋しいです。
投稿: 佐藤克男 | 2008年1月26日 21:44
御多忙の中、創意工夫されながら日々の家庭生活を焦らず、無理せず、背伸びせず、静かに、しかもしっかりと着実に送られている様子が手に取る様に拝見出来ます、「案ずるよりは生むが易し」、、何でもそうですが「餅は餅屋」ですねえ、、現在は本当に何でも思う様に実現可能な素晴らしい時代だと感謝を通り越して感心しています(笑)。
投稿: 尾窪勝磨 | 2008年1月27日 11:49