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2008年1月18日

偽りの古紙配合率

 最近、製紙過程における古紙の混入割合の“偽装”が明るみに出た。生長の家は、昭和5(1930)年の発祥当時から「文書による伝道」を大きな特徴としていて、製紙業界とは関係が深いため、大変残念な思いである。特にここ7~8年は、地球環境問題の解決を目指した運動を全国的に展開し、森林伐採によって生まれるバージンパルプを減らす目的で再生紙の使用を率先して行ってきた。私自身、20冊以上の本を出させてもらっている中で、本の奥付などに「本文100%再生紙使用」「本文70%再生紙使用」などと表示してきた。これらが、ほとんどすべてデタラメだった可能性が大きいというのは、何とも悔しく承服しかねる思いである。製紙会社の言葉を信頼して行った表示が、結果的にウソの表示になっているのである。

 現在、製紙会社に“真相”の説明を求めているが、現時点で分かっていることはそう多くない。1つだけ挙げよう。生長の家で発行している会員向けの機関誌は、表紙に「エコパルプ70%、古紙30%を使用」と表示されている。この「エコパルプ」というのは、紙を漂白する際に塩素を使わないものらしい。原料には、木を伐採してつくるバージンパルプが使われている。今回の問題は、その後ろに書かれた「古紙30%」の数字である。機関誌の用紙を製造している北越製紙によると、昨年の夏ごろまでは表示通りに「古紙30%」を使用していたが、その後は生長の家に無断で「古紙15%」に変更していたという。ということは、現在の機関誌の本文用紙は「エコパルプ85%、古紙15%」が本当なのだ。

 機関誌に比べて圧倒的に発行部数が多い普及誌については、現在のところ「偽装はない」というのが日本教文社の回答である。その最大の理由は、普及誌には機関誌のような、数値による明確な配合割合の表示がなく、目次ページに「本誌は環境負荷の少ない再生紙を使用しています」と書いてあるだけだからだ。この表記だと、「1%」でも「0.5%」でも古紙を使用していれば偽装にならない。が、「偽装」以外にも、出版社と製紙会社間の「契約の履行・不履行」の問題があり、こちらも社会的には重要である。なぜなら現代社会は、契約の当事者間の信頼関係を基礎としているからだ。そこで普及誌の本文用紙の古紙配合率について尋ねてみると、同社は「古紙30%、バージンパルプ70%」で製紙会社と契約しており、今回の問題に際して製紙会社に確認したが、事実この割合に間違いないとの回答を得たという。
 
 17日付の『日本経済新聞』によると、日本製紙の中村雅知社長は記者会見の席上、今回の問題を放置してきた理由を「コンプライアンス(法令順守)より品質を優先した」と釈明したという。私はこの釈明には納得しない。なぜなら、この言い方では「コストが高いものを安く納入した」という意味に聞こえるからである。一つの業界が10年以上も、利益減少を承知で高いものを安く売るなどということはあり得ない。また、古紙の配合率を下げてバージンパルプの配合率を上げることが「品質の向上」だと言うのは、偏面的な説明である。この裏側には、営利企業としての冷静な計算があると私は思う。つまり、現在の国際市場では「バージンパルプより古紙の値段が高い」のではないか? 急速に経済発展する中国では、段ボールなどの原料にするために古紙の需要が高まっている。日本の道路脇に置いてあった古新聞を、正式の回収業者以外の業者が持っていき、問題になったことがある。日本のリサイクル・ルートに乗せるよりも、海外へ輸出する方が金になるという事情があるに違いない。

 ある業界関係者の話では、上に書いたように、古紙そのものが市場から払底していることに加えて、バージンパルプを使って製紙する過程よりも、古紙を混入する過程の方が、化石燃料を多く使わねばならないそうだ。私には、この後者の話もにわかには納得できない。日本国内のリサイクルで発生する温室効果ガスの排出量が、海外の森林から伐採し、チップにして船に積み込み、大洋を渡ってくる過程で生じる温室効果ガスよりも少ない、と言っているのだ。本当はそうではなく、国内の人件費と海外の人件費との差が、コストに大きく反映するからだろう。百歩譲って、業界の説明がすべて正しいとしても、契約時に定められた古紙の混合割合を、相手に無断で変更するような商売は許されるものではない。

 悪業を積んできた企業は、その期間が長ければ長いほど、受け取る悪果も大きくなるだろう。我々はそろそろ、紙を使わない出版活動を本気で考える時期に来ているのではないだろうか?

 谷口 雅宣

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コメント

また又"偽"ですね!前回にも紹介致しましたが元勤務先の社長(故人)は我が社の商売は"神商"だ!と常に言っておられました、最初は分からない様でも灰の中の小さな火の粉は誰も気付かない内にジリジリと広がり一気に大火となり、取り返しがつかない様になる、嘘の無い商売をしろ!と言うのが一貫した主張でした、嘘も方便と言う言葉が有りますが言って良い嘘と言ってはならない嘘の区別をキチンと出来ない一流企業のトップが多いのに驚きます、「本当の事を言うと自分に不利になる事を承知で本当の事を言う人こそ信頼のおける人物、信頼される企業と言える」とも言っておられたのを思い出さされました。

投稿: 尾窪勝磨 | 2008年1月18日 22:27

文章伝道=雑誌・本による伝道となるわけではありませんから、別の媒体を使ったり、新しい媒体を考えることは個人的にも積極的に取り組みたいと思っています。年末のクリスマスカードは出来るだけ電子メールで送りました。また、昨年まではカードを購入していましたが、今年は一枚の厚紙に印刷して送りましたので、重さも軽くなり、写真用の光沢紙を購入しませんでしたので、切手代も含めてかなり節約できました。そんな折り、Ryan's WellというDVDを娘達と見まして、娘が感動して自分のお小遣いと貯金を全てRyan's Well Foundationに寄付するというので、節約したクリスマスカード分として300ドル寄付しました。このドキュメンタリーはかなりパワフルに子供達に影響を与えました。DVDのような媒体をもっと積極的に取り入れたいと思っています。例えば、15分程度の講話や体験談をいくつか用意しておくと、サンデー・サービスや誌友会のとき、講話と共にそれを皆で鑑賞することもできます。是までにも友人の茂森勇さんという方がこちらのTVで紹介されたものを誌友会で見たり、自分で録画したもので友人のケンジ松岡さんのビデオを見て誌友会やサンデー・サービスで話したこともあります。日本では素晴らしい体験談が沢山ありますので、外国語に吹き替えをしたら多くの人にも感銘を与えるのではないでしょうか。

投稿: 川上真理雄 | 2008年1月19日 02:24

合掌
 各都道府県教化部全てにホームページを開設して、充実した運用を図ることも必要と思います。

 志村 宗春拝

投稿: 志村 宗春 | 2008年1月19日 19:01

>悪業を積んできた企業は、その期間が長ければ長いほど、受け取る悪果も大きくなるだろう。我々はそろそろ、紙を使わない出版活動を本気で考える時期に来ているのではないだろうか?

先生のこのお言葉は大変、重みがありますね。こうした人達も自己の悪業を刈り取る事によって、目覚めて行くのでしょうね。
 近頃は食品偽装問題等、企業のモラル低下が目につき、毎日の様に企業幹部が記者会見で一斉に頭を下げてますね。ちょっと滑稽と思ってしまうのは不謹慎でしょうか?

 紙を使わない出版活動というのが本格化すると素晴らしいですね。これで森林資源の破壊にストップがかかるならどんなに素晴らしい事でしょう。また、私など一信徒でも毎日の信仰体験や感動をブログという形で発表させてもらえるので本当に有り難いと思っています。

投稿: 堀 浩二 | 2008年1月21日 11:08

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